第223話 神守聖王国オリュンポス パート32
『グルメ祭り』は、序盤は『ラスパ」の出店が圧倒的に人気を誇ったが、途中で入り数詐欺疑惑が発生して、信用がガタ落ちしていまい後半はかなり失速してしまった。
『王国騎士団』の出店も、序盤はジュノ、フレイヤの握手作戦が国民の関心をかって、売り上げを伸ばしたが、後半ジュノとイージス伯爵の結婚話に嫉妬したジュノのファンが、不買運動を始めたことにより、後半はかなり売り上げを落としてしまった。
『金玉』の出店は、序盤は人が集まることがなく暇な状態が続いていたが、昼過ぎからは、『キュンキュン教団』に興味を持った恋に悩める王都の人々が多く押し寄せて、後半だけの売り上げは、ぶっちぎりのトップであった。しかし、それは『ラスパ』『王国騎士団』の売り上げが、後半に極端に落ちたおかげでもあった。
売り上げ金のトータルは、最終的には、3店舗ともほぼ横並び状態であった。なので、どの出店にも優勝の可能性が出てきたのであった。
王都の大広場にネテア王が姿を現して、『グルメ祭り』の結果発表が行われる。
「『グルメ祭り』に、たくさんの国民の皆さんが来てくださったことに感謝いたします。この『グルメ祭り』は、油を使った料理を紹介するためのイベントでございます。油を使った料理方法で、美味しい料理が作れることが、皆さんにご理解していただけかと思います。この油は、悲劇の町パースリで製造されています。パースリの町の復興のためにも、国として油の使った料理をお勧めしますが、油が火に引火すると、急激に燃え上がり危険です。なので、油を始めて使用する時は、使用方法もきちんとレクチャーする予定です」
広場に集まった国民は、真剣な眼差しでネテア王の話を聞いていた。
「サラのせいで、後半の売り上げが激減したぜ」
トールさんが怒る。
「違うわよ。私は、唐揚げの味がおちていないか、全ての唐揚げをチェックしていたのよ。しかし、後半は、私のチェックがなくなったから、売り上げが落ちたのよ」
サラちゃんは堂々と言った。
「もう、何を言っても仕方がないわよ。あとは結果を待つだけです」
ロキさんは祈るように目を閉じた。
「ジュノの浮気のせいで、後半の売り上げが落ちてしまったわ」
フレイヤがジュノを責める。
「フレイヤ様が、私の口を塞いだので弁明ができなかったのです」
ジュノの意見が正しい。
「着実に『キュンキュン教団』の信者は増えましたわ」
マーニが嬉しそうに言う。
「これもマーニの直向きな布教活動のおかげです」
ハデスはとても嬉しそうだ。
「私は、ポテトフライの売り上げを伸ばすために、必死にポテトフライを揚げていたのに」
ソールが悲しそうに言った。
「さて、本題ですが『グルメ大会』の優勝者を発表いたします。どの出店も売り上げが好調で、かなり接戦になりました。しかし、それは一つの出店を除いてです。ある出店だけは、随時売り上げは好調で、圧倒的大差の売り上げを叩き出しました。その店舗は・・・ネテア王の出店です。なので優勝は私でーーーーす」
ネテア王が笑顔で言った。
『ズコーー』『ズコーー』
トールさんとポロンさんが新喜劇のように激しくコケた。
「お前が優勝かーーーーい」
トールさんが激しくツッコミを入れた。
「お前も出店を出してたんかーーーい」
ポロンさんも大声でツッコミを入れた。
しかし2人がツッコミを入れるが、国民たちは大きな拍手でネテア王を祝福した。
ネテア王の出店は、カレーパンの出店であった。ネテア王が、私にも揚げ物を紹介して欲しいと言ってきたので、私はカレーと言う食べ物を紹介して、それをパンに包んで揚げるカレーパンを教えてあげたのであった。
ネテア王の出店は、大広場の入り口に建てられていて、大広場に来たら最初に目に付く出店であり、立地条件が良かった。そして、ネテア王自ら販売をしていたので、常に大行列が途絶えることがなかったのであった。
「『グルメ大会』優勝者の私には、ネテア王よりカレーパン一年分をプレゼントします」
ネテア王がはしゃぎながら言った。
「冗談はここまでにして、今から重大な発表があります」
ネテア王が真剣な表情になった。国民達もさっきまで笑顔から、真剣な眼差しに変わる。
「皆さんも気づいている方も多いと思いますが、私の息子のジュピターが、王都に無事に帰還しました。しかし、ジュピターはデレクの支持に従って神守教会に加担していました。また王子という立場を利用して、不正に冒険者ランクを上げたり、横暴な振る舞いをして国民の皆様に迷惑をかけてきました。デレクとの決着も付いた今、ジュピターにも裁きを受けてもらいます」
国民達は知っていた。ネテア王がジュピターの横暴を止めることができなかったのは、神守教会とデレク王の邪魔があったことを、だから誰もネテア王を責めることはしない。
ネテア王の横にジュピターが現れた。
ジュピターは、ジュノにフラれて、デレク王に助けを求めにお城に戻ったが、デレクはすでに王の座を退き、ネプチューン、アポロはネテア王に敗北して地下牢に幽閉されていると知ったのであった。そして、今までデレクの支持に従っていた自分の人生も終わったと実感したのであった。
ジュピターは、すぐに拘束されて、ネテア王の元に連れていかれた。そして、ネテア王に、どのような処罰が与えられるか聞かされたのである。
「私は父デレクの支持に従い、いろんな悪事をしてきました」
ジュピターが加担した悪事は、全て失敗に終わっていたこと国民は知っている。
「そして、王子である立場を利用して、傲慢な振る舞いをとっていました」
ジュピターが傲慢だったので、国民達はみんな無視をしていたし、口だけの男だったので、さほど被害は起きていないのを国民達は知っていた。
「私は王子の座を退き、一般の国民になります。そして『七珍万宝』は解散して、『雲湖朕鎮』のメンバーとして一からやり直したいと思っています」
ジュピターは、国民に向かって深々を頭を下げた。
国民はジュピターは大嫌いであったが、大したことはしていないので、王子の座を退いたことで、納得しているみたいであった。
「ジュピターの更生は、俺が責任を持ってしてやるぜ。ワハハハハ」
アルテミスが姿を出した。
大広場から歓声が上がる。『雲朕』のリーダーアルテミスは、豪快な性格で国民達に人気があった。
「アルテミス、任せたぞ」
「アルテミス様が更生してくれるなら問題ないぜ」
国民達は拍手でアルテミスを応援した。
「国民の皆様、私の不甲斐ない子供を許してくださってありがとうございます」
ネテア王が深々と頭を下げた。
「ネテア様!」
「ネテア王!!」
国民達はネテア王に声援を送る。
「これからは、神守聖王国オリュンポスと言う国名を改名して、オリュンポス国として再スタートをしたいと思います。国民の皆様ご協力をお願いします」
こうしてネテア王は、オリュンポス国として再スタートを図るのであった。
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