第117話 ターニプ防衛パート4



 私達は、勇気を出してトールさんの座っているテーブルに向かった。



 「やっと到着したみたいだぜ」


 「あなた方が、残りの応援部隊の3名様ですか」


 「そうですわ。私はニャンの姫ですわ」



 迷うことなくポロンさんが言った。



 「私は・・・・ニャン太郎でちゅ」



 少し噛みながら、ロキさんが言った。



 「私はニャン魔王です」



 自信ありげに私は言った。



 「我ら、4人が今回応援に来た、ニャンニャン突撃隊だ」


 「・・・・」


 「やばい・・ばれたか」



 トールさんが心配する。



 「・・・・1人、猫の獣人でない方が混ざっていると思いますが、どう言うことでしょうか」



 あっ・・私だけが猫耳カチューシャをつけていなかったので、怪しまれてしまった。



 「私は、見習いなので猫耳は封印しています。代わりにツノをつけているのです」



 私は適当な言い訳をした。



 「そういう事ですか。疑って申し訳ございません。今、バニー料理長に料理の準備をしてもらいますので、少々お待ちください」



 「おう。わかったぜ」


 「楽しみにしてますわ」


 「お願いします」


 「私の料理のが美味しいもん」


 「ルシスちゃん。余計なことは言わないの」



 ついつい張り合ってしまう私であった。



 「獣人の料理かぁー。楽しみだな」


 「私もですわ。どんな料理が出るのかしら」


 「そうですね。確かに、どんな美味しい料理がくるか期待してしまうよね」


 「私の料理のが絶対に美味しいです」



 しばらくすると、お猿さんの獣人が料理を持ってきてくれた。



 「今日の朝食は、イノシシの肉をバターとハーブで焼いたステーキになります。それと、森で採れた、山菜と果物の盛り合わせを用意しました。山菜にはバニー料理長の特性ソースをかけて食べてください」



 「このステーキとてもいい匂いがするぜ」


 「見たことのないフルーツがたくさんありますわ」


 「山菜にかけるソースも、いい匂いがして食が進みますわ」


 「美味しです。バニー料理長もなかなかいい腕を持っていると思います」



 私たちは、潜入していることを忘れるくらいに、没頭して料理を食べたのであった。



 「ステーキは、風味もよく味もしっかり付いていておいしかったぜ」


 「ステーキも美味しかったけれども、フルーツの盛り合わせも、新鮮で甘くて美味しかったですわ」


 「バニー料理長特製ソースも品のある味で、山菜の良さを引き出してくれる絶品ソースでしたわ」


 「悔しいけど美味しかったです。料理対決は引き分けという事にしときます」



 私たちは、バニー料理長の料理に非常に満足している。獣人の料理が美味しいと言う噂は本当であった。



 「ニャンニャン突撃隊のみなさん、私の料理の味はどうでしたか」



 料理長のバニーが私達のいるテーブルに現れた。バニー料理長はうさぎの獣人である。身長は1mでとても小柄な獣人である。真っ白の毛並みに長い耳真っ赤な大きな瞳がとても可愛らしい。


 真っ白なモフモフの毛並みに、私のモフモフ魂がマグマのようにグツグツと燃え上がってきた・



 「バニー料理長殿この料理は最高でした」



 そう言って、私はバニー料理長を強くぬいぐるみのように強く抱きしめた。



 「料理を褒めてくださって、とても嬉しいですが・・・・そんなに強く抱きしめられたら苦しいです」

 

 「このモフモフはもう離しません」


 「やめてください。苦しいです。」



 「ゴツン」



 「ルシス、離れろ。バニーが泡を吹いてるぞ」



 私の熱い抱擁に、バニー料理長は、メロメロになって気絶したのであった。




 「ルシス、強く抱きしめ過ぎだぞ。バニーが倒れたじゃないか」


 「・・・すいません。でも、モフモフがそこにあるなら、強く抱きしめるのは当然の結果です」



 私はすぐに回復魔法を使って、バニー料理長の意識を取り戻させた。



 「す・す・すいません。急に気持ち良くなって、意識が飛んでしまいました」


 「気にしないでください」



 私の責任だったけど、気づいていないのらあえて言う必要はないのであった。



 「ところで、ダーシンシン隊長はご一緒ではないのですか」


 「あ・・あ・・あ・・・ダーシンシンなら、お腹が痛いと言って、森の中へ走っていったぞ」


 「そうですか。料理を楽しみにしていたはずなのに残念です」


 「あっ、そうだ。ダーシンシンは、もう料理はいらないと言っていたから、代わりに俺が全部食べてやるぜ」


 「わかりました。今から準備しますので、少々お待ちください」


 「やったぜ。追加のステーキだぜ」


 「私も、半分欲しいですわ」


 「そうだな。ポロンと半分ずつ食べるとするか」


 「トール。もうそろそろ、逃げないと怪しまれるわよ」


 「大丈夫だろ。変装は完璧だぜ」


 「変装じゃなくて、ダーシンシンが来るかもしれないという事よ」


 「あっ、そうだな。この辺で一旦切り上げるか」


 「それがいいわ」


 「仕方ありませんわ」


 「まだ、モフモフ充電が貯まっていません」



 拗ねている私を引きずりながら、ロキさん達は、フワリンに戻って上空から様子を伺う事にした。


 私は、モフモフパワー不足なので、木の上でのんびりと休む事にした。





 「クロコダイル、やっときたか」


 「遅くなってすまんな。俺らは鋼鉄の鱗を持つが、移動スピードが遅いのが弱点だからな」


 「気にするな。俺は、お前達の鋼鉄の鱗、あらゆる物も砕く牙、そして、岩をも粉砕する尻尾を持つ戦闘能力に期待しているのだからな」


 「戦闘は任せておけ。俺らがドワーフの町を滅ぼしてやるぜ」



 ダーシンシン隊長の元に応援に来たのは。ワニの獣人のクロコダイル、アリゲーター、ガビアル、カイマンの4兄弟である。クロコダイルは、2m以上の背丈があり、黒くて頑丈な鱗も持っていて、このワニワニパニック団のリーダーである。アリゲーター、ガビアル、カイマンは、少しクロコダイルよりも小さいく緑色の頑丈な鱗を持っている。



 「バニー料理長が、とっておきの料理を用意してくれているはずだ。皆で食べに行こうじゃないか」


 「それは、楽しみだな。俺たちは歩き疲れてお腹が減っていたところだ。今すぐにでも食事をしたいと思っていた」



 ダーシンシン達は、食事を食べにバニー料理長の元へ向かった。



 「ウッキー、料理はどうなっている」


 

 ウッキーとは先程の猿の獣人である。



 「????ダーシンシン隊長は、腹痛で森の中へ行ったと聞いていましたが」


 「何を言っている。俺はこの通り元気だぞ。クロコダイル達も着いたから早く料理を用意しろ」


 「????クロコダイル様達も腹痛で帰られたのでは」


 「何を言っている。ここにいているだろう」


 「・・・・・・」


 「ウッキー、早く料理を用意させろ」


 「申し訳ありません。料理は、あと1人分しかありません」


 「なぜだーーーーーー」



 ダーシンシンの悲痛の叫びが、森中に響き渡るのであった。


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