第49話 神守教会との戦いパート1



  私たちは、王都を出発してラディッシュの町へ向かった。途中で、ブラカリの町で泊まり次の日にはラディッシュの町へ着いた。そして、冒険者ギルドへ寄ってギルマスのディーバ伯爵夫人に会いに行った。



 「お久しぶりです。ディーバ様のおかげで、Cランク冒険者になることができました。ありがとうございます」


 「そんなにかしこまらなくていいのよ。それに、あなた方はCランク冒険者に相応しいわ」


 「いえいえ、私たちはまだまだ未熟です。ただ、Cランク冒険者に相応しい力を得るために、日々の努力は怠りません」


 「その気持ちは大事ですわ。ところで今後はどうするのですか」


 「とりあえず、しばらくは、この街を拠点にして特訓をしようと思ってます」


 「それは助かるわ。少しあなた方に相談があるの。少しだけ私に時間をくれないかしら」


 「はい。かまいません」


 「そしたら、あちらの部屋に行きましょう」


 

 私たちは、ディーバ様に連れられて、ギルドの奥にある部屋に向かった。



 「実は、神守教会のことなのですが、近いうちにブラカリの町を襲撃するみたいなの」


 「本当なのですか」


 「間違いないわ」


 「それは、大変なことになりそうですね」


 「そこで、あなた方にブラカリの町の護衛に参加してほしいの」


 「私たちで大丈夫ですか」


 「問題ないわ。護衛の指揮はあなた方も知っている金玉のリーダーのソールさんに依頼しているわ。明日この部屋に来るので、詳しいことはソールさんに聞くといいわ」


 「はい、わかりました」


 「それと、リアムにはくれぐれも気をつけてね」


 「なぜなのですか」


 「恥ずかしながら、リアムは神守教会と繋がっているのよ。それに、パースリの町、トメイトの村は神守教会に支配されていたの」


 「そうだったのですか」


 「だから、私はリアムの監視をするので、ブラカリの町はあなた方に任せるわ」


 「わかりました。では、明日またギルドに立ち寄ります」


 「お願いするわ」




 「偉いことに巻き込まれたな」


 「そうね。でも断ることはできないわ」


 「そうです。ブラカリの町は絶対に守るのです!」



 私はかなり怒っている。お父様を信仰している町を襲うなんて絶対に許せない。今すぐにでも、王都に飛んでいって神守教会の本殿を破壊してやりたい。



 「ルシスの言うとおりだ。あの町は守らないといけない。この国の偏った思想を崩すためにも」


 「私もそう思うわ」


 「ブラカリの町を守る為にも俺たちは早急に強くならないとな」


 「そうね。その為にも、今から特訓に行きましょう」





 私たちは町を出てディービルの森の近くまできた。



 「ここなら、特訓ができそうですね」


 「ああ、とりあえず何をしたらいい」



 トールさん達が私に指導を仰ぐ。




 「まずは、自分の魔力を右手に集めてください」


 

 3人は魔力の流れを意識して右手に魔力を集める。



 「魔力を集めるときに、イメージを持ってくだい。魔力は血液と同じ様に魔力も体全体に流れています。体内にある魔石を中心にして、頭の先から足の裏まで魔力は流れています。私は魔力を集めると言いましたが、実は魔力は集めるのではなくて、体全体から魔力を右手から解放することをイメージしてください」


 「集めるじゃなく、解放なのか」


 「はい、そうです」


 「初めて、聞いたぞ。普通は、魔力は意識を集中して、魔石から流れる魔力を集めると教えられている」


 「初めはそれでかまいません。魔力の流れを意識するためには。しかし、それは初歩的なことです。魔力の流れを意識できるようになったのなら、次は、その流れている魔力を解放します。みなさんは、武器に魔力流して、武器を強化もしくは筋力を強化していますが、少し発想を変えてください。トールお姉ちゃんとロキお姉ちゃんは、武器に流し込む魔力は、手のひらだけにしてください。腕や足に流れる魔力は筋力アップと防御力アップに使ってください。体全体の魔力を効率よく使ってください」



 私は、3人の魔力の使い方に違和感を感じていた。攻撃をするときは武器だけに魔力を込めていて、筋力増強には魔力を使っていなった。それには訳がある。それは、魔力を集めて力を注ぎたい場所にだけ魔力を注ぎ込む為である。


 それでは、一箇所にしか魔力を使うことしかできない。魔力は全身に流れているので、全身から魔力を解放したら、全てのことに魔力を注ぐことができるのである。一箇所に集めた方が簡単なのでそれが主流になっているのだろう。しかし、それは魔力の使い方の初歩なのである。



 「これは、めちゃ難しいぞ」


 「確かに、これは大変だ」


 「次はポロンお姉ちゃんです。基本は同じですが、ポロンお姉ちゃんは、微精霊の力を借りるので、自身の魔力は、身体強化に専念してください。矢を作り出す魔力は、最小限に抑えて、矢の威力は微精霊に任せてください。微精霊の魔力を最大限に活かすには、微精霊のみの魔力で攻撃することなのです。他の者の魔力が融合すると、魔力が反発しあって威力が下がります」


 「そんなこと、初めて聞いたわ。エルフは微精霊の力を借りるが、それは、自分の魔力と融合することで、力を増すことになるはずよ」


 「確かにそうかもしれません。しかし相性があるのです。微精霊にも、いろんな属性があります。その属性と、自身の属性が合致していたら融合により力を増すことができます。しかし、微精霊の属性を知ることはかなり難しいのです。それなら、微精霊の力を純粋に引き出した方が良いのです」


 「知らなかったわ」


 

 私は、天使様の特訓で、あらゆる知識も手に入れている。いかに効率よく魔力を使い、最大限に魔力を引き出せる方法を知っている。


  3人の特訓は始まった。最初は戸惑っていたが、少しずつ要領を掴んできたみたいだ。私は、これまでの戦いの時は、じっくり後ろで3人の動きを観察していた。そして、3人は魔力の使い方のセンスの良さを感じていたが、いつかじっくりと、特訓してあげれば、もっと強くなると確信していた。そしてその機会が来たのであった。


 それに、ロキさんとトールさんは間違いなく覚醒者であると感じていた。覚醒者とはごく一部の者が持つ得意体質である。


 

 基本は魔石の色により、その人の属性は決まる。


 赤は、炎属性。  青は、水氷属性。  黄は、雷風属性。  緑は、大地属性(回復、身体強化)


 白は、無属性。  金は、神属性(神に近い種族)  紫は、闇属性(魔族)  黒は、全属性。


 に分かれている。


 どの属性でも、光、闇魔法以外は使えるが、威力が全然違うのである。また相性もあり、属性に寄って与えるダメージも大きくなる。


 覚醒者とは、二つ以上の属性を持つことができる、特異体質のことを言うのである。



 3人の特訓は、夜遅くまで続いたのであった。

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