第358話 魔石国家ケルト王国編 パート28
⭐️リプロ視点に戻ります。
僕は研修施設から帰ってきて、宿屋の食堂で食事をとっていた。
「焼き立てのパンは美味しいですぅー」
フェニは焼きたてのパンを口に頬張って嬉しそうにしている。魔界でもパンを食べることができるが、人界に比べると味は劣る気がする。なので、僕も人界の美味しいパンを食べることができてとても満足している。
「ホロスコープ星国の王都のパン屋さんはもっと美味しいですぅ。リプロ様に食べてもらいたいですぅ」
「そんなに美味しいの?」
「もちもち食感で一回食べるとクセになりますぅ。王都のパンが恋しいですぅ」
フェニはホームシックならぬ焼きたてパンシックになっている。
「時間があったらホロスコープ星国のパン屋に寄ってみようかな?」
「ぜひきてくださいですぅ。パン屋さんの全てのパンを買い占めるお金は持っているのですぅ」
フェニは、収納ボックスにある大金を思い出してニヤニヤしている。
「フェニ、あのお金はグリシャに騙されたイベリアの村人に返すのだよ」
「わかっているですぅ。でも、迷惑料と仲介料と運送料はもらうのですぅ」
フェニは、残念そうに言う。
「搾取し過ぎてはダメだよ」
「はーーい」
フェニは元気よく返事をした。
「ここにリプロという少年はいるはずだ。すぐに会わせてくれ」
宿屋の扉が開いて、大慌てでダグザが入ってきた。
「ダグザ様、そんなに慌ててどうしたのですか?」
ダグザは、ケルト王国では誰も知らない者がいないくらいに有名な人物である。なので、ダグザが宿屋に訪れて宿屋の主人は驚いているのである。
「リプロという少年に用があるのだ」
「僕ならここにいるよ」
ダグザが、大声で話しをしているので、僕はすぐに気がついた。
「リプロさん、そこに居てたのですか・・・お食事中にすいませんが、テウス様がお会いになるそうです。先程の研修施設の闘技場にきてもらってもよろしいでしょうか?」
「構わないよ」
「ダメですぅー。まだパンを食べたいですぅ」
フェニはダグザをジロリと睨んで、僕が研修施設に戻るのを防ごうとする。
「お食事が終わってからでも構いません」
ダグザはフェニに睨まれて少し萎縮した。
「フェニ!睨みつけたらダメだよ」
「でもぉーー。あと3つパンを注文しているので、それを食べないで出かけるのは嫌ですぅ」
「ダグザさんの了承ももらったし、パンを食べ終わったら研修施設に戻ろうか」
「はーーい」
フェニは元気よく返事をして、残りのパンが出てくるのを待っているのである。
「ダグちゃんもパンを食べますか?」
「私は結構です。ケルト城にある最高級のパン屋で先ほど昼ごはんは済ませてきました」
「それは、どういうことですか!くわしいことを教えるのですぅ〜」
フェニは、身を乗り出してダグザに問いただした。
「話のままです。ガリアの町の中心部にあるテウス様の住むケルト城の一角にあるパン屋さんで食事を済ませてきたと言う事です」
「ここの宿屋のパンよりも美味しいのですぅか?」
フェニはかなり真剣である。
「もちろんです。テウス様はパンがお好きということで、腕のいいパン職人を捕まえてきて、そのお店で働かせています。そのお店はケルト城に携わる者しか入ることはできません。なので、ガリアの町に住む住人でさえ食べることができないのです」
「食べたいですぅ〜ダグちゃんなんとかして!」
フェニは駄々をこねてダグザにお願いをする。
「テウス様から許しを得れば、私が紹介をしてあげることが出来るはずです」
「ダグちゃん、今すぐテウちゃんに会わせて欲しいですぅ」
「その・・・テウス様に会わせるために私はこの場に来たのですが・・・」
ダグザは困惑している。
「フェニ、ダグザさんはテウスに会わせるために宿屋まで僕たちを呼びに来たのだよ。でも、フェニがパンをまだ食べたいから、少しでけ待ってもらうことにしたのだよ」
僕はフェニに諭すように言った。
「そうでしたですぅ・・・美味しいパンと聞いて頭が真っ白になったのですぅ」
フェニは反省した。
そして、注文していたパンが出てきて、フェニは美味しそうに食べてから、みんなで研修施設に向かったのである。
研修施設に着くと、先ほどとは違う金色の豪華な配色がされている大きな闘技場に案内された。闘技場には観戦できるたくさんの観客席があり、その中央に特別な観客席があり、そこの豪華な椅子にプロメーテウスが座ったいた。
「遅いではないか!俺はすぐに呼び出して来いと言ったはずだ」
「申し訳ありません。諸事情があり少し遅れました」
ダグザは頭を下げる。ダグザはフェニのパン待ちだったとは言えない。
「テウちゃーーん!パン屋を紹介して欲しいですぅ」
プロメーテウスを見たフェニが大声で叫ぶ。
「あの無礼者は誰だ!」
「彼女がホロスコープ星国最強の魔法使いであり剣士であるフェニさんです」
「お前が負けた相手だな」
「そうです」
「テウちゃーーーーん!聞こえてますか?」
フェニの大きな声が闘技場内になり響く。
「クーフーリン。あいつを黙らせてこい」
「わかりました」
クーフーリンは観客席からジャンプして飛び降りて、僕たちのいる闘技場の舞台に降りてきた。
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