第90話 パーシモンの町パート10
翌朝、私たちはポロンさんにサラちゃんを召喚してもらった。もちろんマグマ石を渡してもらう為である。
「朝早くから召喚しないでほしわ。寝不足は美容に悪いのよ」
サラちゃんは、朝早くに呼ばれて機嫌が悪い。なので、サラちゃんのご機嫌を取る為に、私は朝食にピザを用意してあげた。
「サラちゃんのために、ピザという食べ物を作ってみました。ピザとは薄いパリパリの生地でサクサクした食感でとても美味しいのです。しかもその生地は、トマトソースで味付けされていて、その上に熱々のとろーりとしたチーズが敷き詰められているのです。また、生地の上にトッピングされたソーセージは、ほくほくしてとても美味しいですよ」
「それは、美味しそうな料理だわ。私のためにありがとうですわ」
「これはうまいな。いくらでもお腹に入るぜ。お酒も出してもらっていいか」
サラちゃんより先に、トールさんがピザを食べ出した。
「私のピザですわ。トールさん、先に食べないでよ」
「これは、ほんとに美味ですわ」
次は、ポロンさんが食べ出した。
「ポロンさん・・・私のピザを食べないでよ」
「うむ、これはいい味だな」
「イフリート!私のピザよ」
サラちゃんが食べる前に、みんながピザを全部食べてしまったのであった。
「ひどいですわ。私のピザがありませんわ。どうしてくれるのですか」
サラちゃんは、かなり怒っているのである。
「サラも昨日マグマ石を一人占めしただろう」
「あれは、タヌキングに許可をもらったので問題ないですわ」
「サラちゃん、マグマ石はもう残ってないのですか?」
「もちろんですわ。私が全て美味しく頂いたわ」
「・・・・・」
やはり、もうマグマ石はないみたいである。
「ルシスちゃん、追加のピザはないのかしら」
「ルシス、出さなくていいぞ」
トールさんは怒っている。
「ルシスちゃんお願いよーー。私にもピザを食べさせてよ!」
サラちゃんが頭を下げてお願いする。私は心を鬼にしてピザを出さないと思っていたが、サラちゃんが、涙目で訴える姿勢を見てピザを出してあげることにした。
「ありがとう。ルシスちゃん」
サラちゃんは、美味しそうにピザを食べ始めた。もちろん追加に色々と要求をしてくる。今日は、サラちゃんには用事はないので、たくさんの食べ物・飲み物を出してあげた。
マグマ石は手に入れ得ることはできなかったが、私はバルカンの元へ行くことにした。
私は、太陽騎士団の本部に行って、ワイアットに会いたいと告げると、すぐにワイアットのいる部屋に案内された。
「ルシスちゃん、待っていたんだよ。実は相談があるのだよ」
バルカンは、深刻そうな顔をして、私に話しかけてきた。
「何かあったのですか」
「実は、アポロ公爵様から、早急に神剣を作るように頼まれたのだよ」
「断っていたのではなかったの?」
「もう断れる状況でも無くなったのだよ。今、アポロ公爵様の立場は不安定なのだよ。どうにかして、ネテア王妃派の派閥に入れてもらいたいのだが、何か誠意のあるとこを示さないと、派閥にはいれてもらえないんだよ」
「それで、神剣をネテア王妃にプレゼントするのですか」
「そうなんだ。でも神剣を作るには、最低でもミスリルかアダマントは必要なのだが、制作にとても時間がかかる。しかし竜光石があれば、制作時間がかなり短縮できるのだよ」
「私の持っている竜光石が欲しいのですね」
「そうなんだ。でもタダでとは言わない。我が家に伝わる魔剣ルーヴァティンと交換して欲しい」
「魔剣ルーヴァティンって、魔力制御のコントロールを間違うと、魔剣に全ての魔力を奪われてしまう伝説の剣のことですか」
「そうだよ。ルシスちゃんなら、魔剣を使いこなすことができると思ってね」
魔剣ルーヴァティンとは、150年前に突如として現れた魔剣である。神剣よりも強大な力を持っているが、魔力コントロールが難しく魔剣に魔力を奪われ、使いこなせる者がいない伝説の武器だある。
「それって、私のメリットが少ないのではありませんか?」
「確かにそうだけど、僕にできるのはそれくらいしかないのだよ」
魔剣ルーヴァティン・・・私は、魔界の本で読んだことがある。この剣は、理由はわからないが、魔界から、人界へ渡った剣である。なので、魔人以外が、使いこなすにはかなり難しいと言われている。しかし、魔界の剣なので、私は回収したいのが本音である。しかし、私の一存では決めることはできない。
「わかりました。仲間に相談してみます」
「それは助かる。良い返事を期待してるよ。それと、マグマ石・氷河石は手に入れることはできたのかな」
「それが・・・氷河石は、手に入れることはできたのですが、マグマ石は手に入れることはできませんでした。しかも、氷河石は、私の持っているティアラをつけていないと氷化してしまいます」
「氷化の件は問題ないよ。僕は、神から授かった鍛治の能力を使えば、氷化は防げるからね。あとはマグマ石だね。代わりの石となると・・・サラマンダー石くらいかな」
「サラマンダー石とはどのような石ですか?」
「マグマ石の別名は、サラマンダーのおやつと言われているんだ。サラマンダーが、マグマ石を食べる部位は、甘味成分の多い部分でけで、残りのマグマ石は捨ててしまうと言われている。その捨てた石には、濃厚な炎の結晶だけが残り、宝石のように赤く輝いているらしい。その捨てた石をサラマンダー石と言われているのだよ。しかしとてもレアな鉱石の為、100年に1度偶然に、冒険者が拾うことのある幻の石だよ」
これは、竜光石と同じ原理みたいである。サラマンダー石なら、サラちゃんに聞けば、すぐに手に入るはずである。
「そうなのですか・・・わかりました。その石を探してみたいと思います」
「無理だと思うよ。それならマグマ石を探しに。別の火山を探した方が、効率的かもしれないよ」
「大丈夫です。なんとかなりそうなので」
「そうなのか・・・それなら期待して待っているよ」
私は、太陽騎士団の本部を出て、すぐに宿屋に向かった。宿屋に着くと、そこは、大宴会の最中でありみんなが酔っ払っていて、とても話しを説明する状態ではなかったのであった。
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