第911話
オークが首から下げている布の確認だったな・・・。ドロップするのかやドロップするとして、効果がついているのかの確認をすることだった。マジックバッグの下位互換的なものだ。あってもなくても問題ないだろうという理由から、周回する対象に入れていなかった。
忍者の投擲武器を集めたことで、コボルトを周回するのも十分だろう。ということで5階層にやってきた。いつもよりも倍ほどの人がいる。全員がふろしき狙いだろう。持ちやすく包んでくれるとか、そんな効果があるのか?
ここにいるのは、マジックバッグを販売した情報弱者だろう。あのオークションのところをマジックバッグ代わりにするのはもう使えなくなっている。貯めておくことはできず、30分もたたないうちに販売されるようになった。値段を設定していなければ、最低値(1円)でのオークションが始まってしまう。もう自分の手元に戻すことは不可能だと言っていいだろう。
ドロップを買取や荷物にならないようにするためには、値段を高くしてオークションが開始されなければいいい。そう考える人が多くいた。ただ、それには足を引っ張ろうとする人や即購入したい人がいた。足を引っ張ろうとしている人は、それがマジックバッグ代わりに使っていることを理解している。そのため+1円の値段を出しオークションを動かす。もう動かされては、取り消しができないためどうすることもできない。
即購入したい人にとっては、オークションで競り合うよりも即決で買う方が良いと考えている人の作戦だろう。高めに設定されているものなら、基本は安いものから上がっていく。そのため、これ以上値段を釣り上げなくても落とすことができると考える。
その人たちによって買い取り合戦が繰り広げられている。たまに無能がいるため、買い叩くための行動もある。例えばポーションなんかもそうだ。最近値段が上がってきているポーションだが、何も知らない人がポーションを手に入れ、安全に保管するためにオークションのところに放り込む。ここまではまだ良かった。
だが、ポーションの値段が問題だった。何も調べない人からすれば、値段を高くすれば良いと言われると8万もあれば十分だろうと考える。この時点でポーションは13万まで上がっていた。即購入では通常よりも高いため。オークションが開始されるという事案がたびたび発生するようだ。
無知こそ、損を生み出す。最近では、オークションで落としたものに領収書が出るようだ。ダンジョンから提供されたアプリのようだ。会員制で、月額を払うことで使用できるようになるらしい。近くのプリンターで印刷ができるようになるよ。とのことだ。その紙は電話番号を入れると、そこにメールされるという仕組みらしい。
需要をよく理解しているなー。それがここ最近のオークションの変化だった。日曜日にこの階層はやっぱり人が多かったようだ。多くの回数を周回することができなかった。もちろん、試行回数が少ないためふろしきのドロップはなく、豚肉をかかえることになった。
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