第245話 ホロスコープ星国 パート22


 私は大金をゲットしてウキウキでウハウハであった。


 ポルックスの話だとレジスタスのアジトは、王都シリウスとアケルナルの町の間にあるアダルの村にあるらしい。


 アダルの村は、岩山に面したとても小さな村であるが、岩山の洞窟にレジスタンスの本部があるとのことだった。私は王都シリウスに行く前に、アダルの村に行って、レジスタンスの現状を確認するのが今回の依頼内容である。


 しかし10歳の子供がアダルの村を訪れて、『レジスタンスを本部はどうなっていますか?』と言っても、相手にされないだろう。だから私は、ポルックスからアダルの村の村長宛の書簡を預かった。


 この書簡を村長に見せると、村長が私に協力してくれるらしい。私は書簡を無くさないように収納ボックスに入れた。


 カペラの町からアダルの村に行くには、関所を簡単に通ることができれば、2日で着くことができる。しかし、簡単には関所を通ることはできないので、何日かかるかわからない。しかし、レジスタンスの危機が迫っているみたいなので、少しでも早く到着するのが望ましいのであった。


 私は、王の森を通って行く迂回ルートは断念した。王の森には、ラードーンという強い魔獣がいる。どれほどの強さかわからない未知の魔獣と戦うのはとても危険であると私は思った。なので、関所を通るルートを選ぶことにした。私はポルックスと門番と3人で相談した結果・・・変装していけば、私だとバレないのではないかという結論が出たのであった。


 私は、最近リプロ様に女性にしてもらったので、髪はあまり長くない。私の髪は耳が隠れるくらいの長さの栗色の髪なので、金髪のロングのカツラを用意してもらった。リプロ様が綺麗な金色の髪をしていたので、金髪には憧れていたので一石二鳥であった。


 私は金髪の長い髪のカツラをかぶって、ベガちゃんを連れて関所に向かうことにした。関所を通る際の身分証は、この間ギルドで冒険者証を発行しているので問題はない。


 初めから、こうすればよかったのにと思ったが、10歳の女の子が1人で冒険するなんてありえないのでる。なので、絶対に関所で疑われるのが目に見えてわかっているのである。しかし、これ意外には方法が浮かばないので、苦肉の策としてこの作戦が採用されたであった。


 ポルックスも門番も私の無事を祈って心配そうに見送ってくれた。しかし、私には、あまり危機感はない。


 私はリプロ様に教えてもらった魔法の使い方を、徐々にではあるが身につけることができるのが嬉しいのであった。リプロ様との特訓では、最低限の魔法しか習得することはできなかったが、基礎はきちんと教えてもらった。あとは、リプロ様の言っていたことを思い出して、練習するだけであった。なので、もし関所で『星の使徒』に襲われても、自分の腕を上げるための修行だと思っているのである。だから私は、正体を隠さずにそのまま乗り込んで行くくらいの気持ちであるので、あまり危機感を感じていないのである。むしろワクワクのが大きいのであった。


 私はベガちゃんに乗ってパカパカと関所に向かって走っていった。


 ベカちゃんには、たくさん負担をかけてしまうので、たくさんの人参を買ってきてあげた。ベガちゃんは、人参を食べると嬉しそうに大声をあげて走り出すのであった。


 私はベガちゃんに喜んでもらうために、関所に着くまでにたくさんの人参を食べさせてあげた。しかし、たくさん人参を食べさせてあげたのに、ベガちゃんのスピードはどんどん遅くなり、関所に着く前に立ち止まってしまった。



 「ベガちゃん疲れたの」



 私はしょんぼりとしてベガちゃんに話かけた。



 「ヒヒーーーン」



 ベガちゃんは大きな声をあげた。声の張りからしたら、まだ元気そうな感じがした。しかし、私には動物の言葉はわからない。フレキなら、動物の言葉も理解できたかもしれないと思った。


 私には動物の言葉はわからないが、ベガちゃんの表情を見て、ベガちゃんの気持ちを理解ならできるはずだと思った。なので、私は何度もベガちゃんに話しかけた。



 「ベガちゃん、調子が悪いの」



 私は親身になってベガちゃんに声をかけた。そして、私はベガちゃんの仕草を読み取って、ベガちゃんがなぜ、動けなくなったかのか理解したのであった。


 ベガちゃんの体をよく見ると、お腹がプックリと膨れ上がっている。町を出た時はスリムだったベガちゃんが、関所の近くまできた時には丸々と太っているのであった。


 かなりの距離を走ったベガちゃんの体重が減ったとしても増えるのはおかしいことである。体重が増えた原因は一つしかない・・・それは、私がベガちゃんに人参を与えすぎたことであった。


 私はベガちゃんがとても嬉しそうにするので、たくさんの人参を与えすぎたのであった。ベガちゃんも人参が大好きなので、食べ出したら止まらなくなり、ベガちゃんは人参の食べ過ぎで、体が重くなって走れなくなったのであった。



 「ベガちゃん、ごめんなさい」



 私は自分の無計画な人参のバラマキに反省した。私は動けなくなったベガちゃんを置いて1人で関所に行くことはできないので、魔法で筋力を強化して、ベガちゃんを背負って関所に向かうことにした。



 「ベガちゃん、私をここまで乗せてくれてありがとう。次は私がベガちゃんを乗せてあげるね」



 私がベガちゃんをおんぶして関所に向かったのであった。


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