第240話 ホロスコープ星国 パート17
次の日、私は王都シリウスに向かうため、カペラの町を出発しようとした。
「フェニちゃん、少しお話があります」
私が、カペラの町を出て行こうとした時、門番が私に声をかけてきた。
「なんですか?」
私は明るく返事をした。
「実は昨日、フェニちゃんが町へ入ってからすぐに、青騎士団の団長のライブラがこの町を訪れたのです」
「青騎士団?」
「青騎士団とは王都シリウスを守る4色騎士団の一つです」
「その青騎士団の団長さんが、どうしたのですか」
「フェニちゃんの似顔絵と美しい女性の似顔絵を持っていました。そしてフェニちゃんともう1人の女性を探していると言ってました」
「本当ですか」
私とフレキはホロスコープ星国から追われているみたいである。
「本当です。私の咄嗟の判断でこの町には訪れていませんと報告しました。するとライブラはハダルの町は向かって行きました」
門番は、私のことを心配するかのように、真剣な眼差しで私に教えてくれた。
「なぜ、私の居場所を言わなかったのですか?」
私は素直に聞いた。
「それは、私の妻が青騎士団の連中に見殺しにされたからです。妻はかなりの魔法の使い手でした。なので、魔獣討伐の遠征に何度か要請があり、青騎士団の連中について行くことがありました。いつもなら、Eランク程度の魔獣の討伐がほとんどなので、苦戦はすることはあっても死ぬことはありませんでした。しかし、その日は、青騎士団の連中が調子に乗って王の森の付近まで行ったのです」
「王の森?」
「王の森とは、ラードーンという100の頭をもつドラゴンの魔獣が支配する森です。ラードーンは150年前に隣国に現れた魔獣王の血を継ぐ恐ろしい魔獣です。なので、絶対に王の森には近寄ることはしないのですが、青騎士団の連中が、腕試しと言って王の森の付近で魔獣を退治したのです」
門番は怒りに満ちた表情で語り出した。
「王の森の魔獣を殺したことに怒ったラードーンは、王の森の奥から姿を現したのです。妻と仲間の女性の冒険者たちは、青騎士団の連中を助けるために必死にラードーンと戦いました。しかし、青騎士団の団長ライブラは、妻たちが戦っている隙に、青騎士団の連中を連れて逃げてしまったのです。残された妻と冒険者の方々は、ラードーンによって食い殺されたらしいです」
門番の瞳からは、涙が溢れ出した。門番はとても悔しいのだろう。
「青騎士団を守るために、妻たちは犠牲になったのに、青騎士団の連中は、妻たちが殺されたのは、すぐに逃げ出さなかった判断ミスとジェミニ王に報告して、自分たちは何も悪くないと言い張ったのです。そして、ジェミニ王は、妻や冒険者達が青騎士団に迷惑をかけたという判断を下して、青騎士団に対する迷惑料として、私と冒険者の家族たちの全財産を没取したのです。しかし、奇跡的に1人の冒険者が王都に戻ってきて、真相を知ることができました。しかし、生き残った冒険者は、嘘を言っていると判断されてアケルナルの町に投獄されています」
「ひどい話です」
私は話を聞いていると無性に腹が立った。
「私は、以前から『星の使徒』を頂点としたホロスコープ星国の考えに、納得していませんでした。そして、妻の死の真実を知って、王都から逃げるようにこの町へきたのです。なので、憎っくき青騎士団の団長であるライブラに協力など絶対にしたくないのです」
「私が奥さんの仇をとってあげます」
私はキッパリと言ったが、10歳の女の子が言っても説得力はない。
「ありがとう。お気持ちだけでも嬉しいです」
門番は笑顔で言った。
「面白い。俺を倒してみろよ」
青い鎧に身を包んだ冷酷な目をした男が私たちの前に現れた。
「ライブラ・・・ハダルの町へ行ったのではないのか」
門番の顔がピクピクと引き攣っている。
「お前の顔は見覚えがあったからな。俺を騙しいると思って、この近くで見張っていたのだよ」
「妻の仇だぁー」
門番は無謀にもライブラに突進していった。
「俺に勝てると思っているのか!俺たちのために死んでくれたお前の妻に免じて、一瞬で殺してやる」
ライブラの武器は細長い槍である。ライブラは槍を構えて、突進してくる門番の喉に向かって、槍を突き刺す。
『ファイヤーシールド』
私は、ライブラと門番の間に炎の壁を作った。
ライブラの槍は、炎の壁にぶつかって弾き飛んだ。
「命は大事にしてください」
私は門番に元へ行って、強い口調で怒鳴りつけた。
「申し訳ない。ライブラに嘘がバレてしまって、どうせ殺されるのなら、ライブラに一撃でも喰らわしたいと思ったのです」
門番は悔しそうに言った。
「私が奥さんの仇をとりますよ。だから、町の中へ避難してください」
私は微笑みながら言った。
門番は私にお礼を言うと町の中へ走っていった。
「逃がさないぞ」
『荷重』
逃げる門番の体が急に重たくなって倒れ込む。
「俺の『ゾディアックサイン』の能力は、重さを自在に操れるのだ」
ライブラが、冷たい視線で睨みつける。
『ヘルファイヤー』
私は燃え盛る炎をライブラに撃ち込んだ。
『軽量』
ライブラは体重を軽くして、スッとジャンプをして私の炎を交わした。
『ヘルファイヤーボール』
私は、炎のボールをたくさん作り出し、ライブラに目掛けて投げつける。
『瞬足』『倍倍』
ライブラは『スター』を発動して、私の『ヘルファイヤーボール』をうまくかわしていく。
「今のうちに逃げてください」
私は叫んだ。
ライブラの意識が私に集中しているので、門番にかけられていた『荷重』の効果がなくなり、門番は走って町の中へ逃げていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます