第10話
次の日になり、やっとダンジョンに入ることができる。そのための準備はばっちりだ。気配を殺すことができても音は消すことができない。そのため、最初の方は暗殺者の如く一撃必殺で行くつもりだ。
幸い、最初の階はドロップ率があまり良くない。レベル上げ用と考えている人が多いぐらいだ。俺もそう考えている。さらに宝箱もあるようだが、ハズレが多いことや自分の職業に合っておらず、使えないということが起きる。ここで喧嘩別れをするのかどうかの確認をされているように感じてしまうのは俺だけなのか?まー、喧嘩する仲間はいないのだがな
「ははは・・・」
乾いた笑みをこぼしてしまった。階層ごとにおすすめのレベルが決められている。それを参考に潜るという人が多くいるようだ。ソロなので、それより上のレベルになるまで潜るつもりだ。安全第一!!
だが、パーティーを組むよりソロの方がレベルを上げやすいことは確かだ。昔に検証されて、ソロの方がレベルが上がりやすいという物だった。同じモンスターを二人がかりで倒したか、ソロで倒したかで調査したようだ。
強さによらず、パーティー登録をしているかどうかで変わるようだ。関係ないので見ていない。使うことはないだろうと考えている。もう、しばらくはソロでいいだろう。どの階層もどうせレベルで殴れば勝つことができるのだから。
今日は何があっても1階層しか潜るつもりはない。死亡率が多いのは次の2階層が顕著だ。敵が複数体になる。さらに、戦っている最中に乱入されることもあるぐらいだ。よく、階層さぎだとか言われている。1階層で無双状態で、俺つえーとか考え2階層でも通用するんじゃね?とか考えるともうそれは死に行っているに等しい。
ゆっくり潜ればいい。どうせ競う相手もいないのだから。ということで、ダンジョンに到着した。あの忌々しき職業を確認したダンジョンだ。最初の方はどこのダンジョンも変わらない。だが、11階層目から変化する。そのダンジョンの特性がはっきりとわかる。今回のダンジョンは最初からずっと、洞窟型で慣れやすいと言われていた。
近くにあったのがこれだけだから運がいい。まずは定番のスライム狩りだ。レベルが5ずつで職業ごとのスキルがもらえる。スライムと言っても、毒を持っているとか、属性を持っているとかではない。そんなのは深い階層へいかなければ出会わない。何年先になることやら。適当にぶらぶら歩いていると
「スライム発見ー」
第一スライムだ。気配殺しのスキルを発動しているので、バレることがない。基本バレてものろまなこともあり、転けて顔を塞がれるというようなヘマをしなければ基本は倒すことができると言われている。
そんなスライムにも弱点が存在している。それは核だ。核にダメージを入れることで効率的に倒すことができる。さらに優しいのが、体は酸でできていないことだ。よくある物語では、酸で核にダメージが与えられないということが起きない。
魔法も効果的だ。核を狙うことができない時なんかは魔法で倒してしまう。効率は断然魔法使いの方が高い。だが、ここで数時間レベル上げをして、その後下の階層に行く人がいる。そんな人のパーティーは基本近距離武器の職業の人が倒す。
そんなことで核を1刺し、簡単に倒すことができた。倒せることが確認できたなら、これからするのは単純作業だ。ダンジョン内は野原の道になっている。そのため、道にさえ出ることができれば元の場所に戻ることができる。そのため、スライムでサーチアンドデストロイをくり返す。
その際にニヤリとした笑いをしていたのかもしれない。
この階層にはスライムとウサギしか生息していない。だが、どちらも攻撃をしなければ攻撃を返してこないモンスターだ。もふもふのウサギを殺してしまうのは罪悪感がある。そのため、現実には存在していないスライムのみを狩ることにした。
次の階層は森の方に向かうと行くことができるようになっている。森に近づくことで、だんだん洞窟に近づいていくといった感じだ。そんなことは置いておく、あれからしばらくスライムを狩っていた。そろそろお昼の時間が近づいてきているようだ。
腹時計が正常であればもう昼になっていると告げている。ご飯は弁当を作ってきた。肉マシマシでthe男の子の弁当といった感じだ。栄養なんかは全く考慮されていない。狩っている間に落ちたものを確認しようかと思う。ただの石が結構落ちた。だが、それらは拾っても何も役に立たないので、捨ててきた。遠距離武器として投石という手段があるのだが、正直言って邪魔だ。問題は魔石が何個だったのかだ。
一個につき300円となんとも嬉しいような嬉しくないような値段設定だ。昔はもっと高く、1000円以上は確定だったようだが、市場に流れすぎたせいでこの価格に落ち着いたようだ。
3個落ちれば帰りの費用に当てることができる。果たして結果は・・・5個だった。最初の方にしては上出来だったのでは?結構手に入ったなーと考えていたが、適当に取っていて、よく見ていなかったのか石が非常に多かった。さらにポーションが1個手に入った。一番レアリティーが低いものなので安価で取引されている。これは自分用に使うとするか。
今が12時ごろと仮定すると、2時間ぐらい狩をしていたことになる。レベルはと言いたいところだが、
「昼ごはんを食べるか」
流石に腹が減りすぎている。早く飯をくれと言わんばかりに腹がなっている。このまま気持ちいいところで、座って食べるつもりだ。もう気分はピクニックだ。
野原でちょうど座ることができるところを探していると、ウサギを見つけた。正直持って帰りたい。だが、ペット禁止なので無理だ。ここは猫の集会場ならぬ、ウサギの集会所だ。見渡す限りウサギが多く見ることができる。奥では戦っているのが少し見える程度だ。この階層ではウサギの方が高価で取引される。そのため、最初はウサギ狩りで金策とか言われている。
弁当を食べていると、その匂いを察知したのか、ウサギが近づいてくる。このウサギは雑食なのでなんでも食べる。今回は少し触らせてもらうことで、おかずを生贄に捧げた。
「グッバイハンバーグ、君のことは忘れないよ・・・」
それだけで、心を許したのか周りにウサギが集まってくる。そのまま寝てしまう子も何体かいた。もふもふに囲まれて気持ちいいがここで寝るわけにはいかない。ダンジョンだ。この快適な空間を捨てて狩りを再開する。もっと戯れたかった・・・。
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