第366話 竜人国家ユグドラシル編 パート2


 僕は大きな門の中に入っていった。大きな門は世界樹の中に通じていて、世界樹の木の中は立派な町になっていた。



 「すごいです!木の中なのに大きな町があるのです」



 フェニは嬉しそうにセキランの町を眺めている。



 世界樹の木の中なのに、もう一つの世界があるように上を見渡すと空があり、太陽のような物が町を照らしているのであった。



 「木の中に太陽があるのですぅ」



 フェニは不思議そうに太陽を眺める。



 「あれは光球ですわ。世界樹の中でも朝晩の時間を体現するために作られた魔石具ですわ」



 リヴァイアサンが説明してくれた。



 「すごいのですぅ。眩しくて本当の太陽みたいですぅ」


 「リヴァイアサン、その者たちは誰なのですか?」



 リヴァイアサンに声をかけたのは、リヴァイアサンに負けないくらいの美貌を持つエキドナである。長い金色の髪は神々しさを感じ、スタイル抜群の姿は男たちを魅了するとてもセクシーな女性である。



 「私はレオと申します!ホロスコープ星国からきました。いまだに独身なので、結婚相手を探しています」



 元気な声でレオは自己紹介した。レオはエキドナの魅力に瞬じに撃沈した。



 「エキドナ、彼たちは怪しい者たちではありせんわ。人界で知り合った私の友達です。実はセキランに美味しいパンを作る窯を作りにきてくれたのですわ」


 「美味しいパン・・・本当なの?私がどれだけパンが好きか知っているよね?もし、嘘だったらリヴァイアサンでも許さんないわよ」


 「本当でございますエキドナ様、リプロ様がユグドラシルの竜人族様の為に美味しいパンを焼ける窯を設置してくださいます。ぜひ楽しみしてください」



 レオがエキドナに側に近寄って必死に力説する。



 「君がリプロ君なの?不思議なオーラを纏っているわね」



 エキドナは、僕の隠している魔人のオーラを少し感じ取ったのであろう。



 「リプロさんはとある事情で素性を隠しているのよ。詮索はしないでね」



 リヴァイアサンはエキドナに進言する。



 「美味しいパンが食べれるようになるなら、詮索はしないわ。でも、もし美味しいパンが食べることができなければ、じっくりあなたのことを調べさせてもらうわ」



 エキドナは僕を舐め回すような視線で見つめてくる。



 「私ならいくら調べてもらっても構いません。どうぞご自由に!」



 レオは、嬉しそうに叫んだ!


 しかし、エキドナはスルーする。



 「パン窯を作る場所を案内してよ。すぐに美味しいパンを食べれるようにしてあげるよ」


 「リプロさん、案内するわ」



 リヴァイアサンは僕を連れて、セキランの町を案内する。



 「エキドナ様もご一緒に行きましょう」



 レオは『ライオンモード』を発動して、ライオンの姿になってエキドナをエスコートする。


 

 「私にお乗りください」


 「私も乗るですぅ」



 フェニは勢いよくレオに飛び乗った。



 「フェニちゃんは自力で歩いてください」


 「ライちゃんは最近私に冷たいですぅ」



 フェニは頬を膨らませて拗ねる。



 「そ・そ・そんなことはありません」



 レオは動揺している。



 「お言葉い甘えて私も乗せてもらうわ」



 エキドナがレオの背に乗った。



 「フェニちゃんよろしくね!」



 エキドナはフェ二に挨拶をする。



 「エキチャン、よろしくですぅ。一緒に美味しいパンを食べるのですぅ」


 「そうね。楽しみにしているわ」


 「では、参りましょう」



 レオは2人を乗せてリヴァイアサンの後を追った。



 「ここがセキランの町のパン屋ですわ。リプロさん、改装をお願いできるかしら?」


 「任せてよ。すぐに終わらせるよ」



 リヴァイアサンがパン屋に事情を説明してパン屋は急遽休業となった。


 そして、僕は2時間程度で改装を完了させた。



 「これで美味しいパンを焼くことができますよ」



 僕はパン屋の主人にパン焼き窯と魔石具の使い方を説明した。



 「これは素晴らしい。この窯があれば美味しいパンが焼けるはずだ!」



 パン屋の主人は嬉しそうに言った。


 早速、パン屋の主人はパンを焼いてくれた。



 「フッカフッカのモッチモッチで美味しいですわ」



 エキドナが嬉しい悲鳴をあげる。



 「パンを食べる姿も美しいです」



 レオがエキドナのパンを食べる姿を見て興奮している。



 「ライさんの恋心はリヴァイアサンからエキドナさんに移ってみたいですね」


 「そうね。エキドナ耐えるのよ」



 レオの恋愛対象から外れてリヴァイアサンはホッとしている。



 「このモチモチな食感がなんとも言えないのですぅ」



 フェニは今日何個の目パンを食べているのだろうか?あんな小さな体にどんだけパンが入るのだろうか?と僕は思いながら、フェニのパンの食べっぷりに僕は感動していた。



 「これは素晴らしい出来だわ。地底国家に戻るのは嫌になってしまうわ」



 とっても美味しいパンがユグドラシルでも食べれるようになったので、パンシックにかかりそうなリヴァイアサンである。


 僕はユグドラシルにも美味しいパンを作れる設備を完成させたので、『ホロスコープ星国』に戻ろうとした。



 「リプロさん、せっかくユグドラシルに来てくださったので、今日はセキランで休んでいってください」



 リヴァイアサンが僕の帰りを引き止める。



 「そうです。リプロ様!私はまだ帰りたくありません」



 レオはエキドナの側から離れてくないのである。



 「まだパンを食べたいですぅ。帰るのは明日にするのですぅ」



 フェニとレオが引き止めるので、今日はセキランの町で泊まることになった。


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