第14話 完全復活

 


  ここはエスパースだ。何日ぶりだろう。


 「お嬢ちゃん、やっと力を授ける時がきたね。」



 目の前にミカエル様、そして他の6人の天使様が現れた。


 

 「はい。やっと力を自由に使える時がきまし」


 「完全にお嬢さんの魔石を浄化できたので、今から魔石に魔力を注ぎ込むます」


 そう言うと、7大天使様は私に向けて手をかざした。手のひらからは、7色に輝く光線があらわれて、私の体内に注ぎ込まれていく。


 注ぎ込まれた私の体は、光り輝き魔石に魔力が完全に注ぎ込まれると、光も消えてしまった。



「これで終わりです」

 

「ありがとうございます」



 魔石を通じて、全身に魔力が流れているのがわかる。この魔力の流れにより魔人としてもとからある身体の強度も取り戻した。あの門兵がいくら蹴飛ばしても、傷一つつけることさえできない。これが本来の私の力である。



 「お嬢さんの魔石は、全ての属性を持ったゴールドになっているよ。ゴールドの魔石は、人界には存在しないので、白の無属性の魔石にカモフラージュしときます」


 「はい。わかりました」


 「今日から、新たな人生を楽しんでください」



 そう言うと7大天使様の姿は、消えてしまった。


 

 私は宿屋のベッドに寝転んでいる。この感覚はエスパースで訓練していた時、いやそれ以上の魔力の流れを感じる。訓練した成果を早く試したい。だから、必ず討伐には参加させてもらおう。



 やっと朝がきた。私は魔力が復活した嬉しさであまり寝付けなかった。



 「ルシスちゃんもう起きてるの?」


 「はいポロンお姉ちゃん」


 「早起きはいいことですよ。トールにも見習って欲しいですわ」



 トールさんはまだまだ爆睡中だ。昨日たくさん飲んでいたから、なかなか起きないだろう。



 「2人とも早いですね」



 ロキさんも目覚めたらしい。



 「ルシスちゃん?なんか昨日と様子が、ちがうんじゃないかしら?」


 「そうですわ、なにか魔石から感じるオーラが違いますわ。昨日は魔石から何も感じとる事は出来なかったはずですわ」


 「そのことで、お話しがあります」



 これはある程度きちんと説明しといた方がいいと思った。そうしないと、今日の討伐に参加させてもらえないはず。



 「実は私は、呪いで魔力を封印されていました。その呪いの効果は5年です。そして今日がちょうど5年目になり、呪いがとけてもとの魔力に戻りました」


 「まじなのかーー」



 さっきまで寝ていたと思ってたトールさんが大声で叫んだのである。



 「俺らは結構有名な冒険者で実力もある。だから相手の魔力量、魔石の属性などは、ある程度検討がつくルシスから感じる取れる魔力量はかなりすごいぜ」



 実は私が使える魔法の1つで、ステイタスをごまかせる魔法がある。その魔法を使って、実際の魔力量よりも、かなり下回る数値を感じ取らせるようにしている。



 「私は生まれつき魔力が高く、それを利用しようとする者もいます。なので、私の力を悪用されないように、呪いをかけられました」


 「ルシスちゃんは、小さい頃からいろいろ苦労しているのね」


 「はい。でも大丈夫です。今はお姉ちゃん達とパーティーも組めて、今日から魔力を使って楽しい日々を過ごしたいと思ってます。それで、今日は討伐に参加してもいいですか?」


 「ダメです」



 やっぱりポロンさんがダメ出しをした。


 

 「いいじゃないか。こんなに魔力が高いのだから問題ないはずだ」


 「いえ、ダメです。討伐は何がおきるかわかりません。魔力がいくら高くても実戦は違うのです」



 私はたくさん訓練してきたし、7大天使様にも勝利した。だから問題はない。でもそのことは言えないしどうしよう・・・



 「私は支援魔法が得意ですので、危なくないところから支援します。だから参加させてください。お願いします。」


 「・・・」



 ポロンさんは考え混んでいる。



 「ポロン、ルシスちゃんを連れてい来ましょう。危険だと感じたら、私がルシスちゃんを連れて逃げることにします」


 「ロキが言うなら、連れていきましょう」


 「ルシスちゃん、危険だと感じたら、ロキと一緒に逃げるのよ」


 「はい。わかりました」



 やった。これで討伐に参加できる。


 それから、朝ごはんをすませ、ベアーウルフの討伐に出かけることになった。


 この町を出るには、あの門兵とまた出会うことになる。でももう怖くない。今の私はチート能力で負ける気はしない。


 町の門に近づくと、昨日と同じ門兵がいた。私達に気づくと何も言わずに通してくれた。でも明らかに不機嫌そうな顔をしている。そして私達が通り過ぎると小さな声で喋り出した。



 「あいつら、ベアーウルフに食べられたら面白いのになぁ」


 「そうだな、亜人をかばう冒険者なんて、死んでしまえばいいのだ」



 そう言って門兵達は笑っていた。



 「言いたいは言わせておきましょう。あんなどうしようもない人間に関わる必要はありまえせん」



 ロキさんはそう言うと、門兵に戯言を無視して、ベアーウルフの森へ進むのであった。


 

 

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