第303話 ホロスコープ星国 ルシス編 パート15
翌朝
「何があったのですか?」
ヴァンピーがドラキュンの部下に問う。
「昨日、ハダルの町に2人の女の子が訪れました。1人はC1ランクの冒険者で、もう1人は子犬に変身できる女の子です。その2人は、ハダルの町へ不法侵入しよと計画していましたので、ドラキュン様が2人を拘束して、なぜ不法侵入したよとしたのか尋問をするために、屋敷の倉庫に連行したのです。そして、ドラキュン様が尋問している最中に悲鳴が聞こえたので、倉庫を確信したところ、ドラキュン様が気を失って倒れていたのです」
部下は昨日の出来事を説明する。
「それで、ドラキュンは目を覚まさないのね・・・」
ヴァンピーは、この時はまだ王に任命されていない。ヴァンピーは選挙活動のために、ハダルの町に訪れていたのである。
「いえ、違います。昨日の晩にやっと意識を取り戻したのですが、それまで眠った状態だったので、なかなか眠ることが出来ず、明け方にやっと眠ることができたのです。なので、ただ寝ているだけです」
「そういうことなのね・・・しかし、その女の子達は一体何者かしら?」
「ドラキュン様が、目を覚まし次第確認するのが良いと思います」
「そうね・・・でも、ドラキュンはなかなか目を覚ましそうにないので、私が、直接女の子達に会って確認するわ」
「ヤメておいた方がいいと思います。私がその女の子を見た時、その女の子は、子犬を抱いて目がハートマークになり、不穏な動きをしていました。その姿を見た時、私はかなりヤバい人物だと感じました」
「大丈夫よ。私はそんな変わった女の子の扱いには慣れているわ」
ヴァンピーは、フェニという特殊な女の子を相手していたので、風変わりな女の子には耐性がある。
「それなら、倉庫へ案内します」
ドラキュンの部下は、ヴァンピーを連れて倉庫へ向かった。
「・・・」
倉庫を見た部下は、目が点になっている。
「いつの間に、こんなに豪華な倉庫に改装したのかしら?」
ヴァンピーは倉庫の存在は知っている。なので、3階建ての豪華な倉庫に様変わりしているので、改装したのだと思ったのである。
「いえ違います。昨日まではただの汚い倉庫でした」
「そんなわけないでしょう。1日でこんな立派な倉庫・・・というよりも豪邸を作るなんて不可能よ。しかも、ドラキュンの屋敷よりも大きくなっているのじゃないのかしら?」
私は数時間で、しょぼい倉庫を3階建ての立派なお屋敷にリフォームしたのである。一階には大きな食堂やキッチン、多目的ホールを作り、そして、螺旋階段を登って2階に上がると応接室、客間などがある。そして、3階にはゆっくりと休める部屋4つ作ったのである。
「そのようでございます。私は夢でも見ているのでしょうか・・・」
「残念ながら夢ではないみたいよ。とりあえず、倉庫の中に入ってみましょう」
ヴァンピーは倉庫に入ろうとした。
「鍵がかかっているわ。鍵を開けてくれるかしら」
「私の持っている倉庫の鍵で開くのでしょうか?」
部下はオロオロしている。
『ガチャガチャ・ガチャガチャ』
「開きません」
部下や涙目で言った。
「鍵が開かないということは、本当に一夜にして建てられたというこのね」
ヴァンピーは驚かない。それはフェニが規格外なことをしてきたので、驚き耐性がついているのである。
「中にいる女の子達に開けてもらうしかないわね」
「それが良いと思います」
ヴァンピーは扉をノックした。
『コンコン・コンコン』
「はーい、なのだぁ」
中からゲリの声がした。
「ドアを開けてもらえるかしら」
「誰なのだぁ?」
「私は、この町の領主ドラキュンの姉ヴァンピーです」
「知らないのだぁ」
ゲリが知らないのは当然である。
「この倉庫はドラキュンの倉庫です。ドアを開けないと不法占拠の罪で監禁されますよ」
しかし、私たちはもう監禁されているのである。
「監禁されたくないのだぁ」
ゲリは監禁されている自覚はない。
「なら、ドアを開けるのよ」
ヴァンピーは強い口調で言った。
「ダメなのだぁ・・・ルシスちゃんに知らない人が来たら、絶対にドアを開けないようにと、言われているのだぁ」
私は、ゲリにドアを開けないように注意をしていた。それは、ゲリがいつ何時誰にベアハッグをするかわからないからである。私はこれ以上罪を増やしたくないのである。
「それなら、ルシスさんを呼んできてくれるかしら」
「う〜〜ん・・・それも無理なのだぁ」
「どうしてかしら」
「ルシスちゃんは寝起きが悪いのだぁ。ルシスちゃんを怒らせると怖いのだぁ」
私は昨日、短時間で倉庫を魔改造という名のリフォームをしたので、かなり疲れていた。なので、ゆっくりと寝たいので、ゲリに目が覚めるまで起こさないようにと頼んでいたのであった。
「ルシスさんは、いつ目を覚ますのかしら」
ヴァンピーは怒ることはしない。それは、シールドを張って眠りから絶対に覚めないフェニに、散々苦しめられたからである。ヴァンピーはフェニと一緒にいることで、様々な耐性をゲットしている。なので、どんなことがあっても冷静で慎重に対応できるのである。
「お昼ぐらいなのだぁ」
「わかりました。それならお昼にまたお伺い致します」
ヴァンピーは倉庫に入ることを諦めて、ドラキュンの屋敷に戻るのであった。
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