第353話 魔石国家ケルト王国編 パート23


 「これだけだと思うなよ」



 オグマはそう言うとオグマが二人になった。



 「また幻影の魔石具を使ったですぅ〜。でも・・・おかしいですぅ。どちらも幻影ではないのですぅ」



 フェニは少し困惑している。



 「そうだね。あれは分身の魔石具だと思うよ。分身の魔石具は幻影の魔石具と違って、2体とも本物なのだよ。だから2体とも倒さないといけないのだよ」


 「2対1は卑怯ですぅ。私がリヴァちゃんの加勢をするのですぅ〜」


 「大丈夫だよ。オグマが何人いてもリヴァイアサンには勝つの無理だと思うよ」


 「でも。倍倍の魔石具も使っていますぅ」


 「そうだね。でも、いくら力等を倍増してもオグマの元の力がしょぼいと意味がないのだよ」


 「あんなに大きいのに弱いのですか?」


 「そうだね。あまり努力をしてこなかったんだと思うよ。フェニも努力は怠らないようにね」


 「はーーい」



 フェニは元気よく返事をした。



 2体になったオグマは、左右からリヴァイアサンを挟むようにして、攻撃を仕掛ける。オグマは4倍になったパワーとスピードで、がむしゃらにリヴァイアサンにパンチを打ち込む。左右から強烈なパンチを受けるリヴァイアサンだが、ダンスを踊るように軽快なフットワークで全てのパンチを避ける。



 「全然当たりませんわよ」



 リヴァイアサンは余裕の笑みを浮かべながら言った。



 「蠅のようにチョロチョロ動き回って目障りな奴め!」



 オグマはパンチが当たらなくてイライラしている。最強の魔石具を使いさらに巨人の能力を使っても、リヴァイアサンにパンチが一発も当たらないのである。オグマは、こんな屈辱的な戦いをしたのは初めてであった。


 オグマは、手当たり次第パンチを打ちまくった。数打てば当たる方法で、半ば強引にパンチを繰り出すのである。しかし、そんな短調は攻撃は、リヴァイアサンにとってはさらに避けやすくなるのである。リヴァイアサンは計算して、オグマを誘い込むようにオグマのパンチを避けるのである。


 そして、リヴァイアサンの誘導は成功する。二人になったオグマは意志の疎通ができていない。二人ともリヴァイアサンへの攻撃に夢中になり、気付けば二人で殴り合っていたのであった。


 オグマは、自分の分身を攻撃しているのにすぐには気付けなかった。リヴァイアサンに反撃されていると勘違いして、お互いに殴り合っていたのである。オグマはそれほど動揺して無我夢中になっていたのである。


 オグマが自分自身に攻撃しているの気付いた時は、もう一体のオグマが倒れた後であった。



 「オグマ・・・」



 その様子を見ていたダグザは、大声でオグマに同士討ちになっていると叫んでいたが、その声がオグマに届くことはなかった。



 「俺を馬鹿にするなーーー」



 さらにオグマは冷静さを失ってしまう。オグマは自分を馬鹿にしたような戦闘をするリヴァイアサン対する怒りは尋常ではなかった。オグマは、顔を真っ赤にしてリヴァイアサンに向かって猪のように突っ込んでいく。


 リヴァイアサンは水球を剣の形にして、突っ込んでくるオグマの頭を切り落とした。オグマの体は頭を失った状態で激しく壁に激突した。


 リヴァイアサンはオグマの頭を拾って、壁に激突して倒れたオグマの胴体に頭をくっつけた。



 「地底国家につれていきますわ」



 リヴァイアサンはオグマを掴んで、そのまま地底へと消えて行った。



 「オグマは死んだのですか?」


 「生きていると思うよ。リヴァイアサンは水を自在に操ることができる能力があるので、一旦切り取った頭を再度くっつけたのだと思うよ」


 「すごいですぅ」


 「そうだね。竜人族は人界では最強の種族だからね」


 「そうなんだぁ」



 フェニは感心している。



 「オグマがやられるなんて・・・」



 ダグザが呆然と立ち尽くしている。



 「リプロ様、オグマがいなくなりましたので、研修を再開しますか?」



 レオが僕に声をかける。



 「研修はやめてとくよ。オグマの戦いを見ながらフェニに勉強をしてもらったから、研修の代わりにフェニには、実戦で特訓をしてもらうよ」


 「わーい。特訓したいですぅ」


 

 フェニは飛び上がって喜んでいる。



 「ダグザさん、先ほどライさんと腕試しをしたいと言っていましたが、ライさんの代わりにフェニがあなたのお相手をします。フェニは『ホロスコープ星国』最強の魔法使いまたは剣士と言われているそうです。『ホロスコープ星国』の力量を見るには絶好の機会だと思いますよ」


 「わかった。了承しよう・・・しかし、オグマはどこへ連れて行かれたのだ?」



 ダグザは断ることはできないと察知して、フェニとの戦いを了承するが、オグマがどこへ連れて行かれたのか気になるのである。



 「オグマさんは、イベリアの村で悪さをしたので、地底国家に連れていかれました」


 「地底国家・・・」


 「そうです。オグマさんは地底国家に迷惑をかけたので、地底国家の法で裁かれる予定です」


 「地底国家が本当に存在するとは・・・」



 ダグザは地底国家の噂を聞いたことがあるみたいだ。



 「オグマさんが自分の罪を認めて、きちんと罪を償えばそのうち戻ってくるかもしれませんよ」


 「わかった」



 ダグザは静かに返事をした。



 「ダグちゃん、私と勝負してくだいですぅ」



 フェニは、炎の翼を広げてダグザのそばに舞い降りた。



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