第431話 スカンディナビア帝国編 パート19



 「セクシーバナナ、ロケットパンチを発射するのよ」



 キューティーメロンがキュクロプスを指さして、セクシーバナナに指示を出す。



 「かしこまりました」


 『ロケットパーーーンチ』



 ロボットの姿をした炎の塊は、両腕の肘から先が切り離されてキュクロプス目掛けて飛んでいく。キュクロプスは飛んでくる両腕を掴み、投げ飛ばそうとしたが、キュクロプスが両腕を掴んだ瞬間に、両腕は凄まじい爆音を立てて爆発した。あまりの激しい爆発のためキュクロプスの両腕は吹き飛ばされる。そして、吹き飛ばされて両腕の付け根からはおびただしほどの緑色の血が吹き出す。



 「セクシーバナナ、次はロケットキックよ」


 「かしこまりした」


 『ロケットキッーーーク』



 次は両足が切り離されて、キュクロプス目掛けて飛んでいく。



 「セクシーバナナ、次はロケットヘッドよ」


 「かしこまりました」


 『ロケットヘッーーード』



 次は頭が切り離されて、キュクロプス目掛けて飛んでいく。



 「次はロケットボディよ」


 「かしこまりました」



 キュティーメロンは、キュクロプスに再生する時間を与えないように次々と攻撃を仕掛けるのである。


 キュクロプスは、ロケットヘッドを腹部に受けてお腹に大きな穴が空いて、くの字になって倒れ込む。お腹からも緑色の血が噴き出してくる。そしてダメ押しに、ロケットボディがくの字になって倒れているキュクロプスを押しつぶすようにのしかかる。


 大きなマグマが、漬物石のようにキュクロプスの体にのしかかった状態になり、キュクロプスの体はヘドロように溶けていくのである。



 「セクシーバナナ、次は・・・何かしら?」


 「キューティーメロン、もう全て切り離しました」



 遠くからセクシーバナナの声がした。



 「あら本当だわ。じゃぁ、そのまま再生させないように燃やし尽くすのよ」


 「かしこまりました」



 セクシーバナナは、キュクロプスに上にのしかかったまま火力を上げる。キュクロプスの細胞は再生しようとするが、漬物石のような炎の塊は、太陽のように炎の波を上げながら激しく燃え上がる。あまりの暑さに地面は溶け出して大きな穴が空きキュクロプスの体はヘドロのようにグニャグニャになる。



「はぁーー。暑いわ、暑いわ」


 

 キューティーメロンは、どこから取り出したのかうちわで顔を仰ぎながら、冷たいブドウジュースを飲んで、涼しい顔をしている。



 「私も喉が渇きましたのでお酒をください!」



 キュクロプスを完全に消滅させたセクシーバナナは、キューティーメロンの元へ飛んできた。



 「近寄らないでよ!暑すぎるわ」


 「そんな・・・」



 キューティーメロンの心ない言葉にセクシーバナナはショックを受けた。



 


 「ルシス・・・なんだそのヘンテコの仮面は?」


 「そうよ。ルシスちゃんどうしたの?」



 私は治癒魔法を使ってロキさんとトールさんの麻痺を解除した。そして、ロキさん達が私を見た第一声がこれだった。



 「私はルシスではありません。プリティーイチゴです」


 「・・・ルシス。頭でもぶつけたのか?」


 「ルシスちゃん・・・」



 トールさんが真面目な顔をして言った。そして、ロキさんが私から目を逸らして現実逃避をした。



 「トールさん、私が説明します」



 スイートデラウェアがトールさんに声をかける。



 「フレイヤまでおかしな仮面をつけて、これからお祭りにでも行くのか?」


 「もしかして、その仮面流行っているのかしら?」


 「私はフレイヤではありません。私はスイートデラウェアです」


 「・・・」


 「・・・」



 ロキさん達は頭が混乱して言葉を失った。



 「ロキさん、トールさんこれには事情があるのです」



 スイートデラウェアは、なぜ私たちがこのような格好をしているのか説明した。



 「そういうことなのか・・・俺たちのためだったんだな。ありがとう!」




 ロキさん達は頭を下げてお礼を言う。



 「トール・ロキ、無事でよかったわ」



 キューティメロンはロキさん達の元へ駆けつけて2人を抱きしめた。



 「ポロン・・・じゃなくてキューティーメロン。何を泣いてるのだ」


 「本当に無事でよかったわ。もう会えないかと思って・・・」



 キューティーメロンは涙を流しながら、2人を強く抱きしめる。



 「心配をかけて悪かったな。俺はお前達に迷惑をかけたくなったのだ」


 「これは2人の問題なので、私たちだけで解決すべきだと思ったのよ」


 「何を水くさいことを言ってるのよ!私はあなた達の仲間よ。困っているなら助けを求めてよ。もっと私を頼ってよ」


 「ごめん」


 「ごめんさない」


 「2人が私たちを巻き込みたくない気持ちはわかっているわ。でも・・・私には本当のことを言って欲しかったわ」


 「・・・」



 ロキさん達は下を向いて申し訳なそうに顔を歪めている。



 「ごめんなさい。少し言いすぎました。でも、今からでもいいの、私に助けを求めて欲しいの」



 ポロンさんの瞳から止めどなく涙が溢れ出てくる。



 「キューティー・・・いや、ポロン。俺たちに手を貸してくれ。俺はスカンディナビア帝国の王女として、この国を正常の国に戻したいのだ。俺とロキだけでは巨人族達に勝てない。お前の力を貸してくれ」


 「私からもお願いするわ。私は亡くなった母から、アーサソール家を恨まないように育てられたわ。その教えは間違っていないと今でも思っているわ。だから、私はヴァナヘイム家とアーサソール家が共に歩める国に変えたいと思っているの。ポロン、私たちに手を貸して欲しいのよ」


 「もちろんよ」



 ポロンさんはとびきりの笑顔で答えたのであった。





 

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