第344話 魔石国家ケルト王国編 パート14
すぐにバクはアネモネの体内から出てきて、フェニに腕に飛び込んだ。
「バクちゃんお帰りですぅ。呪いを食べてきたの?」
「バグググゥウー」
「フェニ、バクはアネモネさんの呪いを食べてきたと言ってるよ」
「バクちゃん、えらいですぅ」
フェニはバクを抱きしめて頭をナデナデする。
アネモネさんの呪いは無くなったので、ポーラを部屋に呼び戻した。
「お母さんの呪いは解除できたのですか?」
ポーラは心配そうにしている。
「ポーラさん、もう大丈夫です。すぐにアネモネさんは目覚めるはずです」
「本当ですか?」
不安そうな目をでポーラは僕を見ている。
「ポーラ、お友達を連れてきたの?お母さんの寝室に友達を入れてはダメじゃないの?」
バクに呪いを食べてもらったアネモネが目を覚まして、自分のベットの周りに見知らぬ客人が居て驚いている。
「お母さーーん」
ポーラは母親に抱きついた。
「ポーラどうしたのよ?」
アネモネは現状を理解できていない。しかも、母親が目を覚ました喜びで、ポーラは泣きじゃくって、ポーラは現状を説明できる状態ではない。
「アネモネさん、あなたは呪いによって数日間眠っていたのです。僕はポーラさんが困っていたので、あなたの呪いを解除しにきたのです」
「それは、本当なの?」
「お母さん、お母さん」
「本当です。ポーラさんの様子を見れば納得いただけるでしょう。あなたがずっと眠っていたので、とても辛い思いをしたのです」
「ポーラ・・・心配かけてごめんね」
アネモネはそっとポーラを抱きしめた。
「アネモネさん、あなたは、まだ眠っている状態の演技を続けた方が良いと思います」
「どうしてですか?」
「なぜ、あなたは呪いをかけれてと思いますか?」
「それは、井戸に毒を発生する魔石具あることを報告しよとしたからですか?」
「そうだと思います」
「私に呪いをかけたの村長なのですか?」
「村長か魔石具屋の店主のグリシャである可能性が高いと思います」
「それなら、早くこの事をみんなに知らせてあげないと!」
「危険ですよ。あなたは嘘つきだと村長は村人に吹聴しています。あなたの話を信じてくれる人は少ないでしょう」
「大丈夫です。私は女神教の信者です。女神様が必ず私を守ってくれます」
「女神様を信じることは間違ってはいませんが、今すぐに助けてくれるとは思いません。現にあなたは呪いにかけられて、眠った状態になっていました。なので、今は女神様よりも僕の意見に従ってくれませんか?」
「そうですぅ。アネモネさんの呪いを解除できたのは、リプロ様のおかげですぅ」
「お母さん、リプロさんに従いましょう」
「わかったわ。私はどうすればいいのかしら」
「今日はこのまま大人しく家に居てください。そして、ポーラもお母さんが目を覚ましたことを誰にも言ってはいけないよ。僕は井戸を調査するので、調査が終わるまでは騒ぎを起こして欲しくないのです」
「わかりました。私は家でおとなしくしています」
「私もです」
「私は着いていきますぅ」
「そうだね。フェニは一緒に行こうか!」
「はーーい」
「アネモネさん、井戸の場所を教えてもらえませんか?」
「わかりました。井戸の場所の地図を書きます」
アネモネは井戸の場所の地図を書いて僕に渡してくれた。
「ありがとうございます。一旦宿屋で休んでから、夜に井戸の探索をするので、明日の朝にご報告に来ます」
「お願いします。本当に井戸に毒の魔石具があるのか確認してください」
「任せてください。アネモネさんが嘘つきでないと僕が立証してみせます」
僕はポーラの家を出て、村の宿屋に泊まることにした。宿屋で少してゆっくりした。そして、日が落ちて村の灯りも消えかけた深夜あたりに宿屋を抜け出して、アネモネさんが書いてくれた地図を頼りに井戸へ向かった。
井戸は村の中心にある。井戸といってもバケツで組み上げるような井戸ではない。村の中心部に大きな円状の建物あり、そこから階段を下っていくと貯水場がある。昔は井戸から直接バケツで水を運んでいたが、魔石具の技術の向上により、魔石具を介して各家庭に水が供給されるようになったのである。
井戸と呼ばれる貯水場の円状の建物に入るには、2人の門番の許可をもらわないと中へ入ることはできない。
「リプロ様、バクちゃんを使うのですか?」
「このまま入っていくよ」
「えっ大丈夫なのですか?」
「問題ないよ」
「でも・・・門兵がいるのですぅ」
「大丈夫だよ」
僕は門兵がいる井戸の施設に向かっていく。門兵二人は暇そうにボーとしている。僕は門兵の腰につけている鍵を奪うが、門兵はボーとして動かない。僕は鍵で井戸の施設の扉を開いて中へ入る。
「リプロ様、どうして門兵は何も言ってこないのですか?」
「『時の守護者』の能力の一つの『タイムキーパー』を使ったのだよ」
「『タイムキーパー』?」
「そうだよ。門番の時を少し奪ったのだよ。だから、僕たちが通ったいる時間は彼らには存在しない時間なんだよ」
「ふーーん、なんだかよくわからないけどリプロ様はすごいですぅ」
「僕の能力なんてお姉ちゃんやお兄ちゃんに比べたら、大した事ないよ」
「リプロ様のお姉様とお兄様はすごいんですね」
「そうだよ。特にお姉ちゃんは僕が憧れの存在なんだぁ」
僕はお姉ちゃんのことも思い出して嬉そうにニコニコしながら言った。
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