第1297話
おもしろ実践でもしようかな?
「実践でもしてみる?」
「戦っても負けますよ?」
「戦わないよ。指揮してもらうだけだからね」
戦ってもらうのは、軍師と戦ってもらうことだ。準備はこっちでするから、他のことは任せたという感じだ。
「どっちから戦いたい?」
「じゃあ、私からでお願いします」
「軍師は今から無作為にゴブリンを5体召喚してね?あと、死んだなって思う攻撃を受けると相談して、やめるようにしてね」
召喚されたゴブリンは、盾が2体、弓が1体、剣士が1体、魔法使いが1体とバランスが取れているパーティーだった。こちらの構成は決まっているため、その固定された職業のゴブリンを召喚する。念話で今から他のものが命令されるから従うこと、と命令をしておく。
「ステータス開いて、今から送るものに了承してね?」
「はい」
「終わったら返してもらうから」
念話のスキルを渡す。
「今からしてもらうのは念話使って、戦術を伝えながら戦うことだね」
「勝つ可能性は小さくないですか?」
「いや、普通に大きいけど?バフの効果でゴブリンのステータスは大きく上がってるからねー。簡単には負けないよ」
軍師が召喚するゴブリンとはステータスの数値的には有利な状況になっている。何回かこなせば勝つこともできるだろう。上の方でその戦闘を見守りつつ、戦術の失敗で死ぬのがどれほどのものなのかを理解してもらおうか。
軍師のゴブリンの動かし方は、誰もが殺せるように動かす。1体の盾を持ったゴブリンを前に進ませ、弓は左展開、剣士は盾持ちと一緒に前進する。残りの魔法使いはもう1体の盾に守られつつ、魔法を上に放ち後衛を狙うのだった。
対する聖の方は、タンクと剣士は同じ動きだ。それ以外のものは固まって動くことになる。それが格好の的だ。魔法使いが、上から降ってくる魔法や横に展開した弓を狙うために魔法を放つのだった。どっちがどっちを狙うのかをしっかりと命令しなかったことによる。思考の一瞬の停止だ。
それにより、1発の矢が放たれる余裕が生まれた。その矢が聖が操作する剣士に向かって飛ばされた。剣士はその矢を防いだものの、相手にしている剣士からの攻撃を受けてしまい退場することになる。聖側の魔法使いの方は、魔法を防ぐのが遅かったため、煙幕のように視界を防いでいるのだった。そのため、弓に放とうとした魔法はこの煙幕を払うために使われる。
弓使いのスキルに無音移動のスキルがある。それを使ったのだろう。煙幕が張られているなか、真横を通ったにもかかわらず気が付かれていない。そして、背後で弓を構える。その手には3本の矢を持っており、ちょうど残っている人数と数が合うだろう。
煙が晴れた時に、弓を探すために視界を動かしていた。このタイミングで誰も背後を警戒していないのだった。矢が放たれ、足元に刺さる。殺してしまうからわざと足元を狙ったのだった。そのことを理解しているのか、魔法を使いのゴブリンたち3人は座るのだった。
5対1の圧倒的な負けだ。ギブアップをし、完全な敗北となった。
「これが実践だよ?上から見ているからともかく、一瞬の判断ミスが死に直結するからねー」
「戦術は考えるだけ考えていい・・・ですね」
「その通りだね。失敗するパターンと成功するパターン、昨日もあった命令ミスですね」
「一旦、念話を返してね」
軍師にゴブリンの召喚をリセットするように命令を出す。
「エリアヒール」
ゴブリンがいる範囲全体を回復魔法で覆い、傷を癒す。ちょうど戦闘が中央あたりで行われていたのが救いだな。2回も発動しなくてよかった。
「次はセバスの番だね。渡すから受け入れてね」
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