第400話 ボルの人界征服編 パート13
「小ルシス・・・もっと自分を大切にしろよ」
「小ルシスちゃん・・・もっと一緒に冒険したかたっわ」
ロキさんとロールさんは、私がオーシャンを異空間に葬った後、小ルシスが消えて亡くなった場所をじっと見つめて、涙を流しながら小ルシスに話しかけている。
「俺たちにもっと力があれば、小ルシスは消滅しなくて済んだはずだ」
「そうね。私たちはまだまだ未熟者だわ」
「もっと強くならないとな」
「私もよ」
私は、ロキさん達が神妙な面持ちで、小ルシスが消滅した場所で立ちすくんでいる姿を見て、とてもいたたまれない気持ちと、申し訳ない気持ちでいっぱいで、声をかけることができない。
「ルシスお姉ちゃん・・・どうしましょう!」
小ルシスも困惑している。
実は小ルシスは魔力が消滅して消えてしまったが、私が再度魔力を与えたので復活しているのである。
「あなたが紛らわしことを言うのがいけないのです!」
「だって、いい雰囲気だったので、その場の流れにそって別れの挨拶をしただけです」
「あなたは、私が作ったゴーレムだから死ぬことはないのは知っているよね」
「もちろんです。ルシスお姉ちゃんが死なない限り何度でも復活できます」
「もう!どうするのよ。ロキお姉ちゃん達は、あなたが消滅した場所にお墓を立てようとしているわ」
「可愛いお墓を建てて欲しいです」
「何を言っているのよ!早く2人のところへ行って謝ってきなさい」
私は小ルシスを叱りつけて、小ルシスが死んだと勘違いしているロキさん達の元へ行かせた。
「小ルシスの墓を作ってやろうぜ」
「そうね・・・この地で安らかに眠れるように、可愛いお墓を作ってあげましょう」
「ピンク色のお墓がいいです。墓石もハート形にしてメルヘンチックにしてください」
「とてもいいと思うわ。まるで小ルシスちゃんが自分で喋っているように聞こえるわ」
「そうだな。この声は小ルシスにとても似ているぜ。あいつも俺らに会いたくなって、天国から戻ってきたのかもな」
「そうです。2人に会いたくて戻ってきたのです」
小ルシスはここぞとばかりに返事をした。
「えっ!!」
「本物か!」
ロキさん達は、小ルシスの声が聞こえるので後ろ振り向いた。
「本物ですよ!ルシスお姉ちゃんに魔力をもらって復活しました」
小ルシスはニコニコと太陽のような明るい笑顔で微笑んだ。
「小ルシス!俺たちを騙したのか」
「騙していません。あの時は本当に消滅したのです。でも、私はゴーレムなので死という概念はありません。ルシスお姉ちゃんが魔力を供給してくれる限り何度でも蘇生することができるのです」
「じゃぁ、なぜあの時お別れの挨拶をしたのだ」
「雰囲気に流されたのです」
小ルシスは、小さい体をさらに小さく丸めて申し訳なさそうに頭を下げる。
「バカやろーーー。俺たちがどれだけお前のこと心配したと思っているのだ。でも・・・戻ってきてくれて嬉しいぜ」
トールさんは、小ルシスを捕まえて抱きしめた。
「復活できて本当によかったわ」
ロキさんもトールさんの側で嬉しくて涙を流すのであった。
感動の再会を果たしたロキさん達がやっと私に声をかけてくれた。
「ルシス!お前は小ルシスが死なないことは知っていただろ。なぜすぐに言ってくれなかったのだ」
私はとばっちりを受けることになる。
「そうよ。ルシスちゃん!すぐに言ってくれないとダメじゃないの」
「私もそう思います」
小ルシスは私を裏切ってロキさん達の味方になる。
「その・・・それは・・・言うタイミングを逃してしまいました。申し訳ありません」
私は小ルシスの代わりに謝るハメになる。
「ルシスお姉ちゃんは反省しているので許してあげてください」
小ルシスは、私の方をチラッとニヤけた顔で見ている。
「仕方がない。許してやるか」
「そうね。次からは大事なことはちゃんと報告するのよ」
「はい。わかりました」
私は、3人を助けたはずなのに、なぜ?謝らないといけないのかと思いながらも、状況を読み取って謝ることにしたのである。
「そう言えば、援軍に駆けつけた神人はどうなったのだ?」
「1人は異空間に閉じ込めました。もう1人は逃げてしまいました」
「逃がして大丈夫だったの?」
「問題ありません。小ルシス2号を作って尾行させました」
私の究極闇魔法の『ブラックホール』を見て逃げ出したフレイムは、私が追っ手を放ったのも気づかずに、颯爽と逃げ出したのである。
「私に妹ができたのです」
小ルシスは嬉しそうにニコニコしている。
「ルシスちゃん、また神人は襲ってくるのかしら」
「わかりません。でも、油断はできないと思います。それにもう1人の神人が王都シリウスに侵入したはずです」
「それは危険だわ。すぐに町へ戻らないと町の人が危険だわ」
「サラちゃんとポロンお姉ちゃんがいるから問題ないと思います。でも、こちらの神人は片付いたので、町の様子を見にいきましょう」
「そうね。急いでいきましょう」
私たちは、すぐに王都シリウスに戻った。そして、町へ入ってサラちゃんが向かったパン屋へ足を運ぶと、そこには信じられない光景が目に入ったのである。
「サラ!何があったのだ」
「サラちゃん。大丈夫なの?」
私たちが目にしたのは、屍のように口を大きく開き、白目を剥いて呆然と立ち尽くしているサラちゃんの姿であった。
「ポロンお姉ちゃん。一体何が起こったのですか?」
私は慌ててポロンさんに駆け寄った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます