第347話 魔石国家ケルト王国編 パート17

 

 僕たちはアバオシャに乗って颯爽とガリアの町へ戻ってきた。



 「素敵な馬をお持ちですね」



 リヴァイアサンは、アバオシャのスピードに感銘を受けている。



 「アバオシャはレアな魔獣です。飼い慣らすのには時間はかかりました。



 アバオシャは魔界に住む魔物である。しかし、魔物だと言うわけにはいかない。



 「そうなのね。あなたにはたくさんの秘密がありそうだけど詮索はしないでおくわ」


 「そうしてくださると助かります。早速ですが、グリシャを探しましょう」


 「そうね。ポーラさんの話だとポーラさんがお金を取られた魔石具屋にいると言っていたわね」


 「そうです。僕が思うにその魔石具屋もグリシャの店だと思います。ポーラを騙して、お金を巻き上げるつもりだったのでしょう」


 「ひどいですぅ」



 フェニはカンカンに怒っている。



 「フェニさん、グリシャにはそれ相応の罰を与えるつもりですよ」



 リヴァイアサンの綺麗で美しいルビーの瞳が光り輝いている。リヴァイアサンもかなり怒っているのようだ。



 「グリシャノ店まで僕が案内します」



 僕はポーラと出会った場所にリヴァイアサンを連れて行った。



 「この屋敷だと思います」


 「立派なお屋敷ですね。ここが魔石具屋なのですか?」


 「はい。この町では高価な魔石具は、貴族や身分の高い者しか買うことができないみたいです。町の商店街で売っている魔石具は生活を便利にする魔石具しか置いてませんでした。治癒の魔石具や、効果な魔石具は貴族が住む住宅街で販売しているみたいです」


 「そうなのね。簡単に屋敷に入れてもらえるかしら?」


 「お金を見せれば大丈夫だと思います」


 「あら、私はお金は持っていないわ」


 「僕が持っているので大丈夫です。魔石具屋に入りましょう」



 僕はポーラが追い出された魔石具屋の屋敷に近づいた。屋敷の門には兵士が立っている。



 「何か御用ですか?」


 「呪いを解除する魔石具を探しいます。ここで買えるとグリシャさんから聞いています」


 

 僕は適当に言う。



 「グリシャ様の紹介ですね。どうぞお入りください」



 グリシャの名前を出すとすぐに屋敷の中に入れてくれた。



 「グリシャ様、お客様が来ています」


 「今日は来客の予定はないはずだ」



 僕たちは、大きなテーブルのある一室に案内されて、グリシャが来るのを待っていた。



 「しかし、グリシャ様の紹介で呪いの解除の魔石具を買いに来たと言っていました」


 「仕方ない。どれほどお金を持っているか確かめてくる」


 「勝手に来店させて申し訳ありませんでした」



 兵士がグリシャに頭を下げる。



 「バカたれが!」



 グリシャが兵士を蹴飛ばした。


 グリシャが部屋に入ってきた。


 「君たちは誰の紹介でこの店に来たのですか?」



 グリシャは、商売人らしく笑顔で対応をしている。



 「ポーラさんの紹介です」


 「ポーラ?そのようなお名前に身に覚えはありませんが・・・」



 グリシャは顔色を変えずに答えた。本当にポーラという名前には聞き覚えがないみたいである。



 「イベリアの村に住むアネモネさんの娘さんです。あなたに騙されて金を奪われた女の子です」


 「あのガキか!それで代わりにお前が呪い解除の魔石具を買いに来たのか?それならまずは入場料を払え。そして、紹介状なしに入っ来た迷惑料も払え。それを払えば客として認めてあげてもいいぞ」



 グリシャの態度は一変した。そして、グリシャは膨大なお金を請求してきた。



 「お金は払うつもりはありません。ポーラさんから騙し取ったお金を素直に返してくれたら、僕は穏便にすませてあげてもいいと思っています」


 「何か勘違いをしているみたいだな。あのガキからはお金を騙し取ってはいないぞ。正当な料金を徴収しただけだ!」


 「わかりました。それなら、イベリアの村の井戸に毒の魔石具を置いたのはあなたですか?」


 「だとしたらどうするのだ!お前に何ができるのだ」


 「僕は何もしません。それよりもどこで毒の魔石具を入手したのですか?」


 「情報料を渡せば教えてあげてもいいぞ」



 グリシャはニタニタと笑みを浮かべながら言った。



 「これでいいですか」



 僕はお金を渡した。



 「よくわかっているではないか。お前はポーラと違って頭が良いな。しかし、これでは足りないな」


 「わかりました。これでいいですか?」



 僕はさらにお金を渡した。



 「うーん・・・まだ足りないな」


 「これが僕の限界です」



 僕はさらにお金を追加した。



 「おおう。たくさん持っているじゃないか!」



 グリシャノは、簡単に大金をゲットできたので笑いが止まらない。



 「あの毒の魔石具は道端に落ちたいたのだ」


 「教えていただいてありがとうございます」



 僕は頭を下げたお礼をした。



 「ガハハハ・ガハハハ。お前は身分をきちんとわきまえているな。そういう奴は嫌いではないぞ」


 「ありがとうございます。グリシャ様に褒められて光栄でございます」


 「よい心がけだ。お前に心がけに免じていいこと教えてやろう。あの毒の魔石具は魔法具団の団長白炎のオグマ様からもらったのだ」



 グリシャは嬉しそうに喋る。



 「白炎のオグマ様?」


 「お前はオグマ様を知らないのか?魔石具団の団長の中でも最強の魔石具を持っているお方だ。オグマ様の持っている魔石具があれば、この世界を掌握することも可能だと俺は思っている。俺はオグマ様を支援をして、いずれこの町の領主になる男だ!」



 グリシャは、気分が良くなったみたいで、色々と語り出した。



 「本当の黒幕はグリシャでなくオグマですね」



 僕は小声で2人に言った。



 「そうみたいね。でも、私は我慢の限界よ。あの男を黙らせていいかしら」


 「リヴァちゃん。あいつをやっつけちゃえ!」



 フェニは、思わず大声を出してしまった。

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