第313話 ホロスコープ星国 ルシス編 パート25


 テフヌトとイシスはお互いに睨み合っている。



 「俺は以前からお前の態度が気に入らなかった」



 テフヌトが睨みつけて言う。



 「俺もリーダ気取りのお前に以前からムカついていたのだ」



 イシスは、テフヌトを睨み返す。



 「俺に勝てると思っているのか」



 テフヌトはイシスの胸ぐらを掴む。イシスは、テフヌトの腕を払う。



 「上等だ!今この場でお前より俺のが強いこと証明してやる」



 イシスは、強く拳を握りしめた。イシスの拳は金色に輝き出して、イシスの腕が三日月のような剣になった。イシスは腕を剣に変える能力『クレセント(三日月)』を使った。


 イシスは両手を剣に変えて、戦闘態勢に入った。



 「俺の剣の舞を避けることができるかな」



 イシスは笑みを浮かべながら、クネクネと体を動かしながら、テフヌトに攻撃を仕掛ける。


 一方、テフヌトは、『ライオンネイル』の能力を使って、両手の爪を剣のように伸ばして、戦闘態勢に入る。


 

 「うるさいです!」



 ゲリとフレキの感動の対面を果たしている時、私の横でごちゃごちゃと騒いでいる2人の男がいた。温厚な私は、無断でこの島に入ってきたので、ある程度の雑音は許してあげることにした。しかし、あまりにもうるさいので、注意することにしたのである。



 「関係のない奴は黙っていろ!」


 

 テフヌトとイシスがハモるように言った。



 『ボコ、バコ』



 私は相手にするのが面倒なので、扉をノックする感じで、軽くみぞおちを叩いた。



 『ズデン』『バタン』



 テフヌトとイシスは白目を向いて倒れた。



 「これで静かになります」



 私はニコって笑って呟いた。



 「ルシスさん、あの2人が私を連れ去った竜騎士ですか?」


 「そうだと思います。うるさいので、少しおとなしくしてもらいました」


 「そうですね。さっきから、ゲリさんにちょっかいをかけていましたね」


 「私に何かしてたの?」



 ゲリには攻撃無効の神獣スキル『鉄壁』あるので、全く攻撃は効かないのである。



 「ゲリちゃんには、特殊なスキルがあるので、攻撃は無効化されるから、本人は何があったのか気づいていないのです」


 「そうみたいね。あなた達が、あの2人の攻撃を無視していたから、問題ないのだとすぐに気づきました・・・そういえば、私はラードーンに攻撃された時、痛みを全く感じませんでした。もしかしたら、ゲリさんのスキルが関係あるのですか?」



 フレキは一方的にラードーンから攻撃を受けたが、全く効いていなかった。それは、ラードーンの攻撃力が低いからではないのである。



 「私が、『同化』を使ったのだぁ」



 ゲリが人界に降りたことにより、ゲリのもう一つの幻獣スキル『同化』を発動したのである。ゲリには、大事な人を守るために、『鉄壁』のスキルを一時的に与えることができるのである。


 ゲリは、フレキに何かあったら困るので、『同化』を発動していたのである。



 「もしかして、ゲリさんその『同化』を授けられた私は、『鉄壁』を使うと魔力が減少するのですか?」


 「???わからないのだぁ」



 ゲリは首を傾げる。



 「その可能性は高いと思います。『鉄壁』はゲリちゃんのスキルなので、ゲリちゃんは魔力は消耗しません。しかし、フレキさんは、一時的にゲリちゃんの『鉄壁』を借りている状態なので、『鉄壁』が発動されると、魔力を消耗する可能性があります」



 私は、わかりやすく解説をした。



 「それで、魔力がなくなったのですね」



 フレキは納得した。



 「私・・・お姉ちゃんに迷惑をかけたのだぁ」



 ゲリは涙目になる。



 「違います。ゲリさんのおかげで、私はラードーンに殺されなかったのです。ゲリさん、私を助けてくれてありがとうございます」



 フレキは笑顔でお礼を言った。



 「お姉ちゃーーーん」



 ゲリはフレキにお礼を言われて嬉しくて、フレキに抱きついた。



 「ゲリさん」



 フレキもゲリを抱きしめる。


 フレキには『鉄壁』のスキルが発動しているので、ゲリのベアハッグは効かないのである。なので、お互いに抱きしめあって、久しぶりの再会を喜ぶのであった。



 「あいつらは何者だ・・・」



 上空から、私たちを見ている人物がいた。それは・・・ディービルの森の魔獣を『オリュンポス国』へ誘導しに行った竜騎士のシューであった。


 シューは『ヘリオポリス島』の周辺でただなぬ魔力を感じて、急いで戻ってきたのである。『オリュンポス国』への魔獣の誘導は、召喚したドラゴンに託したのである。



 「見つからないように、みんなに知らせないと・・・」



 シューは私に見つからないようにこっそりと、逃げ出したのである。



 『トントン』



 シューの背中を誰かが叩く。



 「誰だ、俺は今忙しいのだ。後にしてくれ」



 シューはイライラしながら言った。



 「どこへ行くのですか?」


 「アトラース様に報告に行くのだ」


 「アトラース様って誰ですか?」


 「アトラース様はこの『ヘリオポリス島』を作って、結界を張った人物だ」


 「どこにいるのですか?」


 「この島にはいない。でも連絡する方法があるのだ」


 「何を報告するのですか?」


 「不審者が侵入したのだ。しかもとんでもなく強い奴らだ」


 「私も付いて行きます」



 シューの乗っているドラゴンに飛び乗って、シューにいろいろと質問しているのは、もちろん私である。


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