第227話 ホロスコープ星国 パート4
「気がついたのね」
誰かが私に問いかける。
「あなたは人間ではないのね」
私は何を言っているのか理解できない。それに私はウルフキングに頭を切り落とされて死んだはずである。ここは死後の世界なのであろうか・・・
「どう言うことですか?」
私はとりあえず返事をしてみた。
「言葉のままよ。あなたは人間ではないのね」
「私は人間です。そしてウルフキングに頭を切り取れて死んでしまいました。ここは死後の世界ですよね」
私は思ったことをそのまま伝えた。
「ここはウルフの森です。そしてあなたは生きています」
私はそっと瞼を開けた。そこはさっきまでいた南の森であり、私を覗き込むようにウルフキングが側にいた。
私は生きていたのであった。
「ウルフキングさんが私を助けてくれたのですか?」
私はウルフキングに聞いた。
「私は何もしていません。あなたは私に頭を切り落とされて死んだと思いました。しかし、しばらくすると体が燃え上がって、切り落とされた頭は消えて無くなり、新たにあなたの体から頭が再生したのです。私はそれを見てトドメを刺そうと何度もあなたの体を切り刻んで殺そうとしましたが、いくら切り刻んでも、体が燃え出して体が再生してしまうので、攻撃するのを諦めました」
私はウルフキングの話を聞いてリプロ様のある言葉を思い出した。リプロ様は『少しサービスをしておいたからね』と私を女の子にしてくれた時に言っていた。
そのサービスが私を不死の体にしてくれたことなのであろうと思った。リプロ様は、私に不死鳥フェニックスの能力を授けてくれたのであった。なので、私にフェニと名付けたくれたのであった。
「私をどうするのですか?」
私はウルフキングに問いかけた。
「あなたを殺すことはできません。だから殺すことは諦めました。なので、この森から立ち去ってください」
ウルフキングは静かに言った。
「ウルフさん、あなたは魔獣が穏やかに過ごせる世界を望んでいるのですね」
「そうです。この森で静かに過ごしたいのです」
「しかし、この森にいては、同じことの繰り返しだと思います。ウルフさん、私と一緒に旅に出ませんか?そして、ウルフさんの目で世界を見て、人間と魔獣が共存できるか確認しませんか」
私はウルフキングと共に旅に出ようと誘ってみた。
「確かに、あなたのおっしゃる通りです。私は人間の世界のことはあまり知りません。私はもっと広い世界を見るべきだと思いました。よろしければ、私も一緒にあなたの旅に連れていってください」
ウルフキングは嬉しそうに言った。
「喜んで!私のことはフェニと呼んでね」
「私のことは、フレキと呼んでください」
ウルフキングが言った。
「フレキね。わかったわ」
「この姿だと、旅の邪魔になりますので、人型に変身します」
フレキはそう言うと、美しい白い髪の背が高くて綺麗な女性に変身した。
「わぁーーー、美人さんだぁ」
私は思わず叫んでしまった。
「そんなことはありませんよ。フェニちゃんも可愛くて素敵ですよ」
フレキは微笑みながら言った。フレキは美人と言われて嬉しそうであった。
私は、綺麗なお姉さんができたみたいでとても嬉しかった。これからもずっと1人で旅をすると思っていたので、一緒に旅ができる仲間が出来てワクワクしてきた。
「フェニちゃん、注意して、この森によその魔獣が侵入してきたみたいです」
「そうなの。魔獣ならフレキさんの仲間だから大丈夫だよね」
私は笑顔で言った。
「人間も同じと思うけど、魔獣にもナワバリがあります。魔獣同士争いをしないように、お互いのナワバリには侵入しないのがルールになっているけど、一部の魔獣は、自分達のナワバリを拡大しようとして、侵入してくる魔獣もいるです」
フレキは悲しそうに言った。
「そうなのね。これからどうするの?」
「魔獣の真意を確認するわ」
「私もついて行くね」
「そうね。フェニちゃんは不死身だから危険はないから、一緒に行きましょう」
こうして私たちは、侵入した魔獣の確認に向かったのであった。
★魔獣グリフォンの視点になります。
「グリフォン様、あのヤギの魔獣が言ってたことは本当なのですか?」
グリフォンの配下の魔獣ライフォンが言う。ライフォンはライオンの魔獣であり討伐何度Dランクの魔獣である。
「あんな奴の話などどうでもいい。俺は新たな領土が欲しかったのだ。このウルフの森は、俺の森にしてやるのだ」
グリフォンは偉そうに言う。グリフォンは、鷲の翼と鷲の上半身持ち、ライオンの下半身を持つ魔獣である。討伐難度はC3ランクである。
「私たちと同時時期にキマイラもこの森に侵入したことが確認されています。キマイラはどういたしましょう」
「キマイラとは話はつけてある。まずは、ウルフの森の主ウルフキングを倒すぞ」
グリフォンが息巻いて言う。
「グリフォン様、ウルフキングとは何者なのでしょう。私はウルフキングという魔獣は知りません」
ライフォンがビビりながら言う。
「俺も聞いたことはないが、どうせベアウルフのことだろう。ベアウルフごときがキングを名乗るなんて、生意気にも程があるぜ。俺がズタンズタンのギタンギタンにしてやるぜ」
グリフォンが大声で笑いながら言った。
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