第390話 ボルの人界征服編 パート3
⭐️ルシス視点に戻ります
「早く『ホロスコープ星国』に着いて欲しいぜ」
「そうね。早く着いてルシスちゃんが作った大浴場に入りたいわ」
ポロンさんとトールさんは私がシリウス城に作った大浴場に興味津々であった。
トールさんとポロンさんはフワリン乗り、私とロキさんはジェミニ達を監視しながらサラちゃんの籠に乗って、『ホロスコープ星国』に向かっていた。
カプリコーンとライブラはおとなしく『ホロスコープ星国』へ戻ることを了承したが、ジェミニは最後まで戻りたくないと叫んでいた。
「俺は戻ったら殺される・・・」
ジェミニは小さく蹲って震えている。
「ポルックスはそんなことしません」
「そうです。あいつはお人好しの優しい男です。弟であるジェミニ様を殺すようなことはしないでしょう」
カプリコーンとライブラはジェミニに優しく声をかける。
「あいつは俺を憎んでいるはずだ。それに、国民達も俺を嫌っているはずだ」
ジェミニの頬からは涙がつたっている。
「それだけのことをしたのですよ。反省しなさい!」
小ルシスが、ジェミニの側に飛んできて、トドメを刺すように声をかけた。
「小ルシスちゃん、静かにしてなさい!」
ロキさんが慌てて、子ルシスを自分のところへ連れ戻す。
「ジェミニ様、私たちがポルックスに頼んで罪を軽くしてもらいます。なので、そんなに怯えないでください」
ジェミニは、『神剣』の能力が戻れば、『ホロスコープ星国』を取り戻すつもりでいた。しかし、王国騎士団長のフレイヤにコテンパにやられて、牙を抜かれた狼のようにおとなしくなってしまったのである。
「俺はこれからどうすればいいのだ・・・」
ジェミニは、自分の強さに自信を持っていた。しかし、幼いフェニに敗れ、そして、フレイヤにボコボコにされたことで自尊心が砕けたのである。
「ジェミニ様、やり直しましょう。俺たちは『星の使徒』の能力に頼りきっていたのです。『星の使徒』である俺たちは最強であり何も怖いモノはありませんでした。しかし、『星の使徒』の能力に頼り切って努力もせずに息巻いていたところ、フレキという化け物みたいに強い奴が現れました。そして、子供のくせに圧倒的に力を持つフェニが現れました。俺たちは、あの2人に完全に敗北したのです。そして己の弱さに気付かされたのです。なので、ポルックスのもとで一からやり直しましょう」
「そうですジェミニ様。俺たちにやり直すチャンスをポルックスは与えてくれるはずです。3人で1からやり直しましょう」
「でも、ちゃんと国民の皆さんに謝罪をするのですよ」
ロキさんの手からすり抜けて、小ルシスがジェミニの耳元で叫ぶ。
「子ルシスちゃん!3人は大事な話しをしているのだから、邪魔しちゃダメよ」
小ルシスは再び戻される。
「ちっこいのの言う通りだ」
ジェミニはポツリとつぶやいた。
「ちっこいではないです。小ルシスです」
またまたロキさんの手からすり抜けて、ジェミニの目の前に姿を現す。
「悪い。小ルシスさん」
「それでいいのですよ」
「小ルシスちゃん!戻ってきなさい」
ロキさんが慌てて叫ぶ。
「ロキさんいいのです。小ルシスさんの言うことは正しいのです。俺はきちんと国民に向かって今までの行いを謝罪すべきです。あの時ポルックスにもそう言われました。しかし、プライドの高い俺はそれができなかったのです。しかし、それではダメだとやっと気づきました」
「ロキお姉ちゃん。大事な話しをしているところ申し訳ないのですが緊急事態です」
私は、サラちゃんの籠に乗って、だらだらしているわけではない。念のために何か起こらないか魔力を集中して、周り状況を把握していた。それは、外敵だけではなくジェミニ達が急に襲ってくる可能性も考えていたのである。
私が察知したのは、はるか先に方であった。凄まじいスピードで『ホロスコープ星国』の首都シリウスに向かっている巨大な魔力を察知したのである。かなりの巨大な魔力なので、遠方でも感知できたのであった。
「ルシスちゃん、何があったのかしら」
ロキさんは私の真剣な顔つきを見て、深刻な事態だと察知した。
「かなり遠方ですが、大きな魔力を感知しました。こんなに離れた場所でも感知できるということは、それだけ強大な魔力の持ち主だと思います。私たちが王都シリウスに到着すると同じくらいにその強大な魔力の持ち主も王都シリウスに着くと思います」
「ルシスちゃん、あとどれくらいで王都シリウスに着くかしら?」
「30分もあれば着くと思います」
「そうなのね。その巨大な魔力の持ち主は、『ホロスコープ星国』の敵かしら?」
「わかりません。でも、『ホロスコープ星国』にこれほどの魔力を持っている人物はいないと思います」
いや、私が知っているだけで2人いる。それはフレキとゲリである。でもフレキは一旦『王の森』に帰ったはずである。そして、ゲリは『裏天界』に戻ると言っていたが、多分フレキの側にいると思う。
「そうなのね・・・それなら敵である可能性が高いわね」
「そうです」
私は、すぐにトールさんとポロンさんにも状況を説明した。そして、みんなで話し合った結果、ロキさんとトールさんが様子を伺うことになったのである。
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