第337話 魔石国家ケルト王国編 パート7

⭐️リプロ視点に戻ります。



 僕は魔界から転移魔法を使って、ケルト王国の近へ転移した。しかし、近くといってもケルト王国へ着くには少し時間がかかりそうだ。僕は人間の姿に変化しているので、空を飛んでケルト王国へ行くこともできないので、僕の足がわりになるアパオシャという真っ黒の毛並みの馬の魔物を連れてきた。アパオシャは自由に天を駆け巡ることもできるが、あまりにも目立つので、地上を走っていくことにした。


 僕は人界へ降りると懐かしい気配を感じた。それは僕がフェニックスの能力を与えたフェニである。僕は能力を与えた者と念話をすることができるし、フェニがピンチの時はフェニの心の声を聞くこともできる。何度かフェニが困っている時があったので、アドバイスしたことがある。


 今回は僕がフェニに手伝って欲しいことがあるので、声をかけることにした。


 僕は1人で『ケルト王国』へ行くよりも、フェニ達と同行した方が、怪しまれずに侵入できるのではないかと思ったのである。できるだけトラブルは避けたいので、安全策を取りたいと思っている。


 そして、フェニは僕と一緒に『ケルト王国』へ行くことを大いに喜んでくれた。



 「リプロ様が一緒に行ってくれるなんて夢みたいです」



 フェニは嬉しそうに飛び跳ねる。その横でレオがじっと僕の様子を伺っている。



 「ライさんはフェニの従者ですか?」



 レオとの距離を近づけるために僕から声をかけた。



 「そうですが、貴方様は何者ですか?」



 レオはじっと僕を見て警戒している。



 「何者かは言えませんが、僕も『ケルト王国』に用事があるので一緒にいきましょう」



 僕は笑顔で微笑みかける。



 「フェニちゃんが了承しているにで、私に異論はありません。しかし、私は貴方の実力が知りたいです。本当にフェニちゃんの師匠か確かめてもよろしいでしょうか?」



 レオは自分より強い者とみなした者しか従いたくないのである。なので、いくらフェニの師匠と言っても実力を見ないと納得がいかない。



 「ライちゃん、リプロ様に失礼です!」


 「フェニ、ライさんのいう通りですよ。僕の素性は教えることができませんが、僕の力の一部は見せても問題ないよ」


 「では、実力を見せてもらいます」



 レオは、『ライオンモード』によってライオンの姿になっている。レオは全身に力をためて、体を膨らませていく、みるみると筋骨隆々の体になり、炎のようなオーラーが辺り一体を覆い尽くす。



 「君は獣人じゃなくて、能力者なんだなね。人族にしては良いオーラを纏っているね。いつでも攻撃してもいいですよ」



 僕はニコリと笑ってレオを挑発する。



 「行くぜ」



 レオは大地を激しく蹴り飛ばして、猛スピードで僕に向かって突進してきた。



 「ライオンアタック」



 レオは、スピードをさらに加速して、全体重を肩に乗せて僕の腹部を狙ってタックルをかます。



 「・・・」



 僕は人差し指一本でレオのタックルと止める。



 「ありえない・・・」



 レオは絶望的な表情をしている。



 「ライちゃん、リプロ様に挑むなんて無謀ですぅ〜。リプロ様は最強なのですぅ」



 フェニは嬉しそうに言った。



 「いえいえ、僕は姉兄でも1番弱いんだよ」



 これは事実である。お姉ちゃんは今は難病で力を発揮できないが、力を発揮できるようになったら僕なんて足元にも及ばない。そして、カァラァお兄ちゃんには何度も戦闘訓練で負けている。なので、僕は最弱なのである。



 「リプロ様より強い方いるなんて信じられないですぅ」


 「そうございます。貴方様より強いお方がいるなんて信じたくありません」



 そこにはさっきまで反抗的だったレオの姿はない。代わりに絶対服従を使う僕の信者になったレオがいた。



 「そんなことよりも、早く『ケルト王国』へ行こうよ。僕は5日後には家に帰らないといけないので急いでいるのです」


 「わかりました、急いで『ケルト王国』へ向かいましょう」

 

 「君のスピードは遅いから、僕の馬に乗るといいよ」


 「しかし、3人も乗れないようですが・・・」



 レオは困惑した表情で言う。



 「アバオシャ、3人乗るから大きくなってよ」


 「かしこまりました」



 アバオシャの体はみるみる大きくなり、3人乗っても大丈夫なくらいに大きくなった。



 「これで問題ないですよ」


 「私はリプロ様の後ろがいいですぅ」



 フェニはピョンとジャンプして僕の後ろに飛び乗った。



 「それでは、私は最後尾でお願いします」



 レオは人間の姿に戻ってフェニの後ろに飛び乗った。



 「行くよ!」


 「はーーーーい」


 

 フェニが元気よく返事をした。


 アバオシャは大地を大きく蹴りげて、空を飛んでるかのように大地を駆ける。しかし、アバオシャ走った後には足跡を全く残さない。それは、痕跡を残さないために、大地ではなく宙を蹴っているのである。空を走ることができるアバオシャは、走る音もしないし足跡も残さない追跡不可能な空中走りをする魔物である。


 アバオシャのおかげで、くだらない魔獣との戦闘もすることもなく4時間後には『ケルト王国』の首都ガリアに着いた。

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