第940話
片手斧だ。持ち手が短い分遠心力がかからないため、威力は弱くなっているだろう。だが、その分取扱速度が上がっているため注意が必要だ。バックステップをした時に距離が空いている。チャンスだな。ファイヤーランスを作り出し、あの死にかけのオークを狙う。
盾ごと飛ばされているため、復活した時にその盾を使われる。絶対に避けなければならないことだ。運が良ければ、そのままヒーラーも死んでくれるだろう。魔法を放ち、斧持ちのオークの上を通り過ぎた時だった。
その斧を振りかぶり、魔法に向かって投げ破壊した。数本あったものが2本に減ってしまった。後衛の魔法使いによって残りの2本が破壊され、魔法を使った意味がなくなった。オークの斧がなくなっているはずだ。
だが、飛ばされていた斧が光り粒子にかわる。そしてオークの手元に復活する。投擲用の片手斧だ。卑怯だな・・・。奪ったとしてもすぐに手元に戻すこともできるだろう。光が通ることで手元に戻っている。それならやりようはある。
俺の方に向かって斧を投げてくる。刀で振り払おうとしていたが、刀に手をかけた瞬間斧を手元に戻す。斧の耐久値が低いから防がれるような投擲ができないと思い込ませるための戦い方だろう。入れ知恵をされているな。斧の攻撃は全部弾く。これを頭の中に入れておかないと攻撃が当たってしまうだろう。
近づくときも斧を投げながら距離を取る。斧が当たるような攻撃を仕掛けてくるようになった。魔力探知でも特にこの辺りに魔法が仕掛けられているということはない。時間稼ぎか?とオークが俺の方に走ってくる。このままのスピードで攻撃を受け切るか、横に避けるかだな。
攻撃をするときの減速を見てからだ。魔力で短剣を作り出し地面に設置する。だが減速がない。避けることができるギリギリの範囲を測り、横に飛ぶ。攻撃手段は斧の攻撃でもなく投擲でもない。ただのタックルだ。刀1本と鎧や体重が乗った一撃なら、体重が乗った方が強い。
刀がいくら丈夫だとしても限度というものがある。流石にあれは受けれない。伸ばした魔力の爪を地面に食い込ませながらスピードを落とし、再び地面を蹴り加速した。振り向きと同時に斧を振り下ろす。その攻撃と刀がぶつかった。
その空いている腹に作り出したアースピラーを当てる。オークは会場の壁まで吹き飛ばされた。そしてアースランスでとどめを刺そうとしていた時だった。横から魔法が飛んでくる。止めように作り出したアースランスで、その魔法を破壊する。シールドで防いでそのまま止めを刺せばよかったな・・・。
その魔法の主は、あのチラッと見てきた黒オークだ。黒オークって嫌な記憶しかない。破壊神は、あのオークキングの再生能力に苦戦しているようだ。獣化はクールタイムだろう。長さは知らないがあれを使うことができれば、決着はついているはずだ。
黒オークの武器は片手剣だ。それならまだマシだ。飛んできた魔法は風魔法だ。そこまでわかればまだ楽になるだろう。騎士の方は大剣を発勁で破壊したようだ。黒オークは防具をつけていない。それほど自分の体に自信があるのか、弱い味方に防具を優先したいいやつなのかもしれない。
刀や魔法攻撃が通りやすくなるのだから、楽にしてくれてありがたい。
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