第382話 カースド共和国編 パート4
私たちは、王都ジンジャーに着くとすぐにネテア王の面会をお願いした。しばらくすると、王国騎士団長のフレイヤ様が姿を見せた。
「ロキさん、今日はどのような御用件でネテア王にお会いにきたのですか?」
ロキさんは『ホロスコープ星国』の件を説明してくれた。
「それは、ちょうどよかったわ。ネテア王もあの3名を『ホロスコープ星国』へ送還する予定だったのよ。今日にでも『ホロスコープ星国』に使者を送るつもりだったので余計な手間が省けるわ」
「ジェミニが反抗的な態度をとっているとお伺いしていますが、大丈夫なのでしょうか?」
「問題ないわ。『神剣』の能力を取り戻したみたいだけど、私がコテンパに叩きのめしたら大人しくなったわ」
「さすが、フレイヤ様です。ところで3人は誰が『ホロスコープ星国』に送り届けるのでしょうか?」
「もちろん『ラスパ』に依頼をする予定だわ。あなた方はサラマンダー様を召喚して、空輸をできるから安心して任せられるわ」
「わかりました。責任を持って3人を『ホロスコープ星国』へ連れて行きます」
「3日後にオリュンポス城に来てくれるかしら、それまでに準備を整えておくわ」
私たちは、フレイヤ様から依頼を受けて『ホロスコープ星国』へジェミニたちを運ぶことになった。
「ロキ・・・早く迎えに来てくれよ」
「何か美味しい物はないのかしら」
トールさんは牢屋に入れられてナーバスになっているが、ポロンさんは相変わらずのマイペースである。
「牢屋内では一日三食となっています。それ以外は何も出ません」
「そこをなんとかして欲しいわ。私はおやつを取らないと肌の調子が悪くなるよ」
「無理です。例外を認めるわけにはいきません」
「それならブドウジュースだけでもお願いしますわ。ジュースは食事に該当しませんわ」
「それもできません」
兵士はキッパリと断る。
「水分補給もできないのかしら?このまま牢屋で脱水で死んでしまったらどうするのかしら?」
いちゃもんをつけるポロンさん。
「問題ありません。ちゃんと栄養管理はしっかりとしています。今まで脱水で死んだ者はいません」
「私はエルフよ。エルフの体調まで把握できるのかしら?」
「それは・・・」
「ネテア王の基本概念である全ての種族が仲良く暮らし行くには、様々な種族の特徴を理解しないと実現は難しいと思いますわ。私がエルフの代表として助言させてもらいますわ。エルフは水分補給を怠ると脱水で死んでしまうのよ」
ポロンさんは親切心で言っているのではない。ただブドウジュースが飲みたいだけである。しかし兵士は悩んだ挙句ブドウジュースを取りに行ったのである。
「ポロン、よかったな。これで命の危機を脱したのだな?」
トールさんもポロンさんの話を信用していた。
「ありがとう。トール。あなたの分も頼めばよかったわ」
「俺は大丈夫だ。少しくらい水分を取らなくても死ぬ事はない」
へんなところで真面目なトールさんである。
「こんな牢屋簡単に出ることはできるけど、脱走したら立場が悪くなるわよね」
「そうだな。自分らの立場悪くなるような事はできないぜ。ロキが戻ってくるまで大人しくするしかないぜ」
トールさんは、腹を決めたみたいで睡眠をとって大人しく過ごしていたが、ポロンさんは、エルフ特権で一日五食必要だとか色々と難癖をつけて、快適な牢屋ライフを過ごしいた。
次の日。
「トール、ポロン、ちゃんと反省をしていますか?」
私とロキさんはトールさんとポロンさんの様子を伺いに来た。
「ロキ早く出してくれ!」
少しやつれた顔をしたトールさんがロキさんに助けを求める。一方ポロンさんは血色の良い顔つきでブドウジュースを美味しそうに飲んでいた。
「もう少しここにいてもかまわないわ」
ポロンさんは全く反省の色はない。
「ロキ、腹ぺこだぜ。1日3食なんて辛すぎるぜ」
トールさんは涙目で訴える。
「もう、ルシスちゃんのお金を勝手に使わないと誓いますか?」
「もちろんだぜ。ちゃんと許可を得て使わせてもらうぜ」
金を使わないとは言わないのである。
「ロキお姉ちゃん、私の稼いだお金はみんなで使ってもいいので、2人を牢屋から出してください」
私は、天使様から授かったチートな力に、前世の記憶というチート級の記憶がある。なので、稼いだお金に対してはそんなに執着はしていない。
「ルシス様、ありがたいお言葉感謝するぜ」
トールさんに笑顔が戻った。そんな中、マイペースでブドウジュースを嬉しそうに飲んでいるポロンさん。
「ルシスちゃん、2人を甘やかしたらダメよ。ルシスちゃんの稼いだお金を湯水のようにあの2人は使ってしまうわ」
散財王の2人の浪費癖をロキさんは気にかけている。
「いいのです。なくなったらまた稼げばいいのです。私が力が失ったときに優しくしてくれた『ラスパ』のメンバーには私は感謝しているのです」
これは本当である。私は魔界から追放されて絶望的なところ助けてくれたのが『ラスパ』であった。そして『ラスパ』の3人がいるから楽しい異世界生活を満喫しているのである。
「いい子に育ったものだぜ」
トールさんは感動して涙を流している。
「トールお姉ちゃん、ハンカチです」
子ルシスは鉄格子の隙間を通ってトールさんにハンカチを渡した。
「ルシスちゃんがそういうならトール達を牢屋から出してもらうことにします」
ロキさんの考えでは、あと1日くらいは牢屋に閉じ込めて反省してもらうつもりであったが、私の意見を尊重して2人を解放することにしたのであった。
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