第206話 神守聖王国オリュンポス パート15
「神技『瞬足』『倍倍』『倍倍』」
ジュノは間一髪で、ユーピテルの剣をかわす。
「面倒な奴だな」
ジュノは愚痴をこぼす。
「ジュノチン、今なら『乙女の祈り』で浄化できるかもよ」
アレスがアドバイスをする。
「試してみるぜ」
ユーピテルはジュノに頭を切られて大きなダメージを受けている。今ならユーピテルを浄化できるかもしれないのであった。
ユーピテルは左手で自分の頭を拾い首に繋げようとしている。ユーピテルの頭は少しずつ首に繋がりだした。
「浄化などさせるか」
ユーピテルは剣を振りかざす。
「神技『荷重』『倍倍』『倍倍』」
アレスは神技を使って体を鉛のように硬くしてジュノの前に立ちはだかった。
「ジュノチン、今のうちに祈るのよ」
「すまないアレス」
ジュノは祈りを捧げる。
「グググ・・・」
ユーピテルは悲鳴をあげて頭を抱えて膝をついた。
「頭が割れるように痛いぞ」
「ジュノチン効いているわ。もっと祈るのよ」
ジュノはさらに祈りを続ける。
「グググググ・・・グググググ・・・・」
ユーピテルはうめき声を上げる。そしてユーピテルの体が光り出した。
「ジュノチン、もう少しよ」
ジュノはさらに祈りを捧げる。
「グォーーーーーー」
ユーピテルの体が崩れ出した。
「ユーピテル様、お待たせしました。私の闇の力をお使いください」
ユーピテルの意識に声が届いた。
「ハデスか・・・、やっと夜がきたのだな」
「はい。私の闇の力の出番です」
ユーピテルの体が黒く輝き、崩れかけた体が元に戻った。
「まさか、この俺が苦戦するとは思わなかったぞ。しかし、時は俺が勝つ方を選んだみたいだな」
「ジュノチン、ユーピテルの浄化が止まってしまったわ。日が暮れてしまったわ」
「アレス、どういうことだ」
ジュノは祈りを辞めて、アレスに問いかけた。
「夜になってしまったので、ハデスの闇の力が活性化してユーピテル様に闇の力を与えたのよ」
「そうなのか・・・もう少しだったのに」
ジュノは膝をついて倒れ込む。
「ジュノ、よく頑張ったな・・・しかし勝つのは俺だ。お前を殺して俺の体の一部にしてやろう。神技『斬撃』『斬撃』『斬撃』」
ユーピテルは剣を振りかざす。無数の波動の斬撃がジュノを襲う。
「神技『荷重』『倍倍』『倍倍』」
アレスがジュノの前で大の字になってジュノを守る。
アレスの体を波動の斬撃が切り裂いていく。
アレスは全身を切り刻まて倒れ込む。
「『洗脳』」
ハデスが倒れ込んだアレスの脳内に忍び込む。
アレスは神の子なので、ハデスに操られることなく自由に動くことができた。しかし、全身を切り刻まれて大ダメージを負っているので、その隙にアレスの体を乗っ取ろうとしているのであった。
「アレス、体をもらうぞ」
「やめろーー。俺はお前には従わないぞ」
アレスは意識下で激しく抵抗する。
「ユーピテル様、アレスが抵抗していますので、もう少しダメージを与えてもらってよろしいでしょうか」
「仕方がない。少し手を貸してやる」
「神技『剛腕』『倍倍』『倍倍』」
ユーピテルの腕が3倍に膨らんだ。
「アレス、お前も俺の下僕になるがいい」
ユーピテルは渾身の力で剣を振り落とす。
「神技『荷重』『倍倍』『倍倍』」
絶望して倒れ込んでいたジュノが神技を使ってアレスを守る。
「ジュノチン・・・ありがとう」
アレスは、切り刻まれた体で、持てる力を全てを使ってジュノを弾き飛ばした。
ユーピテルの剣はアレスの体を切り裂いた。
アレスの体はピクリとも動かない。
「ジュノチン、聞こえるかしら」
アレスはジュノの精神に問いかける。
「アレス、無事なのか?」
「私はゾンビよ。すぐに体は再生するわ」
「そうだったな。俺が盾になる必要はなかったな」
「そうよ。でも気持ちは嬉しかたっわ。ジュノチン、お願いがあるのよ」
「なんだ?」
「私を浄化して欲しいの。このままだと私はハデスに体を乗っ取られるわ」
「しかし、浄化したら2度と俺に会えなくなるぞ」
「もういいのよ。ジュノチンが私の気持ちを受け入れることができないのはわかっていたわ。でも、少しでも一緒に居たくてわがままを言っていたのよ。もう十分にジュノチンと一緒に過ごせたわ。だからもう、死んでも悔いは残らないわ」
「何を言っているんだ!俺はお前に何もしてあげれていないぞ」
「そんなことないわ。一緒にいてくれただけで嬉しいのよ」
「ふざけるな!俺はお前を絶対に浄化なんてさせないぞ」
「お願いよ。このままだと、私は大好きなジュノチンを殺してしまうのよ。そんな辛いことはしたくないのよ」
「でも・・・」
ジュノはアレスを浄化するか迷っていたのであった。
「ハデス、今ならアレスの体を乗っ取ることは容易いぞ」
「はい。すぐに乗っ取ります」
ハデスは、アレスの魂に忍びこみ乗っ取りを始めた。
「ジュノチン、早くして、もう時間がないわ」
「しかし・・・」
ジュノは迷っていた。
「ジュノ、お前の相手は俺がしてやるぞ。アレスを浄化させるわけにはいかないからな」
ユーピテルは、ジュノがアレスを浄化しないように身構えた。
「何を言っているのだ!俺はアレスを絶対に浄化しない」
ジュノは覚悟を決めた。
「ジュノ、お前はバカか?アレスを浄化したらアレスは操り人形にならなくて済んだのにな。ガハハハ」
ユーピテルは笑いながら剣を振るった。剣からは無数の波動の斬撃が放たれる。
『ゼログラビティー』
ジュノの体が宙に舞い上がって斬撃をかわす。
「ジュノ、それでいいのよ。あなたの出した答えは間違っていないわ。後はお願いね・・・」
マーニは、全身から血を流しながら最後の力を振り絞って、ジュノを助けたのであった。
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