第128話 ターニプ防衛パート15
「バシャー様・・・・私にもわかりません」
「どうやったら、夜なのに空が明るくなるのだ」
「わかりません。ランナーからは何も報告を受けていません」
「ランナーのヤツ裏切ったのか」
「そうかもしれません。この光はおそらく応援の冒険者の魔法でしょう」
「スネーク、空から攻撃してくるぞ」
バシャーの背中は厚いゴムのよう皮膚をしている。バシャーは体を丸くして、ロキさん達の攻撃を防ぐ。スネークは手足を引っ込めて蛇モードになり、クネクネと高速で動いて攻撃を避けるのであった。
「だいぶ倒したみたいだな」
「そうですね」
「後はティグレさんに任せましょう」
「ティグレさん、雑魚はロキお姉ちゃん達が倒しましたので、バシャーの元へ行きましょう」
私は、ティグレさんを抱えてバシャーの元へ飛んで行った。その後をブランシュさん達が追いかける。
本当はティグレさんの頭に乗ってモフモフ移動をしたかったが今回は特別である。意外と怪力な私のパワーで、ティグレさんを運んであげたのであった。
「バシャー、俺と勝負しろ」
「ティグレ・・・本当に戻ってきたのだな」
「決着をつける時がきたな」
「勝負を受けてやるぜ」
バシャーは、鋭い爪でティグレさんに襲いかかる。ティグレさんはバシャーのスピードに翻弄され、バシャーの鋭い爪がティグレさんの体を引き裂いていく。
「毎日のように戦っている俺に、のんびりと過ごしていたお前が勝てるわけがない」
バシャーは激しく動き回って、ティグレさんを翻弄しティグレさんの体をどんどん切り裂いていく。
「俺が毎日のんびりしていた思うなよ」
ティグレさんは、バシャーの動きのパターンをじっくりと観察していたのだ。ティグレさんは、バシャーの攻撃パターンを把握して、渾身のタイガーパンチをバシャーに食らわすのである。タイガーパンチを食らったバシャーは激しく吹っ飛ばされる。
「俺は、日々のトレーニングを欠かしたことはない」
「そうにゃ。ティグレは、門番の仕事を終えたら、魔獣の森に行って日々トレーニングをしていたにゃ」
「やはりティグレ様は、バシャーを倒す為に日々特訓をしていたんですね」
「そうにゃ。1番側にいる私がそれを1番知っているにゃ」
「相変わらずの桁違いのパワーだな。でも、俺の弾力のある皮膚には効果がないぜ」
「その皮膚は厄介だな」
バシャーは、先ほど同じように激しく動き回り、鋭い爪で、ティグレさんを襲いかかる。そして、ティグレさんのタイガーパンチで吹っ飛ばされる。その戦闘が何度も繰り返されるのであった。
バシャーは、強靭な皮膚を持っているので、さほどダメージはないように思われる。一方、ティグレさんは、全身が傷だらけになっている。
「どうしたティグレ、もう限界じゃないのか。俺は全然ダメージを受けていないぞ」
『スネーク何をしている。暗闇ではないがお前の蛇で、ティグレをしびれさせる約束じゃないか。いくら、俺が強靭な皮膚を持っていても、タイガーパンチを何発も食らうと皮膚の内側の体内にはダメージは蓄積されるのだぞ』とバシャーは思っていた。
しかし、スネークは動こうとはしない。近くには、ブランシュさんリヨンさんがいる。それにラスパのメンバーもいるので、動くことができないのであろうか?
「お前こそ、息が上がっているぞ。姑息な手段でしか戦ってこなかったから、体力がもたないのだろ」
「うるさい奴だ。トドメを刺してやる」
バシャーは、ティグレさんの首元を噛み切ろうとジャンプしてきた。
「それを待っていたんだよ」
ティグレさんは、バシャーのお腹に目掛けてタイガーパンチをお見舞いした。
「グッフ・・・・」
倒れ込むバシャーのお腹に、さらにタイガーパンチを食らわした。
「グギャーーーーー」
バシャーの弱点は腹である。それは強靭な皮膚がお腹にはついていないのである。なので、バシャーは常にお腹を庇いながら攻撃をしていた。しかし、勝負に焦りお腹のガードを緩めてしまったのであった。
「スネーク、助けにこい」
「・・・・・」
「何をしている。逃げるぞ。早く俺を連れて逃げろ」
「私は負ける勝負はしないのです」
「裏切るのか」
「初めから、私はあなたの手下ではありません。ティグレ様がいつ戻ってきてもいいように、お前の側でずっと待っていたのです」
「スネーーーーク!許さんぞ」
「バシャー、終わりにしよう」
ティグレさんは、トドメのタイガーパンチをバシャーのお腹にぶち込んだのであった。
「ティグレ様、おかえりなさいませ。ずっと帰ってくるのを待っていました」
「すまない。あの時の命令をずっと守ってくれていたんだな」
「はい。バシャーが謀反を起こすのはわかっていました。なので、ティグレ様は私にバシャーの監視するように、共に行動するように命令いたしました。しかし、ティグレ様の赤ん坊が盗みだされる時に、私はダーシンシンの策略にハマって、獣人の国から離れていました。ダーシンシンは私をスパイだと疑っていたのです。なので、肝心な時に私はお役に立つ事ができませんでした。なので、私は感情を殺して誰にも疑われないように、ずっとバシャーの幹部として過ごしてきました」
スネークは、ティグレさんを裏切ったのではなく、ティグレさんのスパイとして、ずっとバシャーと共に行動していたのであった。なので、逃げるランナーを捕まえて私たち側の情報を確認したのであった。そして、ランナーの情報でティグレさんが戻ってくる事を知り、バシャーをけしかけて、ティグレさんと決闘するように勧めたのであった。
「そうなのか・・・辛い思いをさせたな」
「大丈夫です。こうして、またティグレ様にお会いすることができたのですから」
「そうだ、バニーの妻が監禁されていると、聞いたのだが無事なのか」
「私が、安全なところに保護しています。私にできることは、ティグレ様を慕う者を殺害させずに、安全なところへ保護することしかできませんでした」
「それで十分だ。みんなを保護してくれてありがとう」
スネークは自分の役割を終え肩の荷が降りてホッとした。そんなスネークをティグレは熱い抱擁で労を労ったのであった。
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