第91話 パーシモンの町パート11



 私は、次の日にバルカンの要望をみんなに説明した。



 「伝説の魔剣と竜光石と交換は俺は反対だ。なんのメリットもないぜ」


 「私もですわ。扱えない魔剣など無用な産物ですわ」


 「私も賛成できない」


 「私もですわ。魔剣じゃなくて、もっと美味しい物を用意すべきですわ」



 サラちゃんの意見は、どうでもいいが、みんなが反対するのは当然である。しかし、私は、どうしても魔剣ルーヴァティンが欲しい。どうやってみんなに納得して貰えばいいのだろうか。



 「それよりサラマンダー石とは、なんだ?サラは身に覚えはあるのか?」


 「そんな石は知りませんわ。それに、美味しくない部分は全て捨てて、どこにあるのか記憶にございませんわ」


 「一昨日のことだろ。どこへ捨てたかくらいは覚えておけよ」


 「ゴミのことなど覚える価値もないのよ」


 「捨てる場所とかは決めてないのか」


 「私の家以外は全てゴミ捨て場よ」


 「・・・・」


 「イフリートは、わからないのか」


 「洞穴のあちこちに落ちているはずです。マグマ石の食べ残しは、いつもサラマンダー様は、吐き飛ばして遊んでいましたので」


 「さすが、イフリート。サラと違って役に立つじゃないか」


 「当然です」



 イフリートは誇らしげに言った。



 「そんなこと言うならサラマンダー石は渡さないわ」



 サラちゃんの機嫌が悪くなる。



 私は仕方がないのでプリンを出して上げた。



 「わーい。わーい。プリンなのよ」



 美味しそうに、プリンを食べるサラちゃん。



 「サラちゃん。サラマンダー石をもらってもいいですよね」


 「好きにしたらいいわよ」



 プリンで操れるちょろいサラマンダーである。これでサラマンダー石は問題ない。後は魔剣の説得である。サラちゃんみたいに、プリンで解決できたら楽でいいのに。


 私は、素直に欲しい気持ちをみんなに伝えることにした。



 「みなさん、お願いがあるのです。私は魔剣ルーヴァティンが、どうしても欲しいのです。竜光石と交換させてください」


 「ルシスどうして、魔剣が欲しいのだ」


 「あの魔剣の事は、本で読んだことがあります。とても興味を持ったのでどうしても欲しいのです。私には魔剣の使い方もわかっています。お願いします」


 「ルシスにはだいぶ世話になったし、俺はルシスが欲しいなら交換してもいいぜ」


 「私もルシスちゃんが、そこまで欲しいと言うならいいと思いますわ」


 「そうだな。私も賛成しよう」


 「ダメですわ。もっとプリンを出してくれないと、賛成できないわ」



 みんなが賛成してくれたので、これで魔剣を手に入れることが出来る。みんなには、感謝しないといけない。



 「私のわがままを聞いてくれて、ありがとうございます」


 「気にするな。俺たちは、仲間だからな」


 「そうですわ」


 「その通りです」


 「私のプリンは何処へ・・・」



 私は、サラちゃんに追加のプリンを用意する代わりに、イフリートを連れてサラマンダー石を持ってきてくれるようにお願いした



 「わかったわルシスちゃん。あなたの熱意に負けたわ。イフリートついてきなさい」



 サラちゃんは、疾風のごとくポロンさんの精印から、イディ山に戻りサラマンダー石を拾って戻ってきたのであった。



 「これが、サラマンダー石みたいだわ。さぁ早く追加のプリンを出すのよ」



 私は、サラちゃんに、追加のプリンを渡して太陽騎士団の本部へと向かった。



 「わーーい。わーーーい。追加のプリンなのよ」




 私は、太陽騎士団の本部に着くと、すぐにバルカンの元へ案内された。バルカンも、すぐにでも竜光石が欲しいみたいである。



 「ルシスちゃん。竜光石の件はどうなったのですか」


 「みんなが了承してくれたので、魔剣と交換することになりました。そして、サラマンダー石も用意できました」


 「本当にありがとう。これでアポロン伯爵も安心するだろう。了承してくれると信じて魔剣も用意しておいたよ」



 私は、魔剣と交換で竜光石・マグマ石・氷河石を渡した。



 「こんなにも竜光石があるんだね。これなら、神剣をもう一本作ることができそうだよ」


 「本当ですか。それなら剣じゃなくて、ハンマーを作ってもらっていいですか」


 「わかったよ。最高のハンマーを作るよ。制作期間は、1ヶ月くらいになると思うのでまた1ヶ月後に取りにきてね」


 「わかりました。最高のハンマーを期待しています」



 私は、魔界に戻るまでは魔剣をロキさんに使ってもらうことにしている。その為、バルカンに作ってもらう武器は、トールさん用にハンマーにした。ポロンさんは、聖霊神の加護があるので強力な武器は必要はない。


 私は、みんなの元へ戻ってこのことを説明した。



 「私に魔剣が使いこなせるの?」


 「はい。使いこなせるようになります。しかしすぐには無理です」


 「修行が必要なのか」


 「違います。ロキさんの魔石を覚醒するのです」


 「魔石の覚醒????」


 「はい。私は、ロキさんとトールさんは覚醒者だと思っています。覚醒者とは2つの属性を持つことのできる者です。そして、覚醒する方法はいくつかあるのですが、その方法の一つが妖精の山にいるオーベロン王に魔石を覚醒してもらうことです」


 「妖精の山は、エルフの王族の血縁者が16歳の誕生日のみ入ることが出来るのよ。だから、妖精の山には入れないはずよ」



 ポロンさんが説明してくれた。



 「はい。そうです。しかし、ポロンお姉ちゃんは聖霊神と契約することができました。なので妖精の山に入る事ができるのです」


 「そういえば、聞いたことがあったわ。聖霊神と契約したものは、自由に妖精の山に出入りできると・・・」


 「そうです。なので、これからポロンさんの里帰りをしましょう」


 「そうだな。アビスの件もあるし、やっとエルフの国に帰れるなポロン」


 「はい。嬉しいですわ」


 「俺の武器は製作してもらっているから、出来上がるのが楽しみだぜ」



 私たちは、次はエルフの国へ行くことになったのである。とても楽しみである。

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