第273話 ホロスコープ星国 パート50



 ★シリウス城内では・・・



 「カプリコーン、まだライブラの行方はわからないのか」



 ジェミニは、とても不機嫌である。




 「スコーピオ、ライブラの件はどうなっている」



 カプリコーンは、スコーピオに話を譲る。



 「カペラの町へ行きましたが、ライブラの情報は入手できませんでした。ハダルの町にライブラは向かったと思いますが、ハダルの町に行くのは危険だと思い、引き返してきました」



 スコーピオは、嘘をついて、ライブラの生存を隠したのであった。



 「ライブラは、ウルフキングに殺されたと思って間違いないだろう。絶対にウルフキングをこの城に近づけるな」



 ジェミニは、拳を叩きつけて、怒りをあらわにした。



 「タラウスが、関所で監視を続けていますので、シリウス城に来ることはありません」



 スコーピオは、即座に返答した。



 「レジスタンのアジトの件はどうなっている?」



 いろいろと問題が重なっているので、ジェミニ王はイライラしているのであった。



 「アダラの村へ、現状を把握するために訪れましたが、まだレジスタンスのアジトは見つかっていないみたいです」



 もちろん、スコーピオは嘘の報告をする。



 「そうか・・・ところでスコーピオ、サジタリウスの姿を見かけなかったか」



 ジェミニ王は、サジタリウスとピスケスが戻ってこないことを疑問に思っていた。



 「存じ上げません。彼らは何の任務についているのでしょうか?」



 スコーピオは、ジェミニの命令で、サジタリウスとピスケスがスコーピオを監視していることを知らない。そして、サジタリウス達が私の仲間になったことも知らないのである。



 「極秘任務だ。お前の知る必要はない」



 ジェミニは、話を遮るのであった。



 「ジェミニ王、報告が遅れましたが、アリエルの報告によりますと、サジタリウス達は、怪しい少女と馬を庇い、しかも、アリエルに抵抗して、その少女と馬を逃したそうです」



 カプリコーンは、大事な情報をジェミ王に伝えていなかった。それは、最近ジェミ王の機嫌が悪いので、怒られるのが怖かったからである。



 「なぜ、そんな大事な情報を隠していたのだ!」



 ジェミニは、手元にあったグラスをカプリコーンに投げつける。



 「申し訳ありません。スコーピオに伝えるように命令したのですが、まだ伝えていないと思って、今報告することになってしまいました」



 カプリコーンは、スコーピオに罪をなすりつける。



 「そういうことか。スコーピオ、なぜカプリコーンのからの情報を隠していたのだ」



 ジェミニの怒りの矛先が、スコーピオに変わった。



 「申し訳ありません。報告するのを忘れていました」



 スコーピオは、真実を言っても、聞き入れてもらえないと察知して、すぐに謝罪をしたのであった。



 「お前は以前から不穏な動きがあった。今回のサジタリウス達の件も、何か都合が悪いと思って、隠していたのだろ!カプリコーン、スコーピオを捕らえて、牢屋にぶち込んでおけ」



 ジェミニは、ポルックスを敬愛するスコーピオが、いつ裏切るか不安視していた。今はウルフキングが襲ってくるかもしれない緊急事態である。そんな時に別の問題に悩まされるのも大変なので、スコーピオを牢屋に閉じ込めて、おとなしくさせる事にしたのであった。



 「待ってください、ジェミニ王。いつウルフキングが攻めてくるかもしれません。そんな危険な時に、戦力を削ぐのは危険だと思います。スコーピオの報告の遅れは、団長たる私の責任でもあります。なので、スコーピオには寛大な処置をお願い致します」



 カプリコーンは、まさかスコーピオが、牢屋に閉じ込められるとは思っていなかったので、焦っていた。



 「お前も知っているだろう。スコーピオは、ポルックスを敬愛している。カペラの町の情報もどこまで本当か信用できない。今は大事な時期である。信用できない者を、城内でウロウロされても困るのだ」



 ジェミニは、ウルフキングをかなり恐れている。そんな状況で、信用のできないスコーピオを、城内に置いておくのは不安なのであった。



 「わかりました。私がカペラの町へ行って、真相を追及してきます」



 カプリコーンは、イライラしているジェミニの側いると、八つ当たりが飛んでくると思ったので、王都を少し離れることにしたのであった。



 「わかった。お前にカペラの町の探索は任せるとしよう。スコーピオは信用できないので、牢に閉じ込めておく」



 ジェミニは、不安からくる怒りは、おさまらないのであった。


 スコーピオは、抵抗することなくシリウス城の地下にある牢屋に連れて行かれた。しかし、牢屋に連れて行かれるスコーピオの顔は、とても嬉しそうであった。それは、先程のカプリコーンの話から推察すると、サジタリウスが、私の味方になったと察知したからであった。なので、スコーピオは、自分がすることは無くなったと思って、後は革命が決行されるのを、牢屋で待つことにしたのであった。


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