第981話

 最近では、新しい試みとしてダンジョン内でのライブ配信が流行っていた。だが、金を送る機能を活用した収入を得ることも容易だろう。何かをクリアしたということが明確になり、送るタイミングを測りやすいからだ。


 階層をクリアした時やボス部屋をクリアした時なんかにその金は飛んでいく。もちろん、その見てくれる人を飽きさせないようにするために、コメントといった形でその人と会話をする人もいたくらいだ。だが、ある事件が発生した。


 それはライブ配信をしていた人がその配信中に死んでしまったことだ。もちろん戦闘は血が出ることもあるため18歳の年齢制限がかけられている。(グロって18と15がどっちか忘れたから18って言っているだけです。間違っていれば修正してここを消す)


 その人の配信スタイルは、コメントと会話をするタイプの人だ。基本のパーティーの人数は5人から7人程度だったが、この人のパーティーは3人だ。そこにカメラ係が1人つくといった形になっている。パーティー構成は、物理アタッカー、タンク、魔法アタッカーだ。


 コメントを返す事に集中した事により全滅だ。奇襲を受けてしまった事により、攻撃対象は後衛に移る。何もできないカメラマンと魔法アタッカーのどちらが優先になるか?それは魔法使いだ。カメラマンが全体を映すように離れていたことも原因として挙げることができる。


 タゲを取るスキルを発動できず、後衛の魔法使いは死んでしまった。今もコメントを見る機能はなく、スマホといった機器から見ることしかできない。それを見ながら動いていたため、起きた事件だ。これで訴えられたのは、その配信をしていた人ではなく。


 そのサイトやアプリを運営している会社と、カメラを作っていた会社だ。サイトの方は年齢を偽って18歳以下の人が見ていた事によりトラウマになった苦情が入る。年齢を偽った方が悪いのだが、それを理解できない。理解したくないと考える人たちがいる。その人たちによる行動だった。


 そして、カメラを作っていた方の会社の株は大きく下がる事になる。事故に繋がった原因は機能不足だ。カメラにコメントを読み上げるような機能がついていれば、注意を切らすことはなくこんな事故が起こらなかったのだろう。


 そのため、ライブ配信用の軽量化したドローン型が出ようとしていたのが延期になった。おそらく、読み上げの機能をつけたものに変わるのだろう。このニュースを見てから少し不安になる。それは、俺が就職しようとしていた会社の方針だ。


 一応募集をしていたのは、配信をする人として採用するのか、ボディーガードのような立ち位置として採用するのかだった。もちろん、俺が採用試験に申し込んだのはボディーガードの方だった。その会社のホームページでは、配信者にはコメントを読む時にボディーガードが働くようになっています。


 と新しく書かれていた。あらかじめこの事件が起きることを想定していたような対応の速さだ。この就職先がなくなることはないようで安心できる。だが、同じようなことをしようとしていた他の会社では、新規採用の中止をしているところがいくつかあるようだ。


 有名どころをスカウトしていたのが、取り下げになったと愚痴をこぼしているところもいくつかある。予測できなかった会社が悪いのだろう。換金待ちでこんなニュースを見て、換金後家に帰り授業の準備をする。

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