第324話 ホロスコープ星国 ルシス編 パート36


 「小ルシスちゃん、気持ちいいわ」



 ディーバは小ルシスのエステ魔法を受けて快適な時間を過ごしていた。



 「お役手に立てて嬉しいです」



 小ルシスはニッコリと笑う。



 「あなたのおかげで私は10歳は若返ったわ。ネテア王が今の私を見たらびっくりするに違いないわ」



 ディーバは嬉しそうに頬笑んだ。



 「ディーバ様、『ホロスコープ星国』の元国王の尋問が終わりました」



 ディーバの寝室にソールが戻ってきた。



 「状況は把握できたかしら?」


 「はい。ルシスちゃんの魔法のおかげで、おとなしく全てのことを話してくれました」


 「ルシスちゃんの魔法はほんとすごいわね」


 「お姉様はすごいのです」



 小ルシスは嬉しそうに言った。


 ソールはジェミニから、自分たちが行っていた悪政により、レジスタンスにより国を奪われた事。『ホロスコープ星国』から逃げて、『オリュンポス国』の手を借りて、国を取り戻そうと考えていた事。そして、自分たちの『ゾディアックサイン』の能力のことを全て聞き出して、ディーバに報告したのであった。



 「『ホロスコープ星国』では、そんなことが起こっていたのですね。これは、早急にネテア王に連絡をしないといけないわ。ソールお願いできるかしら?」


 「問題ありません」


 「ちょっと待ってください」



 ディーバの屋敷に戻ってきたマーニが声を上げた。



 「マーニさん、何かあるのですか?」



 ディーバは優しく問いかける。



 「今は王都に戻る余裕はありません。このラディッシュの町に『キュンキュン教団』の施設を建設しないといけませんので」


 「問題ありません。私1人でもこの依頼は受けさせてもらいます」



 ソールがマーニの言葉に被せるように言った。



 「ソール、今何が1番大事なことかわかっているのですか?『オリュンポス国』の内乱は無事に解決しましたが、またいつ内乱が起こるのかわかりません。内乱を起こす人は心が濁って謝った道を進んでしまう人です。私はそんな心が濁った人に、何が1番大事なのか伝えたいのです。『キュンキュン教団』は愛の大事さ、尊さ、可憐さを皆に伝える教団です。この教えを広めれば、必ず内乱とういう醜い行動に出るものはいません。そして、国を統括する者にも、私たちの教えを実行して欲しいのです」



 マーニは目を輝かせながら言った。



 「マーニ・・・あなたの考えは間違っていないと思うわ。でも、ロキさんたちが捕獲した『ホロスコープ星国』の者をネテア王のところへ連れて行くのも大事なことです」



 ソールはマーニを必死に説得をする。



 「マーニさん、ソールさんの代わりに私がお手伝いをしてあげます」



 『キュンキュン教団』の信者である私が協力するのが1番であると判断した。



 「ロキさん・・・助かります。私とロキさんで施設建設の手配をします。ソールはディーバ様の依頼を遂行するといいですわ」



 マーニは嬉しそう言った。



 『バタン』



 「俺はソールに着いて行くぜ」


 「私は、マーニさんと一緒に『キュンキュン教団』のお手伝いをするわ」



 トールとポロンがディーバの寝室に入ってきた。



 「トールさん助かります」



 ソールは嬉しそうに言った。



 「ルシスたちの事も気になるが、あいつは1人でも大丈夫なはずだ。それなら、『ホロスコープ星国』のことも気になるし、ネテア王の判断を仰いだ方がいいぜ」


 「私はポロンとマーニさんと行動を共にとるわ。トールはソールさんの依頼を一緒に遂行してね」


 「わかったぜ」


 「もちろんよ」


 

 こうして、私とポロンはマーニと共に『キュンキュン教団』の施設の建設のお手伝いをすることになった。トールとソールは次の日にこの町を出発して、ジェミニたちを連れて王都へ目指すことになった。




 次の日・・・



 「トールさん!出発の時間ですよ」



 ソールが大声をあげる。



 「もう少し眠らせてくれ」



 トールは、昨日は明け方までお酒を飲んでいたので寝不足である。



 「だから、明日は朝早く出発するから、お酒はほどほどにするように言ったのではないですか」



 ソールはプンプンに起こっている。



 「出発は明日に延期にしてくれ!俺にはもう少し休息が必要だ」



 トールはうなだれるように言った。



 「ソールさん、トールはあのようになったらどんな手を使っても動く事はないわ」



 私は諦めるように言った。



 「うるさいですよ。もう少し眠らせてください」



 トールと朝まで一緒に飲んでいたのは、もちろんポロンである。



 「ポロン、あなたも今日は『キュンキュン教団』の施設建設のお手伝いをするはずになっているのよ。いつまでも、のんびり寝ている場合じゃありませんよ!」



 「明日に延期にします」



 ポロンもトールと同様にこうなったら、もう動かないのである。



 「この2人の事は諦めることにしましょう・・・」



 ソールは、トールに期待した自分が悪いと思った。



 「そうね」



 私もポロンに期待した自分が悪いと思った。



 「ソール、1人で行くのかしら?」


 「ディーバ様に確認をとってから考えることにします」


 「それがいいと思うわ。ルシスちゃんの魔法の効果も切れる頃だし、暴れ出したら面倒だからね」


 「私が、大人しくさせてあげます」



 小ルシスがちょこんとソールの肩に飛び乗った。



 「可愛いわね」



 小ルシスを見てソールはほっこりとする。



 「小ルシスちゃん、ルシスちゃんと同じ魔法が使えるの?」


 「はい。全ての魔法は使えませんが、低級魔法なら全て使うことができます」


 「あの魔法は低級魔法だったのですか?」


 「はい。ルシスお姉様にとっては、かなり低級魔法です。なので私にも使えます」


 「それは助かるわ。今から、魔法をかけにいきましょう」


 「わかりました」



 私は小ルシスを連れて、ジェミニが拘束されている施設に向かった。

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