第304話 ホロスコープ星国 ルシス編 パート16
お昼過ぎ・・・
「ドラキュン様がお目覚めになりました」
「やっと起きたのね」
ヴァンピーは屋敷に戻って、ドラキュンが起きるのを気長に待っていた。
「ドラキュン様の部屋に案内します」
ドラキュンの部下に連れられて、ヴァンピーはドラキュンの寝室に向かった。
「ドラキュン、体調はどうかしら」
ヴァンピーはドラキュンの体を気遣う。
「あら、お姉様、屋敷に来ていたのね。体調ならたくさん寝たので、何も問題はありませんわ」
「それはよかったわ。早速だけど、昨日突然現れた2人の女の子について話を聞かせてくれないかしら?」
「ルシスさんとゲリさんのことね。2人はとっても可愛い女の子ですわ」
ドラキュンはニタニタと嬉しそうな顔をして、私たちのことを思い出しながら言った。
「外見のことはどうでもいいのよ。それよりも、どのような人物なの?」
「あの2人は、将来私のライバルになるはずだわ。特にルシスさんの可愛さは魔王級です。早めに手を打つ必要がありますわ」
ドラキュンは拳を握りしめて、私の将来の姿を想像している。
「ドラキュン・・・私の話を聞いているの?私は2人の人物像を聞いているのよ」
ヴァンピーは、『仏の心レベル100』のスキルをゲットしている。なので、話が噛み合わなくても、怒りが湧くことがない。
「私は今すぐに美容活動に専念しないといけないわ。今から、全身エステをしようと思います」
ドラキュンは部下に命じて、エステの準備をさせる。
「ドラキュン、あなたは今のままで十分に美しいわ。美しくなる努力をすることは、とてもいいことだと思うわ。しかし、今は、もっと重要な事があると思うわ」
「お姉様、美を追求するよりも重要な事など、私には心あたりがありませんわ。私の美貌を脅かす重大なライバルが出現したのです。今は、全てのことを差し置いて、美の追求をすべきだと私は判断したのですわ」
「そうね。あなたにとってはそれが1番重要なのね。それなら、美の追求を頑張るのよ」
ヴァンピーは、潔くドラキュンから私たちの情報を聞き出すことを諦めた。
「私は、2人が捕らえれている豪邸に行ってくるわ」
「・・・」
ドラキュンはエステの準備に集中しているので、ヴァンピーの声は届かない。
ヴァンピーは1人で、私たちのいる倉庫という名の豪邸へ向かった。
『ドンドン・ドンドン』
「誰なのだぁ」
ゲリの元気な声が響く。
「午前中に訪れたヴァンピーです。ルシスさんはお目覚めになったのですか?」
「ヴァンピー・・・知らないのだぁ」
ゲリは興味がないことを覚えることができない。
「私の名前のことはどうでもいいわ。それよりも、ルシスさんはお目覚めになったのですか?」
「ルシスちゃんは、今はお風呂に入っているのだぁ」
私は起きてすぐに大浴場に向かったのである。
お風呂なんてこの倉庫にあったのかしら?とヴァンピーは思った。
「わかりました。ルシスさんがお風呂から出るまで、玄関で待っているので、お風呂から上がったら教えてください」
『ガチャ』
扉が開く音がした。
「入ってもいいのですか?」
ヴァンピーは、扉の鍵が開く音がしたので、ゲリに確認をとる。
「私は開けていないのだぁ。ルシスちゃんが開けたのだぁ」
私は玄関に監視モニターを付けていた。なので、玄関前の情報は、すぐに私に転送されるようにしている。私は、ゲリから見知らぬ女性が訪ねてきたと聞いていたので、モニターを通して、ヴァンピーを確認したのである。
ヴァンピーはゲリの失礼な対応にも、怒ることもせずに丁寧に対応していた。そして、私がお風呂から出るまで、玄関の前に待っていると言っていた。この2点から推察して、ヴァンピーは、悪い人ではないと私は判断したのである。
「ルシスさんの許可が出たのなら、入らせてもらいますね」
ヴァンピーは恐る恐る倉庫に入った。
「ここはどこの世界なの!!!」
ヴァンピーは、私の作った豪邸に驚いている。私は今までの旅でたくさんの素材をゲットしている。なのでその素材を使って最高級の豪邸を作ったのである。
「このテーブルはもしかして・・・」
1階には、大きな食堂とキッチンがある。大きな食堂のテーブルはダイヤモンドを使って製作している。
「この椅子は・・・」
食堂の椅子は、オリハルコンでできている。
「床もすごいことになっているわ」
床は大理石でできている。
「こんな豪邸は見たことはないわ」
「全部ルシスちゃんが作ったのだぁ」
ヴァンピーが、豪邸内を見てビックリしているので、ゲリが優しく声をかける。
「ルシスさんは何者なのですか?」
「秘密なのだぁ」
ゲリは、私との約束をちゃんと守ってくれた。でも、魔王の子供ですと紹介されても誰も信じることはないのかもしれない。
「そうなのですね。ではここで待たせてもらいます」
ヴァンピーは、あらゆる物が、見たこともないレアな素材で作られているので、触れるのが怖くて、玄関で立って待っているのである。
「お待たせして、ごめんなさい」
私は、急いで風呂から上がって、一階へ向かっていた。人が良さそうなヴァンピーを待たせるのは失礼だと思ったのである。
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