第215話 神守聖王国オリュンポス パート24
私たちは王都に戻ってきてネテア王妃がいるオリュンポス城に案内されていた。
「『ラスパ』『金玉』の皆さん、この度はデレクの企み、ネプチューンの反乱を防いでくれてありがとうございます」
ネテア王妃が自ら頭を下げてお礼を言った。
「お褒めにいただき光栄でございます」
ロキさんとソールが平伏しながら言う。
「皆さん、そんなに畏まらんくてもよろしいでわ。普段通りでいてください」
ネテア王妃が笑顔で言った。
私たちは王妃の前なので平伏していた。さすがのトールさんも大人しく平伏していた。
「本当にいいのか」
トールさんは恐る恐る言った。
「少し様子をみた方がいいわ」
ポロンさんはかなりビビっている。
いつものトールさんなら喜んですぐに普段通りの振る舞いになるのだが、王妃の前なので慎重に行動をしている。
「ネテア王妃様の許しが得たので普段通りにしましょ」
ソールが平伏するのをやめた。
「ネテア王妃様、玉座の間は堅苦しいので、いつもの客間に移動した方がよろしいかと思いますわ」
王国騎士団長のフレイヤが言った。
「そうね。みんながリラックスできる場所の方がいいよね。客間に移動しましょう」
ネテア王妃が笑顔で言った。
私たちは客間に移動したのであった。
「『ラスパ』の皆さんには、今回の活躍で冒険者ランクをC1に上げることに決定しましたわ」
「本当ですか」
ロキさんが嬉しくて再確認した。
「本当ですよ。『ラスパ』の皆さんの応援がなければ、ネプチューンの反乱を阻止するのは難しかったと思います。本当はBランクでも良かったのですが、今はこの国にはBランク冒険者はいません。なので、段階を経てからBランクにあげよと思っています」
「ありがとうございます」
ロキさんは丁寧にお辞儀をして感謝した。
「ロキさん、おめでとう。あなた方は本当に短期間で強くなったわ。この国最強の冒険者の名は『ラスパ』にこそふさわしいわ」
ソールが賛辞を述べる。
「やったぜ」
トールさんは小さくガッツポーズをした。
「やりましたわ」
もちろんポロンさんも小さくガッツポーズをした。
「今後この国はどうなるのでしょうか?」
ロキさんがネテア王妃に質問する。
「ネプチューンとアポロは叛逆の罪で、この城の地下にある牢屋に幽閉しているわ。今後どうするかは考え中よ。ハデスの証言で、あの2人の企みは詳しくわかったからね」
ハデスは、ネプチューンを拘束して王都に来ていた。そして、全てのこときちんと説明して、自分も罪を償うと出頭していたのである。ハデスの真摯な対応に、ネテア王妃もハデスを罰することはなく、今後『キュンキュン教団』としての活動を応援するとの約束をしたのである。
「デレク王はどうなるのかしら」
ロキさんは、みんなが疑問に抱いていることを率直に質問した。
「デレクも拘束しているわ。デレクは明日の国民に向けた声明の時に、国王の地位を退くことを発表することになっているわ。デレクは国王の地位を剥奪して、平民として裁きを受けることになるわ。デレクにもきちんとした裁きを下さないと、国民達に示しがつかないからね」
「懸命なご判断と思います」
ロキさんは敬意を込めて言った。
「ジュピター王子は、どういたしましょう」
フレイヤが言った。
「そうね・・・あの子は、デレクに上手い事利用されていただけだし、しかも失敗ばかりで、大した事はしていないわ。でも王子だけ何も罰則をしないのも、国民から不平が出るだろうから、ジュピターには、王位継承権を辞退してもらうわ」
「それがいいと思います」
フレイヤが静かに言った。
「アレスは、どういたしましょう」
フレイヤが心配そうに呟いた。
「アレスはゾンビなのでどうするか迷っているわ。ジュノの力で浄化できるみたいだけど、アレスもユーピテルを倒すのに全面的に協力したと聞いているわ。どうしたらいいのかしら」
ネテア王妃は判断に困っていた。
「ジュノとの結婚を認めてあげてください」
さっきまでおとなしくしていたマーニが大声で発言した。
「それがいいと思いますわ」
ポロンさんも賛同した。
「どういう事なの?」
ネテア王妃は混乱していた。
マーニは、アレスとジュノの愛の物語を最大限に誇張して、ネテア王妃とフレイヤに説明したのであった。
「フレイヤさん、あなたはアレスの憎っくき恋のライバルですわ!あなたの想い次第でこの結婚の話も複雑になってしまいますわ」
マーニはフレイヤをにらみ付ける。
「ジュノには全く興味はないわ」
フレイヤは即答した。
ジュノは告白もせずにフラれたのであった。
「アレスとジュノの結婚は認めるわ。どんな種族も仲良く暮らせる国を作るのが私の政策ですからね。でも結婚は2人の合意で成り立つので、ジュノとアレスの判断に任せるわ」
ネテア王妃は、片方の意見だけで判断するような人ではないのであった。ジュノはマーニの策略に陥る所であったが、ネテア王妃の懸命な判断で助かったのである。
それから、いろいろ話し合いたくさんの事が決定した。
話し合いが終わって逃げるように私たちはお城を出た。
私とトールさん、ポロンさんは堅苦しい話は苦手だったので、やっと解放されてほっとしたのであった。
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