第314話 ホロスコープ星国 ルシス編 パート26
シューは背後から、いろいろと質問をしてくる人物に、イライラしていた。急を要する事態なのに、つまらないことをいろいろ聞いてくるので、我慢の限界がきていた。しかし、ふっと我にかえってみると、ドラゴンに乗っているのは自分しかいないことに気付いたのである。
「今は俺1人しかいないはずだ・・・なのに背後から声が聞こえる。なぜだろう?」
シューは考え込む。
「どうかしたのですか?」
私は急に黙りだしたシューに声をかける。
「このドラゴンは俺しか乗っていないはずだ。なのに、女の子の声が聞こえるのだ」
シューは小さく呟いた。
「怪しい人物がいたので、確かめに来たのです」
私はドラゴンに飛び乗った理由を説明した。
「俺も怪しい人物は見た・・・10歳くらいのツノ生えた女の子の亜人だ。あの亜人は簡単にテフヌトとイリスを倒してしまった。あの子はかなり危険人物だ。急いでアトラース様に報告しないと」
「それなら急いで行きましょう」
「わかった・・・ってお前は誰だ!」
やっと私の存在にシューは気付いた。
「私は怪しい人物のルシスです」
私はニコって笑って自分の名前を名乗った。
「すぐにドラゴンから降りろ!」
シューは激昂する。
「私は名前を名乗ったのです。怒る前にあなたも名前を名乗るのが礼儀です」
私はシューを説教した。
「それは、すまないことをした。私は竜騎士のシューです。主に連絡を担当をしているので、竜騎士最速のスピードを誇るドラゴンを召喚することできます」
「それはすごいですね。このドラゴンが最速のドラゴンですか?」
「いえ、違います。最速のホワイトドラゴンは今、重要な事を伝えるためにディービルの森に向かっています。なので、このドラゴンは普通のドラゴンです」
「最速のドラゴンに乗ってみたかったです」
最速・・・私より早く空を飛べるのか?私は気になっていたのであった。最速の称号は私のものである。
「そんなことより、すぐにこのドラゴンから降りろ!」
シューは本来の目的を思い出した。
「よしよし」
私はドラゴンにプリンを与えて餌付け作戦を実行した。ドラゴンは嬉しそうにプリンを食べて、私にニコリと笑いかけたので、私はドラゴンの頭をなでなでしてあげたのである。
「ドラゴンよ、この女の子を振り払え」
シューはドラゴンに命令をした。
「できません」
ドラゴンは断った。
「俺は、お前の召喚主だぞ。俺の命令は絶対だ!」
「私たちドラゴンは、『支配』の能力により強制的に竜騎士の命令を聞いています。しかし、あの女の子は、私にとても美味しい食べ物をくれました。そんな優しい女の子を振るい落とすことはできません」
私は、ドラゴンの言葉はわからない。しかし、私の持っているプリンはいろんな人物を虜にしてきた。なので、ドラゴンにもプリンを与えたら、私に親切にしてくれると思ったのである。
「俺を裏切るのか!
シューは大声を張り上げる。
『バシン』
ドラゴンは尻尾でシューを叩いた。
尻尾で叩かれたシューは、ドラゴンから落ちてしまった。
「助けてくれーー」
シューは大声で叫ぶ。
「ドラゴンさん、あの人を助けてあげて」
私はドラゴンの頭をさすってお願いをした。ドラゴンは私の言葉は理解できないが、雰囲気で私の意図を察したのである。
ドラゴンは急降下して、落下するシューを助けたのであった。
「はぁー助かったぜ」
シューはホッとした。
「ドラちゃんにお礼を言ってください」
あのまま落ちていたら、シューは死んでいたのかもしれない。なので、命の恩人のドラゴンにお礼を言うように催促した。
「・・・俺は、こいつに殺されかけたのだが・・・」
シューは納得がいかないみたいである。
「ちゃんとお礼を言ってください」
私は礼儀には厳しいのである。
「ドラゴン、救ってくれてありがとう」
シューは渋々お礼を言った。
ドラゴンはお礼を言われて嬉しそうに宙返りをした。
「では、目的地へ向かいましょう」
私は元気よく言った。
「本当についてくるのか?」
「もちろんです。あなた方がなぜフレキさんを連れさったのか知りたいのです」
「テフヌトに聞いていないのか?」
「うるさい竜騎士の2人は、気持ちよさように眠っているので、私たちから逃げたシューさんから事情を探ることにしたのです」
私は、シューを逃すと危険だと思ったので、ドラゴンに飛び乗って状況を確認しよとしたである。
「悪いことは言わない。このままこの島から去ってくれないか?アトラース様に関わるのは危険だ。それに、俺もお前達のことは報告はしない」
「あなたが報告しなくても、あの2人が報告するはずです」
「確かにそうかもしれない・・・しかし、逃げるのができるのは今しかないぞ。本当に付いて来るのか?」
「はい」
「お前がいくら強くても、神人であるアトラース様の手にかかれば、一瞬で殺されてしまうぞ。それでも付いてくるのか?」
「神人?」
「そうだ。神人を知らないのか?」
私は魔王書庫に幽閉されていた時に神人に付いて書かれていた文献を読んだことがある。神人とは・・・
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