第5話 契りの間
⭐️ルシスの母親視点なります。
何があったのだろうか?私は心配でたまらない。娘が契りの間に入ってから、もう1時間以上経っている。
弟2人は30分で契約を終えて出てきた。契約は30分でも長い方である。悪魔のとの契約は、さほど時間はかからないはずである。
悪魔と契約して、その悪魔の能力を使いこなすのはかなり時間がかかる。どのように悪魔の能力を魔法に変化させるか、また身体能力に特化させるかは、個々の鍛錬によって出来上がるからである。
悪魔との契約とは、様々な可能性を得るのであり、すぐに強大な魔法や能力を使えるようになるわけではない。
だから、偉大なる悪魔と契約しても、それを使いこなせる鍛錬をしなければ、意味がないのである。
逆に言えば低級悪魔でも、使い方次第では上級悪魔の能力を超えることもできるのである。
1時間以上もかかるなんて、あの子はどんな悪魔と契約しているのだろうか、そして何体の悪魔と契約したのだろうか?
私は心配してる反面、あの子が、どれほど強大なる力を授かっているのかという期待のが大きかったりするのである。
「お母様、お姉ちゃんは、どうしたのかな。少し長い気がするよ」
心配そうにカァラァは言った。
「カァラァ兄ちゃん、心配しなくて大丈夫だよ。お姉ちゃんなら、たくさんの悪魔様達が、お姉ちゃんと契約したくて、時間がかかってるのだと思うよ」
カァラァとは逆に、リプロは、お姉ちゃんの心配をするどころか、羨望の眼差しで、じっと契りの間の扉を眺めている。
「カァラァ、リプロの言うとおりよ、ルシスは、今たくさんの悪魔達の中から、どの悪魔と契約すべきか悩んでいるはずよ。ルシスは魔力だけじゃなく知力もかなり高いからね。どんな悪魔の能力が、いかに有効的に使えるのか考えて、時間がかかっているのよ」
「さすが僕の大好きなお姉ちゃん。魔力だけじゃなく、頭が良いのも僕の大好きな理由の1つだからね」
嬉しそうにカァラァは言った。
「早く契約した悪魔様の能力を最大限にいかして、お姉ちゃんの力になれるようにがんばらないと」
3人がじっと扉の前で待つこと1時間30分。その時扉から音が聞こえた。
「コン、コン」「コン、コン」
なぜか扉が開かれずにノックされたのである。これはおかしい・・・私は不安になって、すぐに駆け寄り扉を開けたのだった。
⭐️ルシス視点に戻ります。
悩んでいても仕方ない。素直にこの状況を説明しよう。それしかないのだから・・・
私は、ほとんどの能力が失ってしまったので、今は立っているのが精一杯であった。歩くにもままならない感じで、ふらつきながら、やっと契りの間の扉までたどり着いた。
そして扉を開けようとしたが、扉を開ける力が出ない。この扉は、こんなに重い扉だったかしら?入る時は、何も意識せずにすぐ開いたはずなのに。
それだけ私の筋力は、奪われたのかもしれない。実は魔石から魔力、体力、筋力等のエネルギーをもらっている。だから魔石を浄化してる今は、魔石からエネルギーを貰えることができないのである。
しかし考える力すなわち思考力、知力、記憶力などは、脳から伝わるエネルギーなので成り立つのである。
「ダメだよ。扉を開けれないよ」
私は、力を失ったことは後悔はしていない。だって10歳になれば、力は取り戻すどころかチート能力を手に入れることができるのだから。
でも、扉すら開けれない今の自分は、かなり苦しい状況なのである。しかも、もしお母様に理解してもらえなければ、私はどうなってしまうのだろう。そして、今の私を見たら弟2人はどう思うのだろう。
そう考えると、不安でいっぱいだ。しかし、なんとか理解してもらわないといけない。
私は扉を開けるのは諦めて、扉をノックして開けてもらうことにした。
「コン、コン」「コン、コン」
私がノックをすると、すぐに扉が開かれた。
扉を開けてくれたのは、もちろんお母様であった。
私はお母様の姿を見ると、少し安心した気持ちになったのか、その場に崩れるように倒れたのであった。
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