第52話 神守教会との戦いパート4


 ⭐️時は少し遡ります。



 「ケレス団長、夕方には王都へ着けそうなので、ここで休息をとりましょう。一般兵はかなり疲労しています」


 「そうだな。だから、太陽騎士団だけで侵攻すればよかったのだ」


 「確かにそうですが、アポロ公爵様の命令なので仕方ありません」


 「アポロ公爵様も、教皇に大きな貸しを作りたかったのであろう。だが、一般兵など邪魔なだけで役に立たないぞ」


 「そうでございますが、3000人の兵を見れば、ブラカリの町もすぐ降伏するかもしれません」


 「油断するな!魔王の町だぜ。獣人も多数いるし魔石技術も進んでいる。侮ると痛い目に遭うかもしれないぞ」


 「申しわけありません。でも魔石技術の軍事利用はしていないと聞いております」


 「騙されるな。絶対に利用しているに違いない。だからこそ、魔王の町の情報が少ないのだ。魔王の町に潜入した者は、皆洗脳されて人が変わったかのように神守教会を否定するからな」


 「確かに、そうです」


 「よし、この辺りで休息をとるか。皆に伝えてこい」


 「はい。わかりました」





 「おい、休憩みたいだぞ」


 「やっと、休めるのか」


  

 3000人もの軍隊が移動するのはかなり大変で時間がかかる。この世界だと移動手段が馬やロバを使った馬車しかない。しかし、この移動手段を少し楽にさせたのは、ブラカリの町のヒット商品である回復の魔石である。


 この魔石は、馬やロバにつけると。体力の消耗がかなり減り、馬やロバでの移動が楽になったのである。



 「しかし、ブラカリのおかげで魔法部隊がいなくても、移動が便利になったのに、ブラカリの町へ侵攻する必要あるのか?」


 「聖魔教会を、よく思っていない連中も多いから仕方がないのだよ」


 「そうらしいな。でも俺は内緒だけど、神守教会の方がえげつない思想だと思ってるけどな」


 「やめとけ、聞こえたら殺されるぞ。太陽騎士団の連中は、かなり過激な神守教会の信者だぜ」


 「そうだな、神技を極めた強者の集まりだから、神に対する恩義がかなり高い。だから聖魔教会を敵視しているよな」


 「ああ、俺たち普通の男は生活を便利にしてくれるブラカリの町のが、親近感を持てるけどな」


 「ああ・・・・しかし、なんかすごく眠くなってこないか」


 「確かに・・・・」





 「ケレス団長大変です」


 「どうしたワイアット」


 「兵どもが一斉に寝ています」


 「だから、どうした。疲れて寝ているのだろう」


 「いえ、その・・・」


 「おい、ワイアット!なんでいきなり寝るのだ!」


 

 ケレスは、何かおかしいと感じて、馬車から外に飛び出した。するとあたりは薄っすらなピンク色のモヤが一面を覆っていた。



 「なんだこれは、どうなっている」


 「あなたが、この援軍の指揮官です?」


 「誰だ。どこにいる」


 「ここです」



 ケレスはあたりを見渡すが、誰もいない・・・



 「上ですよ」



 ケレスは上を見上げる。そこには、白い翼が生えた可愛い女の子がいた。



 「お前は何者だ」


 「人に名前を聞くときは、まずは自分から名乗るのが常識ですよ」


 「亜人風情が偉そうに、でも知りたいなら教えてやろう。俺はアポロ公爵様の護衛部隊、太陽騎士団の団長のケレスだ」


 「私は『ラストパサー』のメンバーのルシスです。神守教会への援軍を阻止するために、ここに来ました。なので家に帰ってください」


 「何をバカなことを言っている。亜人ごときが俺に命令するな。いますぐ殺してやる」



 そう言うと、ケレスは地面に手をあてる。



 「ロックバード」



 地面が砕けて、砕けた岩が私に向かって飛んでいく。



 「空を飛べる亜人かもしれないが、俺のロックバードからは逃れることはできないぜ」




 ケレスは、生まれた時から神から授かった能力がある。それは大地を操る能力である。




 「うわーーやられる・・・・なんてね」



 ロックバードは私の前で砕けちる。



 「効かないだと・・・それならこれならどうだ、ドッカンボルケーノ」


 

 ケレスは、大地に両手をあてて叫んだ。大地が裂けて、その隙間からマグマが勢いよく飛び出してきた。マグマは私を覆い尽くし激しく燃え上がった。



「これで終わりか・・・ドッカンボルケーノを食らったら、骨さえも溶かし尽くして、そこには何も残らないはずだ」



 「うーーーやられた」


 「当たり前だ。これを食らって生きてるわけがないからな・・・・・なぜ、声が聞こえる・・・幽霊か」


 「うらめしや!可愛い女の子をマグマで焼くなんて地獄行きですよ!」


 「なぜ・・・生きている」


 「バリアを張っていたからね。それに攻撃もしょぼいし」


 「この化け物が・・・」


 「それよりも家に帰ってくれるのですか?」


 「俺は神に選ばれた男だ。亜人の化け物の言うことなんて聞けるか。これでもくらえ、ドッカンボルケーノファイナル」


 

 ケレスは両手を地面につけて叫んだ。大地は先ほどより大きく裂け、多量のマグマが吹き上がる。しかし私には全く効果がない。



 「なぜなんだ。神の子が亜人に負けるのか・・・ありえない」


 「もう終わりですか?」


 「黙れ、亜人のくせに生意気だぞ。俺は神の子だ。俺は選ばれし人間なんだ。お前ら亜人ごときに負けるわけにはいかない。必ず正義が勝つのだ」


 「あなたには、何を言っても無駄みたいですね。それなら仕方ありません。死んでください」


 「なんだと。亜人のくせに人間様を殺すだと。亜人なら亜人らしく、森の奥で逃げるように暮らしておけばいいのだ。人間様に逆らうなんて神に逆らうのと同罪だ」


 「私は、神より魔王様のが好きなので同罪でいいですよ」



 そう言うと私は、火球をケレス目掛けて放ったのであった。



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