第64話 アトラス山脈にてパート3



  飲みすぎたメデューは、酒に酔ってしまって石化のブレスを吐き出した。エウリさんは、石化耐性があるので石化されないが、トールさんとポロンさんは瞬時に石化されてしまった。


 私はとっさに、シールドを張って難を逃れた。メデューは、すぐにエウリさんに押さえつけられ、別室に連れて行かれた。ロキさんは、離れていたので石化されずに済んだのであった。



 「申し訳ありません。すぐにその2人の石化を解除したいのだが、石化が解けるのは、少し時間がかかってしまいます。今日はこの屋敷に泊まって、石化が解けるのを待ってくださいね」


 「そうします」



 わたしの魔法で、すぐには石化は解除することはできるが、ステンさんにお任せすることにした。メデューは、酔いが覚めるまで別室で監禁するとのことだった。



 「私の配慮が足りませんでした。私たちは石化耐性があるので、石化ブレスは気にならないので、いつもと同じような感覚で飲んでしまったのがいけなかったわ」


 「気にしないでください。仕方のないことです。もったいないので、残りのお酒とおつまみを食べましょう」



 わたしは、用意した食事がもったいないので、残ったみんなで食べる事を提案した。騒がしい3人がいないので、ゆっくりお食事が楽しめそうだ。



 「ありがとう。このお酒もおつまみも、今まで味わった事のない格別な美味しさですわ。竜光石以外にも何か、私たちにできることがあれば言ってくだいね。石化のお詫びもしたいと思いますので」


 「それなら、教えて欲しいことがあります。アトラス山脈にあるイディ山には、精霊神が住んでいるとの情報を得ています。仲間の1人が、精霊神の加護を受けるために、イディ山を探しています。イディ山の行き方を教えて欲しいのです」


 「精霊神の住むイディ山ね。ここからだと、私たちのように空を自由に飛ぶことができれば、すぐに着くことができますわ。しかし、入り組んだアトラス山脈を、徒歩で行くとなると3日間はかかると思うわ」


 「そうなのですか・・・仕方がありません。頑張って歩いて行くことにします」


 「いえ、私たちが連れて行ってあげるわ。石化のお詫びとしてね」


 「それは助かります」


 「私は飛べるので大丈夫です」


 「そうね!ルシスちゃんは飛べるから、私たち3人を運んでもらうことにしましょう」


 「わかったわよ。それなら明日の朝にでも出発しましょう。空からなら30分もかからないと思うわ。精霊神の試練を受けるなら、イディ山の麓に連れて行ってあげるわ」


 「助かります」



 私たちの次の目的は、ポロンさんが精霊神の加護を受けること。それと、手に入れた竜光石を加工できる人を探しにドワーフの王に会いに行くことである。色々とあったが旅は順調に進んでいる。





 夜になる頃には、2人の石化も解除せれた。メデューも酔いが覚めて、2人の姉に説教を受けている。



 「ひどい目にあったな」


 「そうですわ」


 「まさか、食事中に石化されるとは・・・」


 「あの子は危険ですわ」


 「終わったことですわ。2人とメデュを許してあげて。たぶんメデューも反省しているわ」


 「そうだな。石化のお詫びとして、イディ山まで、連れて行ってもらえるなら、逆に感謝しないとな」


 「えっへん。私に感謝するのは当然ですのよ」



 メデューが自慢げな笑みを浮かべている。


 全然反省は、していないようだ・・・



 「メデュー、ちゃんと謝りなさい」



 メデューはステンさんに怒られた。



 「ごめんなさい。お酒は、控えるようにできるだけ検討してみます」



 メデューは、お酒を控える気はないみたいなので、ステンさんに頭を殴られたのであった。



 「メデュー、これからは、客人がいる時はお酒を飲むことは許しません」


 「わかりました。でも今晩だけは飲むことを許してほしいです。このお酒は美味なので、もっと飲みたいです」


 「ダメです。どうしても飲みたいのなら、別室で飲みなさい」


 「・・・わかりました」



 メデューは、晩飯用にテーブルに置いてあった全てのお酒と食事を持って別室に、颯爽と去っていった。その姿を見てステンさんは唖然としている。



 「申し訳ない」


 「いえいえ、気にしないでください。代わりの食事は、私が他の食事とお酒を用意しますので、問題ありません」


 「何があるのだ」


 「気になりますわ」



 トールさんとポロンさんの目が輝いている。私は、旅の途中に時間があれば食材を集めて料理をしていた。だから、たくさんの料理を作って保存していた。普段は、魔獣の肉を焼いて食べるという、この世界の食事していたので、新たな料理に2人は期待しているのだろう。


 この世界にはハンバーグがなかったので、私はハンバーグをたくさん作っていた。なので、ハンバーグを出すことにした。



 「ルシスこれは、なんという料理なのだ」


 「これはハンバーグと言います。とてもジューシーで、肉汁がジュワーと溢れ出るお肉の料理です」


 「それは旨そうだな」


 「美味しそうですわ」


 「たまりませんわ」


 ・・・・・・



 ハンバーグの匂いにつられてメデューが出てきた。


 しかし、ステンさんに引きつられて別室に連れ戻される。


 このやりとりが3回も続いたのであった。



 「やっと食べれるぜ」

 

 「そうですね。もうメデューは来ないはずですわ」


 

 トールさんがハンバーグを一口食べてみた。



 「このハンバーグという食べ物は、すごいな。ジュワーと溢れ出る肉汁に、ホロっと柔らかく崩れ落ちる肉厚、これは絶品であること間違いなしだ」



 みんなは美味しくハンバーグを食べてくれた。自分が作ったものを美味しく食べてもらえるのは、うれしいものである。



 しかし、かわいそうなのでメデューにも後でハンバーグを渡してあげた。



 

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