第170話 倭の国パート11
剣術大会に参加するのは、倭の国最強の侍と言われる8剣豪である。
8剣豪が参加するので、他の侍達はビビって誰も参加しなかったらしい。
その中に私とロキさんが参加するとなって、侍達は神聖な剣術大会が汚されると、私たちに対して怒りをあらわにしていたのであった。
剣術大会は最強の剣豪を決める大会と銘打っている。なので、他の国からの参加はもちろん認められている。しかし鎖国状態の倭の国の大会に、他の国の剣士が参加することは全くない。
剣術大会はトーナメント方式になっていて、抽選であらかじめ組み合わせは決まっている。しかし、私もロキさんも抽選に呼ばれていない。それだけ私たちは歓迎されていないのであった。
「ロキさん調子はどうですか?」
近藤男が声をかけてきた。
「万全です。近藤さんはどうですか?」
「私も万全です。ロキさん達を抽選会に呼べなくて申し訳ありません。招待もされていない、他の国の者が参加することに、異論を唱える者のいましたので、できるだけ穏便に済ませるために、私も大会組織の者に抽選方法に異論は唱えませんでした」
「気にしていませんわ。誰と戦っても勝てばいいのですから」
「その通りです。しかしこの大会では魔法での攻撃は反則になります」
「身体強化や剣に魔力を込めるのも禁止ですか?」
「それは問題ありません。私たちも忍術で肉体強化や剣の強化はおこないます。明らかな魔法による攻撃を禁止しているだけです」
男は魔法を使えないので禁止されているのであろう。それに忍術とは神技と同じ原理であろう。もしかしたら、神の子のような特殊なスキルも持っている侍がいる可能性もある。
「わかりました」
「本当にそこの可愛い女の子も参加するのですか」
「はい。この子は私より強いです。しかも彼女は神剣に匹敵する短剣を持っています」
「ほほう。それはかなり気になります。神剣とは神の力が宿った刀と聞いています。そのお嬢さんの短剣も何か不思議な力が宿っているのですか」
いえ違います。ただの料理用ナイフです・・・とは言えない雰囲気である。
「秘密です」
「そうですね。手のうちを見せるわけにはいかないですよね」
そう言って近藤男は追求してこなかったので私は安心した。
「もう、対戦表は見ましたか」
「いえ、まだです」
対戦相手は、とても気になるところである。いきなりロキさんと戦うのだけは避けたい。
「これが対戦表です」
第一試合
宮木武蔵(エードの町)対ルシス(冒険者)
第二試合
佐々木大二郎(エードの町)対岡田内蔵(長力の町)
第三試合
野獣十兵衛(エードの町)対沖田早郎(フレッシュ組)
第四試合
西郷大盛(イモの町)対巴午後(京の都)
第五試合
近藤男(フレッシュ組)対ロキ(冒険者)
「私の一回戦の相手はロキさんなんです」
「そうなんですか・・・」
これは明らかに仕組まれている感じがする。私の一回戦の相手は武蔵だ。子供だから弱いと思って、この組み合わせにしたのだろう。明らかによそ者の私たちを潰しにきているのである。
ロキさんに近藤男をぶつけたのも、邪魔者同士を戦わせようとしたのであろう。
近藤男は私たちに参加する8剣豪のことを紹介してくれた。
宮木武蔵は倭の国最強の侍であり剣術大会5連覇中の絶対王者である。二刀流のパワー系の剣術使いである。
佐々木大二郎は倭の国ナンバー2の剣豪であリ、剣術大会5年連続2位の実績を持つ。細く長い刀をもちいてスズメ返しという技を使う。
岡田内蔵は8剣豪の1人である。平民出身の剣豪であり、独学の剣術で予測不能な剣技を使う。
野獣十兵衛は眼帯をした8剣豪の1人である。眼帯を外した時、本当の力を発揮すると言われているが、その力を発揮した事はない。
沖田早郎はフレッシュ組最強の剣士であり8剣豪の1人である。今回が初出場であり、神業を持つと言われていて、宮木武蔵を倒せるのは沖田だけと言われている。
西郷大盛は8剣豪の1人である。大きな太い剣を使い、倭の国一の力持ちである。
巴午後は8剣豪の1人であり唯一の女性である。細く長い薙刀を使う。魔法が禁止されていなければ、武蔵よりも強い最強の戦士である。
近藤男はフレッシュ組の組長である。倭の国ナンバー3の剣豪であり、5年連続3位である。沖田がフレッシュ組に入ったことで、俺の時代は終わったと言っていた。
この8剣豪と私とロキさんで剣術大会が行われる。
私は一回戦に出場するのですぐに係の人が呼びにきたのである。
「ルシスちゃん、頑張ってね」
「無理をしないでください。身の危険を感じたらすぐに逃げてください。私もすぐに駆けつけます」
近藤男はとてもいい人である。この人がこのエードの町の将軍になれば、エードの町も平和になるだろうと私は思った。
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