第243話 ホロスコープ星国 パート20



 「ここはどこだ」



 数日後、ライブラは、カペラの町の町長の屋敷の地下室で目を覚ました。


 ライブラは、私の『ヘルファイヤー』の攻撃を受けて、全身に大火傷を負っていたが、私が途中で炎を消したことと、カペラの町の優秀な魔法使いの治療により、6割くらいは回復していたのであった。



 「久しぶりですね」



 ポルックスが声をかける。



 「お前が俺を助けたのか」



 ライブラは、ポルックスを睨みつける。



 「私が止めに入らなければ、あなたは彼女に殺されていました」



 ポルックスは、ライブラの目をじっと見つめている。



 「そんなことはない。もう少しで俺が逆転するところだったんだ」



 ライブラは、悔しそうに歯を食いしばりながら言った。



 「本当にそう思いますか・・・私はあなたと彼女の戦いを観戦していました。最初はあなたのが優勢だと感じて私は止めに入ろとしましたが、彼女は戦いながら成長しているように感じました。彼女は私が思った通り、戦いを通じて大きく成長して、あなたの実力を簡単に超えてしまいました。このままだとあなたは殺されてしまうと感じたので、私が止めに入ったのです」



 ポルックスは淡々と語った。



 「俺の能力さえきちんと発動していれば勝てたはずだ」



 ライブラは悔しさのあまり涙を流し出した。



 「それは違います。彼女はあなたの能力を凌駕したのです。あなたを倒した彼女なら、腐り切ったホロスコープ星国を変えてくれるかもしれないと私は感じました」


 「この国を変えるだと」


 「そうです。彼女にはそれだけの力があると私は思っています。私は、ジェミニ王の統治には問題があると思い、この国のあり方を変えるように進言したのですが、あなた方に、王都シリウスから追放されてこの町にきました。私には国を変える力はありません。だから、この町で、王都から逃げてきた者を匿う事をしているのです」


 「それは知っている。ジェミニ王は、お前を殺すことはしないし、この町で自由に統治することは容認している。しかし、反旗を翻すなら、たとえお前でもジェミニ王は容赦はしないはずだ」


 「それはわかっています。なので、私は動くことができないのです。しかし、私が動かなくても、今の腐り切ったホロスコープ星国は誰かが滅ぼしてくれるでしょう」



 ポルックスは拳を握りしめながら熱く言った。



 「それがあのガキなのか」


 「彼女1人では難しいかもしれませんが、彼女を助ける仲間が現れたら成功するでしょう」



 ポルックスは未来を暗示するかのように言った。



 「ウルフキングか・・・」


 「どうでしょう。彼女の話によると、ウルフキングとは別々の旅をすることになったと言っていました。彼女とウルフキングが協力すれば、ホロスコープ星国の崩壊も近いかもしれません。それにレジスタンスも協力するかもしれません」



 私は、ポルックスにある程度の事情は説明していた。ポルックスは、私を救世主のように称えるので、つい調子に乗って色々と喋ってしまったのであった。



 「『レッドブラッド』の連中か・・・あいつらにも手を焼いているが、レオとキャンサーがアジトを見つけ出したはずだ。今頃、『レッドブラット』は壊滅しているかもな」



 ライブラは嬉しそうに言った。



 「それは、本当なのか・・・」



 ポルックスは驚きの表情を隠せない。



 「本当だ。俺の相手よりも、『レッドブラット』を助けに言った方がいいかもな」



 ライブラは、ポルックスを嘲笑うかのようにニヤニヤしている。



 「ライブラの拘束はしっかりとしておきなさい。私は急用ができましたので後は任せます」



 ポルックスはそう言うと、急いで地下の部屋から出て行った。



 

 私は、レジスタンスさんと会えるまで、カペラの町の近くで魔獣と戦いながら、魔力操作の練習と宿賃を稼ぐために素材をゲットしていた。


 フレキは争いのない平和のない世界を目指しているが、私も同じ気持ちである。しかし、町から出ると魔獣は人間を襲ってくるし、人間も素材を手に入れるために魔獣を襲う。私も自分が強くなるために魔獣と戦い素材を手に入れる。


 フレキと少しだけ一緒に旅をして、魔獣も平和に暮らす権利があると感じながらも、魔獣を倒して生活をしている自分に矛盾を感じていた。



 「わからないよーー」



 私は、カペラの町から離れた草原で、大きい声で叫んでいた。



 「フレキさん、私はどうしたらいいのですかーー」



 フレキから答えが返ってくることはない。私は矛盾を抱えながら、カペラの町へ戻ることにした。カペラの町に戻ると、門番が慌てて私のところへ駆け寄ってきた。



 「フェニちゃん、待っていたんだよ。すぐにポロックス様の屋敷に行ってください」


 「レジスタンスさんが来たのですか?」



 私は嬉しそうに言った。



 「残念ながら、レジスタンスの方はまだ来ていません。しかし、レジスタンスの事で、大事な話があるそうです。なので、急いでポルックス様の屋敷に行ってください」


 「わかりました」



 私は急いでポルックスの屋敷に向かったのであった。


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