第248話 ホロスコープ星国 パート25
「なんだこのガキは!!」
タラウスは驚きを隠せない。タラウスは、私が剣を素手で受け止めたことに驚愕して、目を見開いて驚いている。
私はうまく魔力をコントールすることにより、タラウスの重みのある剣を簡単に防いだのであった。
『ヘルファイヤー』
私は受け止めてた両手から炎を出して高温で剣を砕いた。
「ベガちゃんをいじめないでください」
私はタラウスに大声で言った。
「ごめんなさい」
タラウスは私の気迫に圧倒されてすぐに謝った。
「ベガちゃん、関所を通るよ」
「ヒヒーーン」
ベガちゃんは、タプンタプンのお腹を揺らしながらパカパカと歩き出した。私はベガちゃんに負担をかけたくないので、ベガちゃんに乗らずに、ベガちゃんと一緒に歩いて関所を抜けて言った。
「タラウス様、このまま行かせてもよろしいのですか」
兵士は慌ててタラウスに確認を取る。
「あのガキは、俺の『フルチャージ』の剣を素手で受け止めたのだぞ!あんな得体の知れないガキを相手にすることは無謀だ」
タラウスの顔は青ざめていて戦意は完全に失っていた。
「では、カプリコーン軍団長に報告しますか」
兵士はタラウスに問う。
「ダメだ。俺の失態がバレることになる。今ここでおきことを他言することは絶対に許さん。俺の『星の使徒』として名誉が傷つくことは絶対にあってはならないのだ。あのガキと馬は関所を通っていない・・・そうだ。レジスタンスのヤツらがこっそりと関所を通過させたことにしよう」
タラウスは、保身の為に私が関所を通過したことを無かったことにした。
「しかし、このまま王都に行かせるのは危険ではないでしょうか?」
兵士は王都シリウスを危惧している。
「お前にあのガキを倒せるのか。お前にあのガキを止めることができるのか。お前にあのガキが関所を通過した責任を取ることができるのか」
タラウスは怒涛の如く兵士を責める。
「私には何もできません」
兵士は頭を下げて言った。
「何もできないのなら、偉そうなことを言うな。責任も取れないクズが俺に指図するな。お前達クズ兵士は俺の言うと通りにすればいいのだ」
タラウスは激昂して怒鳴った。
「申し訳ありません」
兵士は泣き崩れるようにタラウスに謝った。
「責務に戻れあのガキのことは忘れろ。俺たちは何も知らないのだから・・・」
タラウスは何事も無かったかのように監視を再開したのであった。
「ベガちゃん、無事に関所を通過できたので少し休憩しようよ」
私もベガちゃんをおんぶして疲れていたので、何もない道端の近くの草原で一休みすることにしたのであった。
「ベガちゃん、人参食べる?」
私は、ベガちゃんが喜ぶ顔が見たいので、ベガちゃんに人参を差し出した。
「ヒヒン、ヒヒン」
ベガちゃんは、顔を横に振って人参を拒んだ。さすがのベガちゃんもお腹がタプンタプンで、もう食べれないのであった。
「食べたくないの・・・」
私はベガちゃんの喜ぶ顔が見れなくて残念であった。しかし、私は、まだお腹が空いていたので、収納ボックスからパンを取り出して空腹を満たす。
私の収納ボックスは、リプロ様がアレンジしてくれたので、食材は腐らないのでとても便利である。アダラの村に向かうので、念のために5日間の食料は準備していた。思ったより簡単に関所を通ることができたので、予定通り2日間でアダラの村につけそうな気がしてきた。
当初の予定は、このままアダラの村に向かう予定だったが、野宿よりフカフカのベッドの宿屋に泊まりたいと思って、王都シリウスに行く事にした。変装もバッチリなので、バレることは無いと私は能天気に考えていたのであった。
私とベガちゃんは草原でのんびり休んでいたら、赤い鎧を着た兵士の一行が、私の前を通り過ぎて行った。兵士たちは重苦しい雰囲気を立ち込めていて、私に気づかないで関所の方へ向かって行った。
「タラウス、状況はどうなっていますか」
スコーピオが、関所に到着してタラウスに状況を確認する。
「何も問題はない」
タラウスは平然と言った。
「そうか、それなら問題はないですね」
スコーピオは何も疑うことはしない。タラウスは平然を装っているが、内心は心臓が飛び出るくらい緊張しているのであった。
「スコーピオ、何しにきたのだ」
タラウスは、少しでも話題を逸らしたい。
「ライブラが、まだ戻ってきていません。なので、カペラの町まで探索に行くのです」
スコーピオは淡々と言った。
「ライブラは、殺されたのだろうぜ」
タラウスは、私の強さを見て、まだ戻ってこないライブラは死んだと確信した。
「縁起でもないことを言わないでください。ライブラはまだ生きているはずです」
スコーピオは希望を捨てはしない。
「お前は、ウルフキングとクソガキの強さを見たのだろう?」
タラウスは絶望的な目をしながら言った。
「ウルフキングは強いです。しかしウルフキングは、無駄な殺生はしないと思います。なので、ライブラが生きている可能性はあると思うのです」
スコーピオは希望ある眼差しで言う。
「そうだな。ライブラが生きているといいのだがな・・・俺は、この関所に不審者が来ないか、ただ待つだけだ」
タラウスは静かに言った。そして、兵士たちが余計なことを言わないように睨みつけた。
「関所は警備は任せます。私は少しでも早くカペラの町へ行きたいのでこれで失礼します」
スコーピオは、タラウスにそう告げると、早々にカペラの町へ向かうのであった。
「タラウス様、スコーピオ様に報告しなくてもよかったのですか?」
兵士はタラウスに進言する。
「何度も言わせるな。ここでは何も無かったのだ」
タラウスが淡々と言うのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます