第262話 ホロスコープ星国 パート39
私は、動きの鈍いベガちゃんを連れて、カペラの町へ向かった。牛のようにまるまると太ったベガちゃんのダイエットを兼ねて、私はベガちゃんの背に乗って、ベガちゃんにウォーキングダイエットをさせていたのであった。
「ベガちゃん、私は楽をしたいのではないのよ。ベガちゃんのダイエットの為に心を鬼にして、背中に乗って、重りの替わりをしてるのよ」
私はベガちゃんにきちんと説明して、ベガちゃんの背でのんびりとパンを食べながら、カペラの町へ進んでいく。
ベガちゃんは、私の説明に納得してくれたのか、額に汗を流しながら、ノソノソとカペラの町へ歩いて行く。
ベガちゃんのペースはかなり遅い。王都シリウスからカペラの町へは1日あれば着くことはできるのだが、ベガちゃんの牛のように遅いスピードでは、5日間はかかりそうなペースであった。
しかし、私はそんなのんびりペースのベガちゃんを怒りはしない。私はベガちゃんに無理をしないでダイエットをしてほしいので、私はベガちゃんの背中でお昼寝をしながら、のんびりとカペラの町へ向かったのであった。
私はカペラの町で、レオ、キャンサーを待たせていることも忘れて、ベガちゃんとのスローな旅を楽しむことにしたのであった。
ベガちゃんは、地道なウォーキングによって、4日後には、元のベガちゃんのスタイルの戻ることができたのであった。
「ベガちゃん、頑張ったね!」
私はベガちゃんを抱きしめて褒めてあげた。
「ブヒヒーーーン」
『すごいやろ!』と言いたげにベガちゃんは声をあげる。
「ベガちゃん、ご褒美よ」
私は、ベガちゃんに多量の人参を出してあげた。私はこの4日間は、ベガちゃんのダイエットの為に、人参を少なめに与えていたので、今日は頑張ったご褒美に、たくさんの人参を出してあげたのであった。
「ヒヒヒーーーン」
ベガちゃんは嬉しそうに声をあげた。
私とベガちゃんはいつもよりも多めの朝食を終えて、カペラの町へ再び向かい出したのであった。
「フェニちゃんはまだ戻ってこないのか」
レオは不安そうに言った。
「もしかしたら、関所で捕まってしまったかもしれないぞ!」
キャンサーも心配で、落ち着かないのであった。
「フェニちゃんは、空を自在に飛べるはずだ。関所など通る必要はないはずだ」
レオは冷静に分析する。
「フェニちゃんはとても律儀なお人だ。きちんと関所を通過しているかもしれないぞ」
キャンサーは、私のことを全く理解できていない。
「確かにそうかもしれない」
レオは納得した。レオも私のことを、とても律儀で真面目な性格だと思っていた。
「関所は、タラウスが守っていたな」
キャンサーが、思い出したかのように言った。
「そうだな。タラウスがフェニちゃんを拘束していないか確かめに行くぞ」
「わかったぜ」
私のことが心配になって、レオとキャンサーは関所に向かったのであった。
数時間後・・・
「王都へ戻るのか?」
レオとキャンサーの姿を見たタラウスが言った。
「今日は王都へ戻る予定はない。それよりも、10歳くらいの可愛い女の子を見なかったか?」
レオがタラウスに問う。
タラウスは一瞬ドキッとした。タラウスは、この前の私との戦闘がトラウマになっているのである。
「し・し・知らないな・・・」
明らかに動揺しているタラウス。
「何か隠しているな」
レオは、瞬時にタラウスの変化に気づいたのであった。
「な・な・何も隠していな・・いぞ」
タジタジのタラウスである。
「タラウス様、この前のガキがこちらへ向かっています」
兵士が慌てて、タラウスに言った。
「なんですって!」
タラウスは動揺しすぎて、裏声で驚いていた。
「この前のガキとはどう言うことだ」
レオはタラウスを激しく追及する。
「お前が言っているのは、あのガキのことか」
タラウスは、関所の高台にレオを連れて行き、王都方面からベガちゃんの乗って関所に向かっている私を指をさした。
「フェニちゃん!!」
レオは安堵の表情を浮かべて、私の名をつぶやいた。
「おーー!フェニちゃんじゃないか。無事でよかったぜ」
キャンサーが、飛び跳ねて嬉しそうにしている。
「お前達は、あのガキを知っているのか」
タラウスが、驚きながら言った。
「ガキとはなんだ!!フェニちゃんに失礼ではないか!」
レオは激しく怒り狂う。
『ライオンモード』
レオはライオンに変身して、タラウスを両手で持ち上げる。
「フェニちゃんに、失礼な態度をお前を、俺は許しはしないぞ」
レオの鋭い目がタラウスを完全にビビらせる。
「ごめんなさい。もう2度とガキとは言いません」
レオは、タラウスを殺すのはやめて、地面に投げ下ろす。
『ズダン』
タラウスは投げつけられて、激しい音がした。
「レオ、遠くを見てみろよ。フェニちゃんを尾行するようにサジタリウスとピスケスがいるぞ」
キャンサーは、私を見守るサジタリウスとピスケスの姿を発見した。
「フェニちゃんは、ジェミニに監視されているみたいだな・・・」
レオは、大きな勘違いをした。
「どうする」
キャンサーが、静かに言った。
「フェニちゃんの邪魔をする者は、俺が許さない」
レオは、四足歩行になって、素早くサジタリウス達の元へ走って行った。
『高速横走り」
キャンサーも得意の横走りで後を追った。
「どうなっているのだ」
地面に叩きつけられて、倒れているタラウスは、何がどうなっているのか、頭の整理がつかないのであった。
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