第129話 ターニプ防衛パート16



 スネークは、ティグレさんを慕う者を処刑するようバシャーに命令されていた。しかし、スネークは、手下の毒蛇で殺した見せかけて、全員を安全なところへ保護していたのであった。


 その安全なところとは、三獣士の1人象の獣人のダーシャンのところであった。ダーシャンは、ティグレさんと同じ平和主義の獣人であり争いを好まない。ティグレさんが3獣士の頃は、ダーシャンとは親交がありとても仲が良かったのであった。なので、スネークは、事情を説明してダーシャンに保護を依頼したのであった。



 「ダーシャンが、保護しているのか」


 「はい。快く引き受けてくれました。バニーの妻も保護されています」


 「バニーはそのことを知らないのか」


 「はい。バニーは妻はずっと監禁されていると思っています」


 「そうなのか。早くバニーに知らせてあげないとな」


 「もちろんです。それに急いでダーシャン様のところへ向かった方が良いと思います」


 「何かあったのか?」


 「私の手下の蛇からの連絡では、ジラーフが動き出すみたいです。ダーシャン様は、この前のバシャーとの戦闘で負傷しています。今がチャンスだと思ったのでしょう」


 「それは、まずいな。今すぐにでも助けに行かないと」


 「ティグレさん。私もついていきます」


 「ルシスちゃん、助けてくれるのか」


 「もちろんです。でも今から行っても間に合うのですか?サラちゃんは今日はダウンしているから、運ぶことはできません」


 「間に合うかは微妙です。ブロードピーク山を越えるのは、かなり時間がかかります。途中までは、ドワーフのトロッコを使えますが、その先は、徒歩での移動になります。なので、急いで出た方が良いと思います」



 スネークが状況を説明する。



 「よし、それなら、今から急いでブロードピーク山を越えよう」



 ティグレさんがみんなに指示を出す。




 「ルシス、俺たちもいくのか?」



 トールさんは少し嫌そうである。



 「私は、明日サラちゃんに連れて行ってもらいますわ。歩くのはしんどいですわ」


 「俺も、そうするわ」


 「トール、ポロン・・・は楽をしたいみたいだけど、明日に出発することは賛成だわ。今日の戦いで疲労もあるし、急いで山を越えてダーシャンさんのところへ間に合ったとしても、疲れた体ではまともい戦闘できるとは思えないわ。それなら、明日サラちゃんに運んでもらって万全の体制で挑む方が良いと思いますわ」



 ロキさんの意見はもっともである。



 「それなら、みんなで明日に出発しましょう。トールさん達はフワリンで向かうといいと思います。山を越えるのならフワリンを使えばすぐに越えられます。なので、そして、ティグレさんとスネークさんは出来るだけ早くダーシャンさんの元へ到着できるようにサラちゃんに運んでもらいます。そして、リヨンさんとブランシュさんはお留守番でお願いします」


 「俺達はお留守番なのか」



 リヨンさんも一緒に行きたいみたいである。



 「はい。私たちでジラーフを倒してきます」


 「お願いするにゃ」


 「ルシスちゃんがいるなら問題ないだろう」



 リヨンさんは、一緒に行くのを諦めて私にジラーフの事を託す。




 「ティグレさんもそれでいいですか」


 「そうだな。俺は少し焦りすぎていたのかもしれない。きちんと休息をとってから明日に戦いに挑もう。時間が間に合ってくれることを祈るとする」


 

 私たちは、明日、獣人の国へいくことにして、今日はこの場で野営をすることにした。私は簡易の家を設置して明日の戦闘のためにゆっくりと休むことにした。そして、こんなことも想定して簡易の家2号を秘密裏に作っていたので、ティグレさん達には簡易の家2号でゆっくり休んでもらうことにした。


 明日は急いでいるので朝早く出発することになる。なので、私はサラちゃんの機嫌が悪くならないように、簡易の家の台所でたくさんの朝食を用意した。


 朝早く起こされたサラちゃんは、想定通りかなり機嫌が悪かった。しかし、目の前のたくさんの朝食を見ると、すぐに上機嫌になったのであった。



 「私がいないと何もできないのね。仕方がありませんわ。私が連れて行ってあげますわ」



 サラちゃんは快く獣人の国へ運んでくれることを了承してくれた。


 そして、サラちゃんが朝食を終えて、獣人の国へ向かったのであった。私は、モフモフ充電のために、カゴに乗ってティグレさんの頭の上に座った。スネークは蛇の獣人なので、モフモフ度0なので、全く興味がない私であった。



 「ジラーフは、まだ、獣人国家統一を目指しているのか」


 「はい。ティグレ様がいなくなり、その傾向はさらに強くなっています」


 「バシャーとジラーフが同盟を続けていたら、ダーシャンも危険だったな」


 「そうです。でもあの2人はお互いを信用していません。なので、その後、共闘することはなかったのです」


 「確かに、あの2人は我が強すぎるから共闘は難しいな。だからずっと内戦状態なのだな」


 「そうです。バシャーがダーシャン様の領土を襲いに行けば、その隙に、ジラーフがバシャーの領土を狙い。ジラーフがダーシャン様の領土を襲いに行けば、バシャーがジラーフの領土を襲うというのをずっと繰り返しています。戦力的には圧倒的にダーシャン様が強いので、ダーシャン様は持ち堪えていましたが、疲労が溜まり、先日、不覚にもバシャーの攻撃で負傷しました」


 「そうか・・・急がないとな」


 「はい。いくらダーシャン様でも、傷の癒えないうちに、ジラーフの部隊が襲ってきたら、無事で済むとは思えません」


 「ティグレさん。心配しなくても大丈夫です。もうすぐ、着きますので問題ありません。それに、私がついています。私は、キリンよりもゾウさんが好きなので、ダーシャンさんは私が絶対に守ります」



 

 「トール、交代よ」


 「もう、そんな時間か。次はロキの番だな」


 「少し、眠らせてもらうわよ」



 ロキさん達は、私たちよりも2時間も早めに出発していたのであった。フワリンのスピードだとサラちゃんの飛行速度には追いつくことができないので、早めに出ていたのであった。なので、交代で仮眠を取りながら向かっているのである。



 私たちは、昼前にはロキさん達と合流して、ダーシャンの支配領域に着いたのであった。


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