第199話 神守聖王国オリュンポス パート8
ソールに燃やされたゾンビ達は、ゾンビスライムになり、そして、一つの大きなビッグゾンビスライムに変身した。
茶色くドロドロのヘドロのようなビッグゾンビスライムが、ナメクジのようにゆっくりと近づいてくる。
「アレスの言うとおり、いくら燃やしても効果がないみたいだわ」
ソールが言う。
「ソールどうするの、じわりじわりと近づいてくるわ」
サクラがビビりながら言う。
『スーパー勇敢なる鼓舞』
アレスは祭壇の上から力強く叫んだ。
ビッグゾンビスライムが真っ赤に輝き出した。
マーニがソールを抱えて風魔法を使って宙へ逃げた。
ビッグゾンビスライムの動きが急に早くなり、サクラに襲いかかる。
「キャーー、ゾンビスライムが雨のように降ってきますわ」
ビッグゾンビスライムが飛び上がり、サクラに向かって雨のように降ってくる。
『ゼログラビティー』
マーニは風魔法を使って、無重力空間を作りビッグゾンビスライムの動きを止めた。
「マーニ、邪魔をするな」
アレスが祭壇の上から叫ぶ。
風魔法を使って、マーニはソールを連れて祭壇の上に舞い降りた。
「サクラ、アレスを倒すまで我慢していてね」
マーニの『ゼログラビティー』で、サクラの頭の上にはビッグゾンビスライムの雨が、寸前のところで止まっている。マーニの『ゼログラビティー』が解かれたら、ゾンビスライムの雨がサクラを襲うのである。
サクラは腹這いになって、ビッグゾンビスライムの雨の範囲から逃れようと、必死にほふく前進しながら、逃げようとするが、ビックゾンビスライムは分裂を繰り返して、範囲がどんどん広げて、サクラを逃さないようするのであった。
「やばすぎですわ。もう怖くてたまらないですわ。こうなったら私の必殺技を出しますわ」
『神への祈り』
サクラは、逃げることを諦めてただ祈り続けたのであった。
「神様助けてください。私だけでも助けてください。ゾンビスライムに溶かされて腐敗されるなんてまっぴらごめんです。なので、助けてくだい。助けてくだい」
すると・・・ビッグゾンビスライムが黄金に輝き出した。
「何が起こっているのだ」
アレスが驚いている。
「マーニ、何が起こっているの」
ソールがマーニに問いかけるわ。
「乙女の祈りですわ」
「どう言うことなの」
ソールが問い返す。
「サクラの神の子の力は魅了ですわ。サクラは魅了の力でゾンビを誘惑して、天国へ魂を浄化させたのだわ」
マーニの言う通り、ビッグゾンビスライムは黄金に輝きながら、天国へ向かうかのように天井をすり抜けて、天高く消えていくのだった。
サクラは、無我夢中で祈りを捧げているので、ビッグゾンビスライムが浄化されたことに気づかずに、祈り続けているのであった。
「そんなバカな・・・ゾンビスライムが浄化されるなんて」
「アレス、あなたも私の炎で浄化させてあげますわ」
ソールがアレスに言う。
「ふざけるな。俺は同じ相手に2度負けることはない」
『
アレスは神の子の能力を発動した。アレスの体はみるみる大きくなり、体長3mの筋骨隆々のゴリラのような化け物に変身した。
アレスは自らを鼓舞するように、胸を激しく叩いてドラミングをした。
「ウォーーーーー」
アレスは大声で叫びながら、両手を振り上げてソールを叩きつける。
ソールはサッと祭壇から飛び降りて、サクラの側に着地した。
アレスに叩きつけられた祭壇は粉々に砕ける。
アレスは祭壇から飛び降りて、体を丸くして回転しながら、ソールに向かってダイブする。
「サクラ、逃げるわよ」
「私だけ助けてください。私のみ助けてください。もし余裕があればソールもついでに助けてください。マーニは1番最後でかまいません」
サクラはまだ祈り続けている。
ソールは、サクラを抱えて逃げようとするが、アレスがいち早くソール達にたどり着く。
『ゼログラビティー』
マーニがアレスの動きを止める。
「神技『荷重』『倍倍』『倍倍』」
アレスは神技を使った。『荷重』とは体を鉛のように硬くして、さらに体重を鉛のように重くする神技である。『倍倍』は神技の効果を倍にする神技である。
マーニの『ゼログラビティー』は風を使って、物体を浮かしているので、荷重が強くなれば、効果が薄れるのであった。
アレスは宙に浮かびながら、回転し続ける。そして神技を使ってマーニの『ゼログラビティー」を破壊しようしているのであった。
「サクラ、正気になりなさい。ビッグゾンビスライムはもういないのよ。でも次はアレスが来ているわ。早く逃げるのよ」
ソールはサクラを怒鳴りつける。
「ソール、私を抱えて何をしているの・・・そうね。ここはもう天国なのね。ソールもビッグゾンビスライムの餌食になったのね。一緒に天国を楽しみましょう」
サクラは笑顔で言った。
「目を覚ましなさい」
ソールはサクラを投げつけて、アレスの大回転から逃げる。
その瞬間、マーニの『ゼログラビティー』を破壊したアレスが地面に突進した。アレスの突進により、地面に大きな穴が空いた。
「もう少しだったのにな。次は逃さないぞ」
アレスが立ち上がり、ソールを睨みつける。
サクラも起き上がり正気に戻る。
「よくわかりませんが。ビッグゾンビスライムはいなくなったのね。残るはアレスだけね」
サクラが偉そうに言う。
「そうね」
ソールが淡々と答えた。
「私がアレスの相手をしますわ。ソールとマーニはアレスが倒れたら灰にしてトドメを刺してね」
「わかったわ」
「・・・」
ソールは返事をして、マーニは静かに頷いた。
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