第332話 魔石国家ケルト王国編 パート2
「さぁ、決断するのだ!ルシスを外して・・・」
「レイン黙れ!魔王補佐官で在られるレジーナ様に失礼だぞ。それにルシス王女様を呼び捨てするなんて無礼にもほどあるぞ」
アルイは血相を変えてレビトを注意する。
レビトは一度自分がカァラァに殺されたことを知らない。なので、アルイの態度が急に変わったので困惑している。
「アルイお兄様、ナレッジの情報では・・・」
「レビト、身分をわきまえろ。魔法補佐官のレジーナ様と魔王の候補のカァラァ様とリプロ様の前で失礼な態度をとるな!いくら魔界総会議の場であっても礼儀を尽くして意見を述べろ!」
ルシスを死んだと教えたのはナレッジである。しかし、カァラァの圧倒的な力とリプロの『時の守護者』の能力を見たナレッジも急に態度を変える。
「僕が魔王になるのだ」
何も理解できていないチルドが、場の空気もわからずに大声で叫んだ。
「チルド黙りなさい!お前に魔王候補になる器など全くない」
アルイはチルドを叱る。
「僕は強い悪魔の契約したから、お父さんが魔王になれると言ったのに」
チルドはアルイの怒られて、今にも泣きそうである。
「黙りなさい。レジーナ様息子の失礼な対応をお許しください。今回は私の誤った判断でくだらない議題を出したことお許しください。この議題は廃案にしたいと思っています。少しでもルシス王女様の回復を祈っております。歴代最高を誇る魔力をお持ちのルシス王女様ならどんなにブランクがあっても魔王になれると私は思っています」
アルイは急に跪いてレジーナに頭を下げた。
「お前達も今までの失礼な態度をお詫びしろ」
アルイが大声で叫ぶ。
アルイとナレッジの突然の変わり様にレビト達は戸惑っていたが、アルイの言う事聞き入れてレビト達は謝罪をした。
「これで、私たちは失礼いたします」
アルイはレビト達を連れて魔王城会議室から逃げるように出て行った。
僕の名はリプロ。魔王の末っ子であり3人の中では1番魔力が低い。しかし魔王にはルシスお姉ちゃんがなるので問題はない。でも、ルシスお姉ちゃんは5年前の悪魔との契約の儀式の時に魔力を失い、しかも魔石が白くになるという難病にかかってしまったとお母様から聞かされた。
その難病の影響で魔界の魔瘴気に耐えれなくなって人界へと送られた。僕はその難病を治す方法を探したが、治す方法は見つからなかった。
今日の魔界総会議で僕はある提案をするつもりだったが、アルイのくだらない議題で、カァラァお兄ちゃんを怒らせてしまって、魔界総会議は呆気なく終わってしまった。
僕が提案する予定だった案は、魔界ではいくら探してもルシスお姉ちゃんの難病を治す手段がないので、天界・人界へ行って難病を治す方法がないか調べる許可をもらう事である。魔界のルールでは、人界への介入は禁止されているので、きちんと許可を取らないと人界へ行けない。天界においては、ライバル関係にあるので慎重に行動しないと争いにも発展してしまう。
人界へは、1年に1度だけブラカリの町へ魔石具の販売と低級な魔石技術を教えに行くことになっている。ブラカリの町は、お父様である前魔王を崇拝する聖魔教会があり、お父様の教えを守って全種族が仲良く暮らせる世界を作ろうと頑張っているので、特別にお父様が人界への介入を認めた町である。
僕もこの前ブラカリの町へ行って魔石具の納品をしてきた。ブラカリの町がある『オリュンポス国』は人間至上主義の神守協会という人間以外の種族を軽蔑するくだらない組織があったが、ある冒険者達の活躍で神守教会は取り壊されたと聞いている。
「お母様、お願いがあります」
「リプロ、もう会議は終わりました」
「大事な話です。聞いてくだい」
「お母様、リプロの話を聞いてあげてよ」
「レジーナ様、リプロ様の話を聞いてあげましょう」
とナレッジが言う。ナレッジはルシスの情報を漏らしたことを追及されるのが怖いので、リプロの提案を推奨するのである。
「わかりまし。話だけでも伺いましょう」
「お母様ありがとうございます。僕はお姉ちゃんの難病を治したいのです。でもいくら魔界の知識を調べても難病が治る方法は見つかりません。だから、人界・神界なら治す方法があると思うのです」
「僕もそう思っています」
カァラァも僕と同じ考えであった。
「人界・天界へ行くのは魔界のルールで禁止されています」
レジーナもその方法しかないとわかっている。しかし、魔王補佐官として魔界のルールを守らないといけない。
「レジーナ様、ルシス王女様は魔王になるべき人です。この際、魔界のルールを破ってでも難病を治す方法を探す方が良いと思います。責任は私がとります」
ナレッジはルシスを魔獣の住む森に転移させたので、もう死んでいると思っている。しかし、リプロとカァラァの強大な力を見たので、2人の機嫌を取るために後押しをすることにした。
「・・・」
レジーナは考え込む。
「争いは起こしません。だから、僕を人界へ行く許可をください」
僕は嘆願する。
「僕は天界へ行きます」
カァラァも嘆願する。
「わかりました。許可を与えます。しかし、人界・天界でトラブルだけは起こさないで下さい」
こうして、僕は人界へ行くことになったのである。
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