第241話 ホロスコープ星国 パート18


 「子供のくせに強力な魔法を扱えるのだな。しかし!俺は『スター』を同時に2つ発動できるエリートだ。しかも!重さを自由に操る能力を使える『ゾディアックサイン』の能力者だ。お前が俺に勝てる可能性は0だ。ゼーローだぁーーーー」



 ライブラは興奮して叫ぶ。


 ライブラは、『12使徒』の中では、冷静沈着かつ冷酷残忍な性格と評されている。そして、集団行動を嫌うので、ライブラに与えらる任務は暗殺など隠密な任務が多い。


 しかし、ライブラは実際は、感情的で落ち着きのない性格である。そして、ライブラは、とても人見知りで極度の緊張症なので、人前ではカッコつけてクールな自分を演じているので、間違った評価をされているのであった。今回も本当は、騎士団達を連れて、私とフレキを倒したかったのだが、自分に付いてしまったイメージ通りの行動をしないといけないというプレッシャに負けて、1人で倒しに行くと言ってしまったのであった。



 「門番は後回しにして、まずはお前の首をジェミニ王に届けてやる」



 ライブラは、槍を構えて私に向かって突進してきた。



 『剛腕』『倍倍』


 『荷重』



 ライブラは、『スター』を発動して筋力を強化した。そして、『ゾディアックサイン』の能力を使って、私に『荷重』をかけて動けなくした。



 「筋力を強化したぜ。これで炎の壁を作ってもぶち壊してやる」



 私は死ぬことはない。しかし、リプロ様の弟子として負けたくない。ライブラの『荷重』が私の動きを封じているので、このままだと、私はライブラの槍に突き刺され、頭を刎ねられるだろう。



 「嫌だ。負けたくない」



 私は心の中で叫んだ。リプロ様ならこんな『荷重』なんて、なんなく弾き飛ばすだろう。そういえば、リプロ様は魔力を全身から放てば、光の膜ができて攻撃を防ぐことができると言っていたはず。あの時は私にはできなかったが試してみよう。


 私は意識を集中して、全身から魔力を放ち、体の周りに光の膜を張った。



 「命乞いでもすれば、助けてやったのに面白くないぜ」



 ライブラはニタニタ笑いながら、私の心臓目掛けて槍を突き刺した。



 「ガハハハハ」



 ライブラは、勝利を確信して悪魔のような下品な笑い声をあげた。



 『ポキ』



 ライブラの突き刺した槍は、私が張った光のシールドにぶつかって簡単に折れてしまった。



 「すごい・・・『ファイヤーシールド』の数倍の硬さがあるみたい」



 私は飛び上がるくらいに驚いていた。


 私は、リプロ様が教えてくれたライトシールドを使うことができたのである。



 「貴様、何をした」



 ライブラは、なぜ槍が折れたのか理解できない。


 しかし、私は槍の攻撃を防ぐことができたが、まだピンチは続いている。ライブラの『荷重』を解かない限り、攻撃ができないのである。


 私は考えた。リプロ様との特訓で教えてもらった事を・・・そうだ!リプロ様は相手の魔力の流れを読み取ることで、相手の魔力量や、魔力の動きを読み取ることができると言っていた。魔力の流れを読み取るには、魔力のオーラを全身から発して、相手の魔力を感知すれば良いと言っていたはず。あの時は、リプロ様の言っていることは、全く理解できなかったが、今ならできそうな気がしてきた。


 私は、全身から魔力を放出して、魔力のオーラを発した。すると・・・上空から、私を抑え付ける黒いオーラを感じることができた。



 「この黒いオーラが『荷重』の正体だわ」



 私は、自分の発したオーラを黒いオーラに向けて、勢いよく放った。


 私の発したオーラは、黒いオーラを弾き飛ばした。黒いオーラを弾き飛ばしたことにより、私は自由に動けるようになった。


 

 「俺の大事な槍を折りやがって、絶対に許さないぜ」



 ライブラは、もう一本の槍を取り出して、再び私に向かって突進してきた。


 しかし私は、『荷重』から解放されているので、ライブラの攻撃を簡単に避けることができた。



 「なぜ、動けるのだ!」



 ライブラは驚愕している。



 「私には『荷重』は効きませんよ」



 私は、ライブラを見下すように自慢げに言った。



 「偶然だ。俺の『荷重』が効かない者などいないはずだぜ」



 ライブラは、私の言葉を信用しない。私が動けたのは偶然だと思っていた。


 

 『荷重』



 ライブラは、大声で叫んだ。しかし、私にはもう『荷重』は通用しない。私は魔力のオーラを発して、黒いオーラを弾き飛ばした。



 「死ねーーークソガキが」



 ライブラは、『荷重』が効いていると思っているので、単調な動きで私に突っ込んでくる。


 わたしは、ライブラの攻撃をサクッと避けた。



 『ヘルファイヤー』



 そして、巨大な炎を放った。


 ライブラは、またしても『荷重』が効かなかったこと驚いて、頭の中が真っ白になり呆然と立ち尽くしてしまった。そんなライブラに、私の炎を避けることができるわけがない。


 ライブラは炎に包まれて、悲鳴をあげて倒れ込んでしまった。



 「フェニさん、その辺で許してくれませんか?」



 炎に包まれて、意識を失ったライブラに駆け寄る男がいた。



 「お願いです。ライブラを殺さないでください」



 男が私に嘆願した。



 「この人は私を殺そうとしました。なので、わたしに殺されても文句は言えません」



 私は男の嘆願を拒むことにした。



 「フェニちゃん、ライブラを助けてあげてください」



 先ほどの門番が戻ってきた。



 「いいのですか?」


 「私は、ライブラが殺したいくらいに憎いですが、ポルックス様が助けて欲しいと言っているので、助けてあげてください」



 門番が頭を下げて言った。


 私は、炎を消してライブラを助けてあげた。



 「ありがとうございます」



 ポルックスが深々と頭を下げた。

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