第425話 スカンディナビア帝国編 パート13
⭐️プリティーイチゴ視点に戻ります。
『ファイナルウェポン・ミリオンパンチ』
小ルシス2号はトールさんの元から離れて、スヤスヤと眠っているヘカトンケイルの顔面に、凄まじい勢いでパンチを連打しているのである。
「私の無限パンチを浴びせられても、眉一つも動かさないなんて、さすが巨人族ですね。しかし、いつまでスヤスヤと寝ていることができるのかしら?」
小ルシス2号は、ヘカトンケイルを挑発するが、熟睡しているヘカトンケイルには全く聞こえていない。それに小ルシス2号の猛烈なパンチは全く効いていない。しかし、軽快なフットワークで体を無駄に左右に振りながら、小ルシス2号は攻撃の手を緩めることはない。
『エンドレス・フォーエバー・ボンバーパンチ』
拳に回転をかけて、えぐるようにヘカトンケイルの頬に拳を突き刺すが、ヘカトンケイルの分厚い皮膚に押し返されて、小ルシス2号は体ごと弾かれてしまう。
「なかなかやりますね。私のパンチを頬で跳ね返すなんてあなたは見所があります。もし、敵として出会ってなければ、私の弟子にしてあげても良かったのですが・・・残念です」
分厚い皮膚に跳ね返されて、地面に叩きつけれた小ルシス2号は、地面に這いつくばりながらも精一杯の負け惜しみを言うのである。
「今日はこのくらいで勘弁してあげます。次に戦う時は、私の本気のパンチで瞬殺してあげますので楽しみに待っていてください」
小ルシス2号は精魂尽きて、そのまま這いつくばりながらトールさんが乗っている馬車に向かう。
「2号!何をしているのですか。ルシスお姉ちゃんからは、おとなしくトールさんの側にいるように言われていたでしょ」
小ルシス1号は小ルシス2号がいないことに気づいて、慌てて探しに来たのである。
「ふっ・・・これだから素人は困るのです。ルシスお姉様の言葉をそのまま鵜呑みにしてどうするのですか?私たちルシスお姉様の分身であるゴーレムは、ルシスお姉様の言葉の裏に隠された真実を見抜く努力をしないといけないのです。ルシスお姉様は、私にこう言いたかったのだと私は理解しているのです。『小ルシス2号よお前の力でこの事件を解決するのです』と」
地面に這いつくばりながらも小ルシス2号は誇らしげに言った。そして、そんなあきれた姿を見て小ルシス1号は言葉を失うのである。
「2号ちゃん!違うわ。1号ちゃんの言う通りにトールさんの側にいるのよ」
私が寝ている隙に小ルシス2号が暴走したみたいである。小ルシス1号の報告で目を覚ました私は、小ルシス2号にきちんと説明をする。
私たちはサラちゃんに運んでもらって、ロキさん達がいる場所から2kmくらい離れた場所で野営をしていた。もちろん、簡易の家を持っているので、フカフカのベットで快適に寝ていた。ゴーレムである小ルシス1号・2号は睡眠も食事も基本取らなくても問題はない。なので、何かあれば私を起こすように伝えていた。
小ルシス1号から「ルシスお姉ちゃん!緊急事態です」と言われた時はビックリしたが、ただ小ルシス2号が暴走しただけであった。
「ルシスお姉様の意図を読み取り巨人族を懲らしめるつもりでしたが、残念な結果になってしまい申し訳ありません」
小ルシス2号には私の言葉は届いていないようだ。
「2号ちゃん。まだおとなしくしているのよ。私の指示があるまでは絶対に1人で戦ってはダメよ」
私は少し強めの口調で小ルシス2号に言い聞かせた。
「わかっています。明日は必ずあいつを倒してみせます。期待して待っていてください」
小ルシス2号は、全く理解できていないのであった。
次の日。
「ルシスちゃん・・・じゃなくてプリティーイチゴちゃん、いつまで尾行をするつもりですか?巨人族なんて私の炎で黒焦げにしてあげるわよ」
サラちゃんに事情を説明して、私のことはプリティーイチゴと呼ぶようにお願いしていた。
「もう少し事情を把握してからロキお姉ちゃん達を救出するつもりです。もしかしたら、ロキお姉ちゃん達にも考えがあっての行動かもしれません」
私は、追加のメロンパンを与えてサラちゃんを落ち着かせる。
「メロンパンが食べられるなら文句は言いませんわ。でも、神落ちした巨人族が何を企んでいるかはわからないから、早めに倒した方が得策ですわ」
サラちゃんはメロンパンを両手に持って幸せそうな笑みを浮かべている。
「サラちゃん。巨人族が神落ちしたとはどういう事なの?」
キューティメロンはメロンパンを頬張りながらサラちゃんに問いかける。
「そのままよ。巨人族は元々は神なのよ」
サラちゃんの言う通り巨人族は元々裏天界に住んでいた神様である。しかし、権力争いに負けて神の力を奪われて人界へ追放されたのである。なので、巨人族は並外れたパワーは持っているが、特殊な力は失っている。
「そうだったのね。でも元神様がなぜ魔王を降臨させるのかしら?」
「私もそれは気になっていたわ。アーサソール家を生贄にして魔王を降臨させるなんてできるのかしら」
スイートデラウェアはメロンパンを片手に持ち困惑した表情をしている。
「巨人族は神に復讐するために魔王の手を借りようとしているのよ。でも、魔王を降臨させる方法なんて聞いたことがないわ」
サラちゃんも魔王の降臨の方法は知らないみたいである。もちろん、私もそのような方法は聞いたことがない。そもそも今は魔王は不在なので魔王を降臨させるなんて不可能である。しかし、魔王の子供ならみんなの目の前にいるのであった。
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