第53話 神守教会との戦いパート5
⭐️ワイアット視点に変わります
「起きてくだい」
何か女の子の声が聞こえる。とても可愛らしい声だ。でも誰だかわからない。
「早く起きてください」
俺が目を覚ますと、目の前に女の子がいた。誰なんだこの子はツノがあるから亜人だろう。そういえば俺はケレス団長に、兵達が急に眠りだしたので報告にきたところだった。
「あの、すまない。俺には大事な用があるので、君の相手をしている暇はないのだよ」
「えーーー、私も大事な用事なのに」
「ごめんね。俺はケレス団長に報告があるので、それが終わったら聞いてあげるね」
「ケレスなら死んだよ」
「・・・」
「あの人はあまりにも亜人に対して敵意を持っていたから仕方がなかったのよ」
「君が殺したのかい?」
「はい」
「ケレス団長は、アレス様の次に強いと言われている方なのに・・・どうやって、殺したのかな?」
「いえ、弱かったですよ。火球ぶつけたら黒焦げになって死んだよ」
「君は一体何者なんだ!それに、兵達が寝ていることにも関係あるのですか」
「人に名前を聞くときは、自分から名乗るのが常識ですよ」
「これは、失礼しました。自分はアポロ公爵様の護衛部隊、太陽騎士団の副団長のワイアットと申します」
「私はラストパサーのルシスです。神守教会への援軍を阻止するため来ました。争い事はしたくなかったので、皆さんを眠らせて1番偉い人に交渉に来ましたが、残念ながら失敗しました。次はあなたと交渉しようと思いまして、睡眠を解除しました」
「そういうことなのか。3000人もの兵を眠らせるなんて、君はかなりの実力者ですね」
「はい。かなり強いですよ」
「は・は・は・普通はここで謙虚に否定するんだけどね。君の実力なら仕方ないのかな」
「はい。強いですからね」
「もし、撤退しなければ、ケレス団長のように殺されるのかな」
「うーん、あなたは、横暴じゃないからまた眠ってもらいます。そして違う人に頼みます」
「そうか、それならみんなを眠らせたまま放置したら、援軍を阻止することができるのではないでしょうか?」
「私は、帰らないといけないので、皆さんを放置したら、夜なると魔獣の餌になってしまうので、それは最終手段にしています。できたら、私の強さに恐れをなして逃げてほしいのです」
「優しいんだね」
「みんなで、仲良く暮らす世界を目指していますので、できるだけ平和的に解決したいのです」
「そうか・・・それなら撤退を約束しよう。ケレス団長はあまりにも、差別の強い人だったから殺されても仕方なかったのかもしれないね。でも、神の子は、生まれながらに特別な能力を持っているので、自分は特別だと思って、自信過剰になってしまうので許してやってほしい」
「私も殺さずに、改心して欲しかったんですけどね。難しいです」
「仕方がないことですよ。あなたは悪くないですよ。それに、ケレス団長の死体があれば、撤退の理由になりますので助かります。しかしこの状況を、説明する必要がありますので、どこまで信じてもらえるかわかりませんが」
「それなら、ケレスに話してもらったらいいと思います」
「それが1番だと思いますが、死んでいますので無理でしょう」
「問題ないです。私は、蘇生の魔法も使えます」
「いえいえ、蘇生の魔法なんて聞いたことありません。死んだ人は生き返りません」
「馬車から外に出てください。ケレスの黒焦げの死体があります。それを3割ほど回復して、復活させます。重症の状態にしますが死ぬことはありません」
「わかった見てみよう」
俺は、馬車から出ると、確かにそこに黒焦げの死体がある。しかし、この死体がケレス団長とは判別がつかない状態である。
そして、ルシスと言う女の子が手をかざすと、黒焦げの死体がピクリと動きだし、悲鳴のような声が聞こえた。
「助けてくれ」
この声はケレス団長に間違いない。
「ケレス団長、大丈夫ですか」
「助けてくれ、亜人の化け物にやられた。早く治癒師を呼んでくれ」
「ケレス団長、治癒士も睡眠魔法で眠らされています。睡眠魔法を解くには、一度撤退を約束しないといけません」
「撤退だ。そして、早く俺を治してくれ」
「わかりました。私たちは撤退いたします」
「ちゃんと約束は守ってね」
「もちろんです」
それにしても、可愛い女の子だったが、ものすごい魔法を使いこなす女の子だ。神守教会への援軍は、反対する者も多かったので撤退は良かったかもしれない。
⭐️ルシス視点に戻ります
「さて、次はどうしようかな」
私は、アポロ公爵の援軍を撤退させることに成功したので、一旦ブラカリに戻って、ソールさんに報告することにした。時間短縮のために転移の魔法を使うことにした。転移魔法は、一度行ったことのある場所なら、一瞬で移動できるから便利な魔法だ。
「ソールさん、任務成功です」
「それは、助かります。これで、王都からは神守教会のみの軍になるわ。これで、ブラカリ襲撃も阻止しやすくたったわ。それにしても早く帰ってきたわね。高速飛行で疲れているのなら、ゆっくりしてね」
「大丈夫です。でも夜の偵察に備えて、ゆっくり休んできます」
私の次の任務は、空からの偵察だ。コウモリさんに任せてもいいのだが、私ならかなりの遠方まで、偵察することができる。
⭐️リアム視点になります
「旦那様、トメイトから使いの者が来ています」
「よし通せ」
「はい。わかりました」
ついにこの時がきたか、教皇からトメイトの部隊への馬と武器・食料の支援を頼まれている。本当は、パースリの部隊もいればかなりの量を用意しないといけなかったが、トメイトだけになったので、準備は楽になった。ブラカリを占拠できれば、神守教会を支援した俺の評価は上がるはず。そして、そのうち、ディーバたちを追い出すこともできるだろう。
「リアム、何か嬉しそうですね」
「・・・なぜお前がここにいる」
「私の家よ。居てもおかしくないかしら」
「・・・・・クロニクルどうなっている」
「はい。旦那様。トメイトの部隊は、この町には来ません。ディーバ様の指示により、撃退しました」
「お前・・・裏切ったのか」
「いえ滅相もございません。私が使えていたのは、ディーバ様でございます。私は、きちんと旦那様を監視しておりました」
「俺を嵌めたのか」
「リアム、あなたを反逆の罪で、捕らえることにしたわ。改心するチャンスを与えたけど、あなたは、全く変わらなかったわ。クロニクル捕えてちょうだい」
「わかりました」
リアムは、拘束され町の留置場に送られた。
そして、ブラカリ襲撃の夜がきた。
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