第20話 パースリの町パート2
⭐️ルシス視点に戻ります。
私達は、急いで食堂へ降りていった。
「寝ているところ、ごめんなさい。緊急事態なのです」
「パースリの町が、ゴブリンに占拠されたって本当ですか?」
「はい。本当みたいです。先ほどトメイトの村から報告がありました。パースリの町へゴブリンの大群が押し寄せ占拠されたらしいです」
「いくらゴブリンが大群で押し寄せてもそんなに強くないはずだ。パースリの町は、大きな町なのでたくさんの衛兵がいる。しかも一般市民でも、ゴブリンならなんとか対応できるはずだが」
「パースリから、逃げてきた人によると、ジャイアントゴブリンが数体いたそうです」
「ジャイアントゴブリンですか、それなら納得がいきます。ジャイアントゴブリンはかなり手強いと思います」
「パースリには、私の息子が逃げて行ったと思います。ジャイアントゴブリンの討伐とまで言いませんがパースリの状況を確認してもらえませか?」
「たしかに、パースリの状況は気になります。その依頼受けましょう」
「ありがとうございます。でもあまり無理はしないでください。あくまで状況確認でかまいません。トメイト村から領主様の町へ討伐要請をお願いしてると思います。パースリには領主様が建てられた孤児院があるますので、すぐに討伐しに来られると思います」
「わかりました。私たちは討伐部隊が来るまでの偵察要員というとこですね」
「はい、そうです。息子のことも心配ですが、パースリの町の状況、それに、もしかしたらキャベッジの町、トメイトの村にも侵攻してくるかもしれませんので偵察をお願いします」
「そしたら、今すぐに向かいます」
「ありがとうございます。お気をつけて」
私たちは、馬車に乗り込み、急いでパースリの町へ向かった。
「ジャイアントゴブリンはキマイラに比べたら弱いが、ゴブリンの大群を抑えつつ、戦うとなると面倒になりますね」
「そうだな。今回もルシスに、支援してもらった方が良いな。頼むぜルシス」
「はい。わかりました」
「偵察の依頼だが、町の人が心配だ。俺は速攻で乗り込むぜ」
「わかったわトール。でも危ないと感じたら逃げるわよ」
「わかってるぜ。とりあえず、飯にするか」
私たちは、急いでパースリに向かったが、ちゃんと宿屋でお弁当を買っていた。
この世界は、電子レンジはないが魔法で冷えた弁当も暖める事ができる。魔法が使える人は収納魔法も習得してる人が多いので、収納ボックスに収納しておけば腐りもしない。魔法はとても便利なものである。
私たちが、馬車の中で、食事を終える頃にはパースリの町に到着していた。
私たちは馬車を降りると、パースリの町の門に向かった。
「パースリの町の中から、たくさんの魔獣の魔力を感じます。大きな魔力が6体、小さな魔力が500体です。人間の魔力は20体ほど感じます」
「ゴブリンが500体、ジャイアントゴブリンが6体ということね」
「はい、そうです。ただ1体は、ジャイアントゴブリンではないと思います。その魔獣はさらに魔力が高いです」
「その魔獣がこのゴブリンを率いているボス魔獣ね」
「はい。そうだと思います」
「生き残ってる町の人は、1つの場所に監禁されていると思います」
「生存者は20人。多くの町の人は殺されたみたいですね」
「町の人の救出が先か、魔獣のボスを倒すが先かどうしますか?」
「ボスを倒すぜ。その方が確実だ。町の人は監禁されているならすぐには殺さないはずだ。先に救出しても逃げる時に殺されたら意味がないからな」
「そうですね。その作戦でいきましょう」
「ルシス、ボスの位置はわかるか?」
「はい。町の中央にいると思います。そこを守るようにジャイアントゴブリンがいると思います」
「よしわかったぜ。町の中央まで一気に駆け抜けるぜ。ロキと俺で、ジャイアントゴブリンを倒す。その間に周りのゴブリンの相手をルシスとポロンに任せるぜ」
「はい。わかりました」
「ルシスちゃんの支援魔法はすごいけど、戦闘は大丈夫なの?」
ポロンさんは心配そうに言う。
「あんなすげー支援魔法使えるなら、攻撃魔法もかなり強力だろ?」
トールさん適当に言う。
「ポロンお姉ちゃん、心配してくれてありがとうございます。実は私は支援魔法より攻撃魔法のが得意です。ゴブリンくらいなら容易く倒せます」
私はかなり控えめに言った。本気を出さなくても、私1人でこの町の全ての魔獣を倒すことができるのである。
しかし、本気を出して大ごとになることは控えなければいけない。異世界アニメをたくさん見てきた私は知っている。大きな力を見せてしまったら、国王や権力者から囲い込まれて面倒になる事を。
私の今の目標は、魔界へ戻る方法を探す事、そして異世界冒険を楽しむことである。国の権力争いや、国家間のイザコザに巻き込まれるのは避けておきたい。
「よし決まりだな。俺が突撃するからみんな着いてこい」
私が、みなさんに支援魔法をかけると、トールさんは、勢いよく飛び出して町の門をハンマーで壊して町の中へ入っていった。
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