第291話 ホロスコープ星国 ルシス編 パート3
★ジェミニ視点になります
「カプリコーン、今後の予定はどうなっている」
ジェミニは、くたびれた顔をしている。
「今日中には、北の森を抜けることができると思います。北の森を抜ければ、キャベッジの町とパースリの町があります。私たちはパースリの町を目指すことにします。パースリの町には神守教会のジェイコブ司教がいてます。ジェイコブ司教なら私たちに協力をしてくれるはずです」
しかし、ジェイコブ司教はフェニの『ハーメルの笛』によって送り込まれたゴブリンの群れによって、瀕死の重傷を負い、その後死亡している。しかし、最近の情勢はカプリコーンは知らないのであった。
「今日中には町に辿り着くのだな」
「はい。夕方には辿り着くと思います」
ジェミニ達は、ハダルの町を脱走して、『神守聖王国オリュンポス』に亡命しようとしていた。ハダルの町を脱走するのはとても簡単であった。なぜならば、ポルックスはドラキュンに、ジェミニが改心しないようなら、亡命させてやってほしいと指示を出していたからであった。
ポルックスは、弟であるジェミニがすぐに改心することはないと考えていた。しかし、『ホロスコープ星国』に居れば処罰を与えないといけない。なので亡命をさせることにした。ポルックスは、亡命によってジェミニが改心することを期待しているのであった。
「早く、心地よいベットで疲れを癒したいものだ」
ジェミニは、慣れないの野営生活にかなり疲れていた。
「もう少しの辛抱です。この森を抜ければパースリの町で、ゆっくりと休めるはずです」
「そうだな」
カプリコーン、ライブラは魔獣討伐などで、遠征をすることも多い。なので野営生活には慣れている。しかも、カプリコーンの能力である『変化』によって、山羊の魔獣に変化して、この森の魔獣を全て、別の森へ移動させいるので、快適な野営ライフを送っている。
「美味しそうな木の実があるぜ。こっちには甘い果実があるぜ」
カプリコーンは、野営ライフを堪能していた。
「ジェミニ王、猪を捕まえてきました。今日の昼飯は猪の香草焼きにしましょう」
もちろん、ライブラの同じであった。『ゾディアックサイン』の能力を失ったライブラであるが、動物を捕まえることはできる。なので、狩りを存分に楽しんでいた。
「私が用意する森の新鮮な素材のフルーツ盛り合わせも期待してください。ジェミニ王の舌を必ず満足させます」
カプリコーンはライブラに張り合うように言った。
しかし、ジェミニは複雑な顔をしていた。
ライブラは、食にこだわる料理男子である。なので、ライブラの作る料理はかなり美味しいのである。一方カプリコーンは、ザルのような舌なので、何を食べても美味しいと判断する無能な味覚感覚の持ち主である。そのため野営生活では、ジェミニは一度もカプリコーンの料理を食べていないのであった。
ジェミニは、まだ能力使う事ができないので、まともに戦うことができない。そして、カプリコーンの『変化』の能力により、魔獣との戦闘をする事なくここまで辿り着くことができたのである。ライブラは、能力をポルックスに奪われたので、唯一頼りになるのがカプリコーンだけになっている。だから、カプリコーンを無下に扱うことできないので困っている。
「とてもありがたいのだが・・・今日は猪を食べたい気分なので、フルーツはやめておく・・・」
ジェミニは、カプリコーンのフルーツの盛り合わせを丁重に断るのである。
「それは、残念です」
カプリコーンはしょんぼりとする。
「そうだ。お前の素敵な歌を聞かせてくれ。お前の歌を聞くと元気が出るぞ」
ジェミニはカプリコーンに気を使っている。
「わかりました。食事の後に私の美声をお聞かせしましょう」
ニコニコと嬉しそうにするカプリコーンであった。
ライブラは、野営料理グッズを使って猪の香草焼きを作っている。とても美味しい匂いがあたりに充満する。
「いい匂いだぁ〜」
女の子の声がした。
「こっちの方に美味しい料理があるのだぁ」
美味しい匂いに連れらて、1人の女の子が姿を現した。もちろんゲリである。
ライブラは、猪の香草焼きを作って、お皿に料理を盛っていた。
『モグモグ・モグモグ』
「美味しいのだぁ〜」
ゲリは、堂々とライブラの作った猪の香草焼きを食べ出した。
カプリコーンは、フルーツの盛り合わせのレイアウトに必死になっている。
ジェミニは、瞑想しながらライブラの作る美味しい料理の匂いを嗅いで、幸せな気分に浸っている。
ライブラは、猪の香草焼きの盛り合わせに集中して、周りが見えていない。
『モグモグ・モグモグ』
「人界の料理は、とても美味なのだぁ」
ゲリは満足そうにしている。
「これで3人前の完成だ」
ライブラは料理を作り終えて完璧の出来で満足している。
「・・・」
ライブラは、一瞬自分の目を疑った。今作ったはずの料理が、すでに2皿無くなっているのである。
「カプリコーン、俺の料理を食べたのか?」
ライブラは、真っ先にカプリコーンを疑った。
「9月生まれはライブラさん♪12月生まれはみんなの憧れカプリコーンさん♪」
カプリコーンは謎の歌を口ずさみながら、盛り付けに没頭している。
「カプリコーン!聞いているのか!」
ライブラは声を荒げる。
「ライブラ、どうしたのだ!」
瞑想していたジェミニが声をかける。
「カプリコーンが、料理を摘み食いしたのです」
「それぐらい許してやれ。自分の分を食べただけだろ」
「いえ、それが・・・2人分なくなっているのです」
「カプリコーン!!!」
ジェミニは、カプリコーンには感謝はしているが、楽しみしていた食事を食べられては、黙っていることはできない。
「ジェミニ王、何事ですか?」
カプリコーンは、いきなり怒鳴れてビックリしている。
「俺の食事を食べたのはお前か!」
「えっ・・・何を言っているのですか?」
カプリコーンは何を言っているのか理解できない。
「俺が作った料理がなくっているのだ」
ライブラ叫ぶ。
『モグモグ・モグモグ』
ジェミニ達が揉めている間にゲリは3枚目の皿に手を伸ばしている。
「その女の子は誰だ?」
カプリコーンがゲリの存在に気付いたのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます