第242話 ホロスコープ星国 パート19

 

 ライブラは、ポルックスが従えていた兵士によって運ばれて行った。


 私は正当防衛とはいえ、ホロスコープ星国の騎士団の団長を倒してしまった。この町はホロスコープ星国の町である。町長が私をどのように扱うかで、私はどう行動すべきか判断しないといけない。



 「ライブラの命は助けてあげましたが、私をどう処分するつもりなのですか」



 私は、ポルックスを睨みつけながら言った。



 「待ってください。あなたは少し勘違いしているようです。私は、ライブラを倒したあなたを処分するつもりはありません」



 ポルックスは慌てて言った。



 「どういう事ですか?」



 私は、まだ、ポルックスを意図は理解できない。



 「カペラの町は、ホロスコープ星国の町の1つですが、ホロスコープ星国の横暴な統治に耐えれなくなった者が集まる町なのです。だから、今回あなたがライブラを倒してことは内密にしておきます」



 ポルックスは、私に理解できるように必死に説明する。



 「ハダルの町と同じって事ですか?」



 ドラキュンの話だと、ハダルの町は、ホロスコープ星国から逃げてきた人を助ける役割をしていると言っていた。



 「確かに、ホロスコープ星国から逃げきた人たちを助けるという意味では同じでありますが、ハダルの町へ向かう者は、非常にごく稀な人々です。」



 「稀な人とは?」



 「稀な人とは、ジェミニ王もしくは『星の使徒』によって、罪人と認定された者です。ホロスコープ星国では、ジェミニ王を頂点として、『星の使徒』により国が支配されています。ジェミニ王もしくは『星の使徒』に逆らう者は罪人として、アケルナルの町へ投獄されます。しかし、投獄される前に、レジスタンスの協力を得て、ホロスコープ星国から逃げ出す者が行き着く場所が、ハダルの町になるのです」


 「そうなんですね」



 私は、ポロックスの説明で、ハダルの町とカペラの町の違いを少しは理解できた。しかし、なぜ、ホロスコープ星国の支配下にあるカペラの町は、ホロスコープ星国から逃げてきた者を放置しているのだろうと疑問に思った。



 「この町には、ホロスコープ星国からの追手は来ないのですか?」


 「それは、私が説明しましょう」



 門番が、ポルックスの代わりに説明をし出した。



 「ポルックス様は、『星の使徒』の1人であります。しかし、ポルックス様は、ジェミニ王の国の統治のあり方に意義を申し立てたのです。『星の使徒』でも有力者だったポルックス様でしたが、ジェミニ王に意見したことにより、他の『星の使徒』より叛逆の烙印を押されてしまいました。そしてポルックス様は、王都シリウスから追放されて、このカペラの町の町長になったのです。『星の使徒』は絶対的な身分であるので、ポルックス様を罪人にすることもできなかったのです。ポルックス様は、国民から愛されるお方なので、ホロスコープ星国の圧政に苦しむ人々がポルックス様を頼って、この町へ来るようになったのです」



 門番は熱い気持ちで熱弁する。



 「しかし、あまりにも逃げ出すものが増えた為、ジェミニ王と『星の使徒』は、カペラの町から、逃げ出した者を引き戻そうとしました。しかし、逃げ出した者は、何も罪を犯してはいないので、連れ戻すことはできません。強引に連れ出すことは、『星の使徒』であるポルックス様対する冒涜になってしまいます。なので、ホロスコープ星国からの追手はくることはありませんでした。その為、ジェミニ王は、王都シリウスとカペラの町の間に大きな関所を作って、カペラの町へ行くことを困難にしたのです。関所ができたことにより、カペラの町へ逃げ出すことが困難になってしまいました。しかし、私は、レジスタンスの協力を得て、なんとか無事にこの町に移住することができたのです」


 「それでは、王都シリウスに行くのも困難になったと言うことですか?」



 カペラの町へ行きにくくなったことは、王都シリウスに行くのも困難になったのではと私は思った。



 「王都シリウスに行くのは、簡単な手続きをすれば問題ないと思います。そういえば、フェニさんは王都シリウスに行く予定でしたね」


 「そうです。身分証も持っていないし、簡単にいけるか不安です」



 私は、落胆した表情で言った。



 「フェニさんは要注意人物として、手配書が出ています。関所を通るのは不可能でしょう。関所に姿を見せた途端に、拘束されると思います」



 門番は心配そうに言った。



 「それは困りました。私は、王都シリウスに行きたいです。絶対に行きたいです」



 私は、頬を膨らませて駄々をこねるように言った。



 「フェニさん、一つだけ方法があります」



 ポルックスが、私の駄々のこねっぷりに呆れて声を上げた。



 「教えてくださぁーーい」



 私は、おねだりをするかのように、可愛らしい声で言った。



 「こんな可愛い子が、ライブラを倒したと誰が信じるのだろうか・・・しかしフェニさんの実力は本物です。フェニさんなら、レジスタンスの協力を得て、王都シリウスに侵入できるかもしれません」


 「レジスタンス??」


 

 そういえば、さっきの門番の説明の時にも出てきた言葉だ。あまり意味はよくわからなかったが、話の腰を折るのも嫌だったのでスルーしていた。



 「レジスタンスとは、ホロスコープ星国を支配するジェミニ王と『星の使徒』に反旗を翻した組織の事を言います」


 「へーーそうなんだ。勉強になりました」



 私は、なんとなく理解した・・・はずである。



 「レジスタンスの協力を得ることができれば、王都シリウスに侵入することも可能でしょう」


 「そうなんですね。それなら、レジスタンスさんを紹介してください」



 私は笑顔で言った。



 「わかりました。しかし、少し時間がかかりますので、出発は少し遅らせてもらってよろしいでしょうか」



 ポロックスは、申し訳なさそうに言った。


 私は、そんなに急ぐわけでもないので、レジスタンスさんが来るまで待つことにしたのであった。





 

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