第234話 ホロスコープ星国 パート11



 「ドラキュンさんのが美人だと決まりました。なので、部屋から出て行ってもらえますか」



 フレキはドラキュンを部屋から追い出すために自分より美人だと言ったのである。



 「世界で1番綺麗な私に色々とアドバイスを受けたいと思いませんか?」



 ドラキュンは髪をかき上げていい女のような雰囲気を出しながら言った。



 「何もありません」


 「私もです」



 私とフレキは即答した。



 「遠慮しなくてもいいのよ。美のカリスマのドラキュンに、何でも聞いてくれたらいいのよ」



 さらに髪をかき上げていい女アピールをした。



 「何か質問してあげてください。そうしないと部屋から出て行きませんよ」



 男性のバンパイヤが小声で言った。



 「どうしたらそんな綺麗な髪を保てるのですか」



 ドラキュンは、光り輝くきれいな金色の長い髪をした女性であった。なので、私は髪を綺麗に保つ方法を教えてもらうことにした。



 「それは、素敵な恋をすることよ」




 ドラキュンは瞳を輝かせながら言った。



 「フレキさんも質問してください」



 男性のバンパイヤが催促した。



 「どうしたら、そのような美しいプロポーションを保てるのですか」



 ドラキュンはかなりのナイスボディの持ち主である。




 「それは、素敵な恋をすることよ」



 ドラキュンはウインクしながら言った。



 「もっと質問してください」



 男性のバンパイヤはさらに催促をする。



 「ドラキュンさんは恋をしているのですか?」



 私は唐突な質問をした。



 「それは禁句です」



 男性のバンパイヤが、私の前に立ちはだかり腕をクロスにして言った。



 「他の質問をお願いします」



 男性のバンパイヤは記者会見のようにドラキュンの側に立ち、質疑応答を求めるようになった。



 「どうしたら、ドラキュンさんのような綺麗な瞳になれるのですか」



 ドラキュンの瞳は、ルビーのような綺麗な赤い瞳をしている。




 「それは素敵な恋をすることよ」



 ドラキュンは小声で諭すように言った。



 「さっきから、同じ答えです」



 私は、同じ答えしか言わないドラキュンに不満を言った。




 「それは禁句です」



 男性バンパイヤが私の前に立ちはだかって、イエローカードを出した。



 「あなたは、2度目の禁句を言いました。次に禁句を言えばレッドカードになり、この宿屋から出て行ってもらいます」



 男性のバンパイヤが真剣な眼差しで激怒した。


 私は、このままだと宿屋を追い出されてしまうことになる。宿賃の4倍もらった私には、意見を言う資格はないのである。



 「ドラキュンさんは人間の姿でも美しいですが、バンパイヤの姿になったら、もっと美しいのですか」



 私は気になっていたことがった。ドラキュンも男性のバンパイヤも人間の姿をしているので、本来はどのような姿になるのか興味があった。



 「それは禁句です。これで、あなたのレッドカードが確定しました」



 男性のバンパイヤが、私を宿屋から連れ出そうとした。



 「待ちなさい。そのレッドカードは無効よ」



 ドラキュンが、私の前に立ちはだかって言った。



 「しかし・・・」



 男性のバンパイヤは困惑している。



 「いいのよ。美しいバンパイヤの姿を見たいと思うのは当然ですわ。私の美しい姿を見たいと言うならば、見せてあげるのが、美人に生まれてきた者の宿命ですわ」



 ドラキュンはノリノリであった。


 ドラキュンは、いきなり自分の腕も噛み出した。ドラキュンの腕から血が滴り落ちる・・・


 するとドラキュンの口元からは鋭い牙が伸びてきて、グラビアモデルのようなナイスバディがどんどん小さくなっていき、とても可愛い10歳くらいの女の子に変身した。



 「これが本来の私の姿なのよー」



 ドラキュンは、背中の黒い翼をパタパタさせて、宙に浮かびながら言った。


 ドラキュンに恋の話をするのが禁句なのは、まだドラキュンは子供であるからであった。しかし、なぜ、バンパイヤに変身するのも禁句だったのだろう。



 「姫、バンパイヤの姿になられますと、また魔獣どもが町の周りを彷徨きます」


 「私も罪な女ですぅ〜」



 ドラキュンが可愛くいった。



 「どう言うことですか?」



 私は男性のバンパイヤに尋ねた。



 「姫がバンパイヤの姿に変身すると、『恋フェロモン』を多量に発します。この『恋フェロモン』は魔獣のみに効果があるみたいで、魔獣が『恋フェロモン』を吸ってしまうと、姫の虜になってしまうのです。どのような魔獣に効果があるかは分かりませんが、このあたりの森の魔獣たちには効果があり、姫のファンになっているのです。なので、姫がバンパイヤの姿になると、衝動的に姫の『恋フェロモン』を欲して、魔獣達が森から抜け出してくるのです」



 魔獣の森に囲まれながらも、魔獣から襲われることがないのは、魔獣たちがドラキュンのファンだからであった。



 「フレキは大丈夫なの」



 私はフレキに聞いた。



 「私は何も問題はありません」


 「フレキさんには効かないんだぁ。残念ですぅ〜」



 ドラキュンは寂しそうに言った。



 「でも、バンパイヤの姿も可愛くて素敵ですよ」



 フレキは笑顔で言った。



 「わーーい。わーーい。嬉しいなぁ〜」




 ドラキュンは満面の笑みで満足そうである。



 「姫、魔獣たちが、町の外に集まりつつあります。どうしますか?」


 「そうね。久しぶりに野外ステージで私の歌でも披露しようかな」



 ドラキュンはノリノリであった。

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